米独(英)のミニカーと比較してもやっぱり日本のトミカは良いなと言う話。


子供ができてから車のおもちゃを買うようになった。私も妻も車に乗らない。私は玩具好きではあるが特段車の玩具を持っているわけでもない。ディスカバリーチャンネルジャパンとかギズモードなどでは変な車の記事を書いたりしたこともあったものの、車を特段に好むことは無かった。

何故子供が車好きになったかは不明だが、子供のために車のおもちゃを購入するようになってから、小さくて精巧(、そして安価)なミニカーの魅力にはまってしまった。(以前マイクロマシーンを紹介したのもそれが理由だ。)

それでミニカーを買うようになったのだが、まずかったのは日本のトミカだった。自分が子供の頃に慣れ親しんでいたトミカは、サイズ、価格、精密さのバランスが上手くとれていると思っていたからだ。しかしトミカはフィンランドでは販売されていない。なので色々とフィンランドで購入できるミニカーも買ってはみたのだが…

それでもフィンランドで購入できるアメリカのホットウィール、ドイツのジクなどと比較してもトミカのバランスは良いと思ったという話しを今日は書こうと思う。


もくじ

米ホットウィールVSトミカ(プレミアム):フェラーリF40
独ジクVSトミカ:ジープ・ラングラー
(英)マッチボックスVSトミカ(プレミアム):フォルクスワーゲン・ビートル
まとめ:やっぱりこれからもトミカ買います


米ホットウィールVSトミカ(プレミアム):フェラーリF40


ヘルシンキのスーパーで販売されているトミカ程度のサイズのミニカーは、何故かホットウィール(HotWheels)が主で、というか私の近くのスーパーはどれもホットウィールとマッチボックス(Matchbox)、あとはたまにジク(Siku)があるくらいなものだ。

ホットウィールの価格はフィンランドでは単品2.49ユーロ(約330円)、3個パックで6.9ユーロ(約920円)、5個パックで13.9ユーロ(約1800円)で販売されている。

単品希望小売価格495円のトミカよりは少し安価であるとはいえ、遊びにも鑑賞にも堪えうるトミカを知っているとその大味な作りに購入する気を失ってしまう。それに加えて販売されているホットウィールはギミックの無さ、そしてフィンランドで購入できるものには架空のヘンテコな車が多いというのもそちらに手が伸びない理由の一つだ。


(上は手持ちのホットウィール。左の青い車がCircle Tracker、中央のオレンジがGearonimo、右の赤がTeegray。)  
 
架空の車系でも「これは!」と思えるようなものがあれば買うかもしれないが、面白いデザインはあってもリアリティーが欠けていたりと子供だまし感が強かった(これはドリームトミカにも言えるかもしれないが)。

 
公平な比較ではないが、ホットウィールとトミカ「プレミアム」のフェラーリF40を比べてみよう。ホットウィールの方は中古ミニカーがたくさん入った袋を数ユーロで購入した中に入っていたもの。かなり遊び込まれているが2010年代のものだ。


特徴的なリアウインドウはどちらもモールドで立体的に再現されている。

 

トミカであればプレミアムではなくともテールライトくらいはペイントしてあるが、ホットウィールのものはなんとも寂しい。

HobbyDBによれば、2014年よりホットウィールのF40は(このトミカプレミアム版と同様に)後ろを開けエンジンを見ることが出来たようだが、今はコスト削減のためギミックがなくなったとのこと。加えて、HotWheelsWikiによれば2014年で製造終了となっている。


それもあってか、現在では通常の単品価格約330円で見つかることは珍しい。日本ではすんごい価格で販売されているようだ(これは1999年の古いモデルで開閉ギミックがあるようではあるが)。


なおeBayだと古いモデルでも通常の単品価格プラス送料数千円で購入できるので欲しい人はeBayを探すべきだろう。でもこれに数千円も出すのはよほどホットウィールに拘りのある人くらいなものだろう。



なぜなら対するトミカプレミアムのF40は定価880円だが実売価格は僅かに591円なのだ!

 
それにプレミアムでは、現行のホットウィールF40ではなくなってしまった開閉ギミックもちゃんとある。

もちろんそれ以外のディテールも細やかで素晴らしい。


ただプレミアムトミカはクオリティーも高いだけに「え?これでプレミアムトミカなの?」と思わず言ってしまいそうな製品もあるにはある。例えば個人的にはこちらのランボルギーニ ディアブロ SVがそうで、ヘッドライト展開、シザーズドア開閉のギミックは嬉しいものの全体的にディテールが甘くて「通常のトミカ以上、プレミアムトミカ未満」という感じがするのだ。



でもこちらのF40に関しては生産終了して値上がりして後悔する前に買っておくべし、と他の人に言っちゃうほど価格とディテールのバランスが良い。


それでもやっぱりホットウィールをトミカ「プレミアム」と比較するのはフェアではないので、プレミアムではないトミカのフェラーリ488GTB(定価495円)と比べてみよう。


これでもそのクオリティーの差は歴然だ。ヘッドライトはクリアパーツだし、テールランプも塗り分けられているし。


トミカは上の488GTBもプレミアムのF40も1:62だが、1:64、1:65(先に紹介したジープ・ラングラー)、1:68、1:137と、基本的にトミカのパッケージサイズに収まることが優先されているようでばらつきが大きい。ホットウィールの方は基本的に1:64スケールであるとされているが、実際にはこれも「だいたい1:64くらい」であってトミカと同じくパッケージサイズに収まる3インチサイズのミニカーを作っている。


ついでなので、スケールも車種も違うので全く比較にはならないが、家にあったマジョレット(Majorette 中央。フランスのブランド)のフェラーリF50とブラーゴ(Bburago、右。イタリアのブランド)のフェラーリ348tbとも見比べ。

   

ちなみに上のリンクのマジョレットのは手持ちのものと同じもののようだが、ブラーゴは異なる。

  

やはりホットウィールの強みは自由なデザインによるオリジナル車といえるかもしれない。

それらは実車を基にしていない(もしくは実車を匂わせる程度に真似る)分だけ、形状の制約に縛られること無く、ホットホイールの生産工程や製造価格による「できる・できない」を知った上でデザインすることが可能であり、ホットウィールの可能性が最大限に活かせる。そのため実車を基にしたものよりも面白いのだろう(面白くはあっても、個人的な視点からは先に述べたように心惹かれるデザインのものはなかなかお目に掛からないのだけれども)。



上リンク右の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のアストンマーティンのように少々値段の張るモデルであればトミカプレミアムのようにより塗装などが優れているようだ。


独ジクVSトミカ:ジープ・ラングラー

1921年創業のドイツのミニカーブランドジク(Siku)。上の写真は妻の父親が子供の頃遊んだ年季の入ったもの。ヴィンテージ格好いい。


ヴィンテージのものはeBayでは「vintage Siku」などと検索すると沢山見つかる。


現行に近い形のジクのジープ・ラングラー(左、中古で買った)とトミカのジープ・ラングラー(右)とを比較してみよう。トミカのラングラーは4ドアであるがジクの方は2ドアモデルであるなど違いがあるが。

 
全体的に僅かにジクの方が大きい。


車体底面はジクのモールドの気合いの入れようが凄い。あと、ジクの方は車のスペックが記してあるのも興味深い違い。トミカの方は一部プリントなのに対しジクの方は全てモールドというのも面白いところ。


トミカの方はルーフ脱着ギミックがある。

 
ジクの方はジープの後ろに牽引ヒッチ/フック(?英語だとtow hitch)が付いている。ジクのジープ・ラングラーには馬運車(馬用トレーラー)やボート牽引セットが存在するので、類似するジクのトレーラーを引っ張ることができるようになっていると思われる。


ジープ・ラングラーの色が赤であることからすると馬運車セットだったのかもしれない。

 
全体的にジクの方が細やかな作りに見える。サイドミラーが存在する/出っ張っているのもジクの特徴だ(トミカやホットウィールにはない)。


なお、コロコロと走らせると、トミカの方はまっすぐ進むが、ジクの方はまっすぐ進まず、そのため総距離も短い。ジクの方はそれぞれの車輪に遊びが大きく取ってあるようで、そのためかもしれない。


中古だからそうなのかと言えばそうでもないようで、最近購入したジクのメルセデス・ベンツ SLS AMGも、ジープよりはまっすぐ進むものの、全体的に左右に僅かにブレながら進んでいく。




通常トミカは共通のホイール/タイヤが使用されているが、このジープではホイールもオリジナルなのは良い。サスペンションがないのは少し残念だが。


先ほどの写真左の金色の車はいすゞ ギガ ダンプカー。



ジクの単品は日本では600円台(ご覧のように日本のアマゾンからも購入可能だ)、フィンランドでは約4.9ユーロ(約650円)で販売されている。ジク公式サイトでは単品は7.95ドル(日本円で870円)となっている。 なのでトミカよりはトミカプレミアムとの比較の方が良いのかもしれない。


トミカの方は定価495円。実売価格300円台。脱着ギミックや独自のホイールなど、通常版トミカの中でもなかなかお買い得感がある商品だ。

ジクの方が価格も高いが全体的にディテールも細かい、しかし転がす愉しさはトミカの方が上だ。対象年齢は共に3歳以上、価格は少々ジクが高いが、コンセプトの違いも見えてくるのが面白い。トミカに飽きが来た方は試しにジクを買ってみるのも良いだろう。


あと、ジクはやっぱりトラクターとかトラックとかの働く車系が強いので、現行のトミカに乏しいところを補う意味でジクを買うのもありかも。


(英)マッチボックスVSトミカ(プレミアム):フォルクスワーゲン・ビートル


マッチボックスは元々イギリスのレスニー(Lesney)という会社が作っていたのだが、今はアメリカのマテル(Mattel ホットウィールもマテルのブランドだ)が所有している。なお上はレスニー時代のマッチボックス。妻の父親が子供の頃遊んだもの。


こちらもeBayでは「vintage Lesney」などと検索することで魅力的なヴィンテージミニカーが沢山出てくる。

 
マテルになってからのマッチボックスはあまり所有していないのでなんとも言えないのだが、手元にある中古のものはこのような感じ。

ホットウィールとどのような差別化が図られているのかいまいちピンとこない。今度もっと買ってみようかしらん。

値段の方は、単品2.49ユーロ(約330円)、単品でギミックがついている「Matchbox Moving Parts」は5.9ユーロ(約780円)、3個セットで6.95ユーロ(約920円)、5個セット12.9ユーロ(約1700円)、10個セットで22.9ユーロ(約3000円)。


ひとつギミックを付けただけで倍以上の価格になってしまうあたり、やはり通常版トミカのコスパの良さが際立つ(通常版トミカもギミック付きのものはそう多くなくなってきてしまったけれども)。


おや、奇遇にもLesney時代のフォルクスワーゲン・タイプIことビートルと、トミカ「プレミアム」のビートルが!相変わらず比較にこまる組み合わせではあるが、せっかくなので見比べてみよう。


サイズはトミカよりも小さい。まさに「マッチボックス=マッチ箱」に入りそうなサイズだ。


ディテールは流石に時代を感じさせるが、驚く事なかれ、後ろにはリアエンジンがちゃんと入っているのだ!凄い!


トミカの方はギミックこそないもののディテールは細やかで可愛い。商品写真はドギツイ蛍光イエローに見えるが、実物はより自然な黄色に見える。


まとめ:やっぱりこれからもトミカ買います


いやー、やっぱりトミカは良い!眺めても楽しいし、遊んでも楽しい。そしてそれらと価格のバランスは、非常に上手くとれていると感じた。

今回の比較はどれも中途半端なものであったのは事実だが、それでもトミカの優秀さが滲み出る結果となったと思う。ただ、個人的には眺めて愉しむことが多いので、今回比較してみてジクのディテールには嬉しい驚きを覚えた。それでも沢山集めるとなると通常版トミカの倍の価格は購入に躊躇してしまう。その点やっぱりトミカの価格とディテールのバランスは良いよなぁ…。


そういえば、子供の頃はこのミニクーパーとこの消防車を持っていた記憶がある。懐かしいなぁ…。


写真は『トミカ1000超パーフェクトコレクション』から。見ているだけで楽しくなる本だ。この本には1970年代から2018年までに発売されてきたトミカが載っている。その中の多くは当然ながら販売終了しているもので、2021年にまだ正規に購入できるものはそう多くはない。



なんでこの本を最後に持ってきたかというと、この本を読んでいて、「ああそういえばあのときこのトミカ売っていたなぁ…あのとき買っておけば良かったなぁ…」と思うことが多かったからだ。

もちろんその多くは今も購入できるのだが、以下のように値段が4~10倍ほど高くなってしまう。
(まだコロナが脅威を振るっているのでオススメしづらいが)ネットで高価になっているモデルであっても最近廃盤になったものであれば、百貨店や寂れた商店街のおもちゃ屋さんなどで定価のまま購入できる可能性もある。

兎にも角にも、世界的に見てもコストパフォーマンスの高いトミカ。後悔先に立たず。買いたい時が買い時ですぜ。

日本にお住まいの方は世界一優れたミニカー、トミカを存分に愉しんで欲しい。私も日本にいけるようになったら買いまくるぞー!

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