今回はセイコー初のダイバーズウォッチ「62MAS」のオマージュウォッチだ。
とは言え、このオマージュウォッチの紹介の前に62MASと、そのセイコーによる復刻モデル/オマージュモデルSBDX019の話しをせねばならないだろう。
秒針の取り付け部分は興味深い。多くのアナログ腕時計では、取り付け部分は貫通し、ムーブメントの軸が見えるようになっているのだが、これはその部分にカバーが取り付けられている。これは62MASにも見られない面白い工夫だ。
バックルのない方の先端には立体的なサメのマークが。
Source: HODINKEE, Great Wristwatches
オマージュウォッチを快く思わない方も少なからずおられることだろう。筆者のオマージュウォッチに対する考えはこちらの投稿で読むことができる:
なお最後にまた述べるがこのモデルはオンライン腕時計ショップAffordable Dive Watchesで購入することができる。
・62MASとセイコーのオマージュ
・開封
・ケース:62MASらしさ溢れる良いサイズ感
・文字盤:62MASらしさ溢れるバランスの良さ。そして高い蓄光性能
・ストラップ:柔らかワッフルラバーストラップ
・まとめ
ムーブメントは安心と信頼のSII NH25Aだ。
・開封
・ケース:62MASらしさ溢れる良いサイズ感
・文字盤:62MASらしさ溢れるバランスの良さ。そして高い蓄光性能
・ストラップ:柔らかワッフルラバーストラップ
・まとめ
62MASとセイコーのオマージュ
セイコー初のダイバーズウォッチ「62MAS」(62MAS-010)。1965年に発売された歴史的なモデルだ。(55年前当時の価格で1万3000円だったそうだ。)そのセイコーによるオマージュ、SBDX019は税別35万円で2017年に世界限定2000本(うち日本限定500本)で発売された。
SBDX019は海外のファンからは「62MASという歴史あるモデルが復活した!」という好意的なコメントと、「物は良いが価格が高すぎる」、という批判的なコメントが共にみられた。
価格が高すぎるという批判の一つの理由は、SBDX019はムーブメントにSBDX001マリーンマスター300(中古で20万円以下)などにも採用される8L35を用いていることもある。
そのほかにも、ムーブメントこそ違うが、SBDC051だってなんとなく62MASに似ていて8万円程度だし。それ以外のデップリしたサファイアクリスタル製風防とかいったスペックだってマイクロブランドが数十分の一の値段で実現している部分だし。
つまり自社製品の復刻という知的財産を活用したものではあるが、この価格は法外だ、というわけだ。わざわざ限定にすることでこの値段を正当化しているのだろうが、これはやり過ぎだ、と感じたファンも少なくなかったのだ。
このような批判をセイコーも真摯に受け取ったのか、それとも無視しているのかは判らないが、今年は55年記念コレクションとしてやはり62MASのオマージュウォッチ、SBEX009が税別65万円、世界限定1100本で販売されている。
SBEX009に関してはケース素材はエバーブリリアントスチール使用となっている。これは「世界最高レベルの耐食性を備えたステンレススチール素材」であり、腕時計ケースへの使用はこの55周年記念コレクションで世界で初めて使用されたという付加価値が付いている。また使用ムーブメントは8L55、HODINKEEによれば「グランドセイコーの9S85と本質的に同じもの」とのこと。
このような付加価値を付けたことで、SBDX019よりも更に高価で、限定数の少ないSBEX009の価格を正当化しているわけだ。
どちらの62MASオマージュも限定であることもあり、販売後すぐに売り切れ、高値で取引されるに至っている。今確認してみてもSBDX019は70万円、SBEX009は80万円ほどで販売されている(中には転売を狙って購入した人も居るのであろう)。
さて、そんなこともあって、より安価で入手可能な62MASに似た腕時計がセイコー以外の会社から出てくるのは(これが許容されるべきかは別として)自然な成り行きとも言えよう。
開封
San Martinのこの製品はプラスチック製のボックスで来ることが多いようだが、何故か私の手元に届いたのは少し違うボックスだった。
紙製の外装金色に箔押しされたSan Martinのロゴ。これを横にスライドさせると…
豪華な合皮製の化粧箱。こちらもやはり金色の箔押し。
内側は赤くて格好いい。
保証書、説明書、ロゴ入りのストラップ外し工具がつく。
ケース:62MASらしさ溢れる良いサイズ感
オマージュなので当然ではあるが、「62MASらしい」感じのケース。ケース径は40mm、ケース厚みは風防込みだと14mmだが、風防を含めなければ12mm程度。
このサイズのお陰か(少なくとも私の手首には)とても丁度良いフィット感がある。
シャープなケース天面と側面の角。実際には側面側の角に近い部分が僅かに面取りなされている。
少なくともこれまでレビューしてきたセイコーの腕時計と比較すると、ケース上部のヘアライン仕上げは少し荒く感じられる。
ケースは上から見ると平べったい印象を与えるがラグ部分は僅かに傾斜。
ケース側面の鏡面仕上げは美しい。ラグは穴が貫通しており、ストラップの付け替えも容易だ。
竜頭は3時位置で、ねじ込み式。ねじ込みはバネがしっかりしている感触。
竜頭側面はコインエッジ、頭頂にはサメのマークが浮き彫りにされている。
ベゼルインサートはセラミック。ベゼルインデックスは窪みに白。なお、モデルによってはベゼルインデックス全て蓄光のモデルも存在する。
このモデルでは12時部分の丸いインデックスのみ蓄光。
このためベゼルを回転させる際に指の腹とベゼル側面の触れ合う面積が少なく、回転の感覚にはどこかしらSKX007/009にも似たわずかな回しづらさがある。
ケース裏はねじ込み式。
62MASのイルカの代わりに厳つい顔のサメが。
文字盤:62MASらしさ溢れるバランスの良さ。そして高い蓄光性能
3時位置の日付窓は銀色の立体的な縁取り。
デップリした風防によって文字盤の縁が歪むのも魅力の一つ。分刻みのチャプターリングが大きく見える。
あまり歪みのない状態で見るチャプターリングはこんな感じ。
アプライドインデックスは銀の縁取りの中に蓄光。12時のインデックスは太めとなっている。6時位置、9時位置のインデックスも12時のものほどではないが少し太めだ。
秒針は小さな赤い丸と、少し大きな蓄光の丸が囲まれた先端を持つ。
12時下には銀色のSan Martinロゴがアプライドされている。なお、San Martinは以前より62MASオマージュを作っており、この部分にロゴの代わりに「San Martin」とプリントされたバージョンも存在するが、製造元に確認したところ、こちらのアプライドロゴ版が最新モデルだとのことだった。
分針は先の角が少し落とされた8角形のバー状で、側面が傾斜。
時針も同様。
6時上には「WATER 200 PROOF」と書いてあるように防水性能は200m(62MASは150mでセイコーのオマージュ版は200m)。
その下には24 JEWELS(24石)表記も(62MASは17石、SBDX019は26石、SBEX009は37石)。
蓄光はこんな感じ。蓄光材の量が多いのか、手持ちのSKX009と比較しても明るく長時間光る印象。
なお、同時計のバージョン違いとして、ベゼルの全インデックスが蓄光となっているものもある。
ストラップ:柔らかワッフルラバーストラップ
結構柔らかなラバートラップ。所謂「ワッフル」ストラップと呼ばれるものだ。これはラバーストラップのテクスチャーがワッフルに似ていることから来ている。今でこそダイバーズウォッチのラバーストラップによく見られるテクスチャーであるが、Great Wristwatchesによると、これはもともとセイコーが元祖とのこと。
ストラップループも同様の素材で二つ。
内側はこうなっており、ストラップの肌に触れる面を極力小さくする工夫がみられる。漏斗状、もしくは煙突のようにくりぬかれた部分は、ストラップ穴(バックル側にもストラップ穴と同型状の穴が空いている)に繋がっている。
汗をここから逃がすこともできるだろうか。それよりはダイビングの際に意味のある形状なのかもしれない。
バックルのない方の先端には立体的なサメのマークが。
16~17cm程の手首に着けるとこう見える。ケース径が小さいこと、
ストラップは柔らかく着け心地は良好。ストラップだけ欲しいと言う方のためにストラップのみの販売もされている。
まとめ
良い腕時計だ。ダイバーズウォッチでありながら比較的小ぶりな部類であることもあり着け心地も良いし、見た目も良い。62MASのデザインの良さを再認識できる腕時計だと言えるだろう。
昨年私はSKX009をよく着けていたのだが、こいつが来てからはしばらくの間これしか着用していなかった。それほどまでに自然に手首に馴染むサイズ感。そして、SKX009を凌ぐ蓄光性能。
オマージュウォッチ好きの間で大きな話題となったのも頷ける。
無論他社製のオマージュウォッチだからこれをいけ好かない時計だと考える人も少なくないだろう。もしセイコーがもっと良心的な価格で62MASオマージュを販売していたら、そしてもし製造数を限定しなかったとしたら、このようなオマージュウォッチは果たして世に出ていただろうか?
無論資金が許せば中古で価格の高騰したSBEX009やSBDX019、または上リンクのSBDX039などを購入したいところだ。そうすれば、更に質の良い正真正銘の62MASオマージュ、もとい後継機が手に入れられることだろう。
ある意味ではSan Martinがセイコーの販売戦略によって満たされない腕時計ファンのニーズにうまく応えたオマージュウォッチとも言えるだろう。
冒頭でも述べたとおり、この腕時計は最近立ち上げたオンライン腕時計ショップAffordable Dive Watchesで購入することができる。まだ完全に日本語対応できていないが、何かご質問があれば infoアットマークaffordabledivewatches.comまでご連絡戴ければ日本語で対応します。
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(abcxyz)
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