Collaboration with purME
昨年プレビュー記事を記した顔の見えるマスク、purME。製品サンプルを提供戴いたのでそのレビューをお届けしよう。
肺活量が弱い人には向かないが、普通のマスクよりは断然気密性が高く顔も見え、普段使いしたいマスクだ。
なお執筆当初と製品版には少し異なる点も出てきているが、プレビュー記事の方はこちらで読むことができる:
もくじ
・開封:情報量の多い外箱と個包装のフィルター・早速組み立て
・マスクの洗浄・フィルターの交換
・実際に使ってみて
・色も悩むところ
・まとめ:肺活量と使いどころで普段使いのマスクに
開封:情報量の多い外箱と個包装のフィルター
外箱は紙製で、表面には三色のカラーバリエーションが映し出されている。
後ろには、フィルターがモジュラー式であること、防滴であることなどの機能紹介の他、本体は防滴ではあるが、フィルターは防滴では無いので、フィルターポッド内が濡れたり、リスクの高い場所(病院や空港)に行った後などにはフィルターを取り替えるよう注意書き。
なお入っている本体色は左下にシールで示してある。
・FDA(米食品医薬品局)承認食品グレードのシリコン
・LFGB(ドイツ食品衛生管理法)認定素材
・KN95認定フィルター*
・GB 2626-2006 KN95(NIOSH N95もしくはEUのFFP2相当)
(*KN95フィルターに関しては以前執筆した記事のこの辺をお読みになられると詳しいが、空気清浄呼吸器保護用マスクの規格で、アメリカのNIOSH N95、ヨーロッパのFFP2規格相当。)
が使用されており、PM2.5やアレルゲンなどの有害な粒子から守る事ができるとのこと。
空中浮遊粒子であれば0.3um(マイクロメートル)>95%
飛沫は>99.999%防げるとしている。
箱を開けると出てくるのはこちら。
カラーバリエーションはクリア・半透明白・半透明黒。なおこのほかにも子供向けサイズのものも開発されている。
合格証はこちら。有効期間は5年とのこと。
吸入弁(Inhale Valve)、排出弁(Exhale Valve)はそれぞれ青と緑に色分けされている。これを穴に通して引っ張ることで「ポッド・ベース」(Pod Base)に合体させる。
早速組み立て
部品を並べてみるとこんな感じ(実際に組み立てる順で並べているわけではない)。
このときに合体させる方向が吸入弁と排出弁で逆であることに要注意。
緑の排出弁は難なく合体させられたものの、青い吸入弁の方はなぜだかこれがなかなか難しく、ひとつちぎれてしまった。
これに関してサポートに連絡し、将来の製品版にはもう一つ予備の弁を入れた方がいいのではと提案したところ、早速もう一つ送るとともに、提案をチームに伝えるとのことだった。対応の早さは安心感がある。
フィルターが入るポッド部分の一番外側には「防滴キャップ」(Splash Cap)がくる。ここには細かな穴が開けてある。中央部にはpurMEのマークも。
purMEのロゴマークはマスク本体にも。
本体には「R」、「L」の表記。「いやいや、マスクなんだから右左判るでしょ~(笑)」と思われるかもしれないが、これはストラップと繋がっている耳にかける柔らかいフックに対応したもの。
ストラップの先は輪になっており、これをポッドを装着するときに挟み込むようになっている。これは上手い仕組みだ。
左右のストラップはこのように磁石でひっつけるようになっているため着け外しがしやすい。
この個包装の中に入っているのが…
付属のKN95フィルター。メルトブロー法で仕上げられた人工繊維が、不織布の中に入れ込まれて作られて居る。
こちらは別売りのP100フィルター用のアダプタ。
マスクの洗浄・フィルターの交換
毎使用後にはマスク表面のスポットクリーニングが進められている。マスク表面は、希薄された塩素漂白剤、99%消毒用アルコール、その他の一般的な消毒液で拭いてきれいにすることが可能。マスクの内側も同様に拭くことが可能だが、外側に使用した布で内側を拭くと汚染される可能性もあるので別々の布で拭くようにと指示されている。
マスク全体の洗浄は、7日間の通常使用、25時間使用した際、もしくは必要に応じて行うべしとされる。フィルターの入ったポッドをマスクから外し、ポッドの表面を拭く。マスク全体を水に浸す。中性洗剤を使用しても良い。マスクが綺麗になったらつるして空気乾燥挿せる。マスクが完全に乾燥してからポッドを取り付ける。マスクを洗った後は自分の手も洗うのを忘れずに、とのこと。
また、説明書に記していないが、プレビュー記事で記していたように本体は80度のお湯で洗うことも可能だとサポートから回答があった。
KN95フィルターは50時間の使用もしくは14日間は最大の濾過性能のまま使用できるとされる。なお、空気汚染が酷く、空気質指数(AQI index)が200である場合は、最大の濾過性能で連続使用ができるのは8時間とされる。そのため空気汚染度に合わせて適切にフィルターを取り替えよう。
それに加えて、冒頭外箱にも書いてあったとおりにフィルターが水で濡れたり、破れたり、汚染されたりした場合、そして他の人とマスクをシェアしたい時などにもフィルターを取り替えることが推薦されている。
なおフィルターを捨てる際には可燃性のゴミとして捨てること、有害な粒子がはいってしまっているかもしれないので接触はしないようにとのことだ。
実際に使ってみて
着け心地は想像以上に良かった。シリコン製のマスク本体部分は顔に密着しても痛くはないが、つけ心地の良さはマスクストラップの自由度の高さにもあるだろう。ストラップリングはベースポッドの周りを360度回せるようになっており、鼻口と耳の位置関係に合せてストラップが出る位置が可変する。
耳フックも柔らかな素材であることとある程度の太さを持っているため、キツく着けたとしても普通のマスクほどに耳が痛くなることもない。ストラップ部分も左右両方で長さ調節ができるが、耳フックもまた前後に傾けることでカーブした部分の耳への当たり方を調節できる。
ただし、私の妻には耳フックは不評だった。妻の耳は比較的小さく、耳の出っ張り(耳介)に対して耳フックに厚みがあり過ぎて、きつく装着していても、ふとした拍子にフックが耳からズレ落ちてしまうのだ(特に息を吐く際にマスクが前に引っ張られて落ちやすくなっていた)。
妻によればメガネと合わせての着用は問題ない。それどころかメガネが曇ることもない(purMEの顔への密着度からすれば当然とも言えるが)。
マイナス5度のベランダに出てpurMEマスク、一般的なマスクを顔に付け替えて試してみたが、普通のマスクではメガネが曇るのに、purMEは曇ることはなかった。
頭の後ろにくる部品も高い付け心地に貢献しているほか、この部品のお陰で写真のように耳フックを外して首から掛けることも可能だ。
気密性が高いため、息を吸うと、マスクが僅かに顔方向に引っ張られる感じがして、吸入弁から空気が入ってくる。最初は息苦しく感じるかもしれないし、肺活量が弱い人には向かないかもしれない。
(なお、これに対応するためか、現在purME Airというタービン付きのモデルも開発されているところだ。詳細はpurMEの公式サイトでどうぞ。)
着けたまま室内で数時間過ごしてみたが、普段より大きく息をしているという意外には問題無く過ごすことができた。雪の降る中外を散歩したりもしてみた。
パウダースノーではあったが、所々膝下まで積もっていたり、雪の下が凍っていて滑って転けそうになったり…
…このような坂道を登ったり、約20分間ほど歩いてみた。
筆者は30代半ばでほとんど外出せず、運動と言えば週に数回YouTubeでエアロビをするくらいなものだが、マスクを外すほど呼吸が辛くはならなかった。ただ、心拍数が上がるような場面ではより努力して呼吸せねばならず、肺活量が鍛えられそうだなと感じたのも事実だ。
顔面に髭があっても、ある程度のきつさを持って着用すれば、このようにフィルターを通して空気が出入りする(左の写真では右側のフィルター部分が凹んでいるのがお判りだろう)。もちろん緩く着けると髭の隙間から空気が出入りしてしまうので、一番良いのは髭を剃ることだろう。
これは私の顔の形状によるものである可能性も高いが、息を吸うときにはちゃんとフィルターを通して空気が入るが、息を吐き出すときには鼻筋か左の頬から一部空気が漏れてしまった。ただ、ダダ漏れという感じではなく、排気フィルターからも空気は出ていたので、もう少しストラップを調節したりキツくしたりすれば解消される可能性はある。
息を吐くときにはマスクの中が曇る(左写真)。しかし息を吸うと曇りは解消される(右写真)。
なお、もし呼吸が苦しくなった場合はマスクを外すのも一つだが、顔を大きく歪めるなどしてマスクと顔の間に意図的に空間を作ってやれば一時的に楽に外気を取り入れることもできる。ただし、このマスクが半透明であることをお忘れなく。
その気密性のため、声はだいぶくぐもってしまう。なので会話を多くする時の着用には向いていないだろう。しかし会話が無理というわけではなく、私はこれを着けたまま病院に検査試料を届けに行き、「身分証の提示は必要ですか?」、「はい本人です」、「良い一日を」などの短い言葉を声を大きめにして看護師に伝えたが、聞き返されることなくコミュニケーションを取ることができた。
流石に雪吹雪、外気温がマイナス5度ほどのヘルシンキで外を歩くと、帰ってくる頃には中がだいぶ曇り水も溜まっていた。室内での使用ではこのようなことは無かった。
なお当初は透明なモデルのpurMEマスクを着用したままFace IDで認識できるとされていたが、今はその表記がなくなっているようである。それでも一応デバイスやソフトウェアによっては認識されるという報告も(そしてされないという報告も)あるようだ。なお私のSurface Goの顔認証Windows Helloではマスクを着用すると認識されなかった。
冒頭でもお見せしたように、カラーバリエーションはクリア意外にも半透明白(左写真)・半透明黒(右写真)の合計3つが用意されている。
色も悩むところ
こちらは半透明白。顔もクリアほどではないにしろ見える。スプラッシュカバーはローズゴールド。
まとめ:肺活量と使いどころで普段使いのマスクに
私はこのマスクは非常に上手くデザインされたと思うし、このマスクが気に入っている。このマスクの唯一の難点は呼吸するのに普段よりも力が必要であるという点であるが、それは気密性の高さの代償だ。また、耳の小さい人にとっては調整(位置を調整して耳にフックを掛けないようにするなど)が必要かもしれない。
しかしそれ以外の点では私はこのマスクを大いに評価したい。気密性の高さと着け心地の良さの両立。声がくぐもることも欠点ではなく、気密性の高さの代償だし、本体が透明/半透明であることで、声のくぐもりを補うように表情というコミュニケーション性を保ったままマスクを着用することができる点も大いに評価したい。
メガネを着用される方には、マスクを着けても曇らないという利点も大きいだろう。
…堅いマスクとは違って本体部分がそれぞれの顔の形に合わせて柔らかくフィットする点、そして柔らかいからこそ、堅いプラスチックでできたマスクや、金属製のフレームの入ったマスクとは異なり、何かにぶつかっても、何度折り曲げても本体部分は壊れることはないというのも安心だ。
人は激しい運動をすると口から息を吸う。それに比べればフィルターの大きさ=空気の入り口の方が当然ながら小さいため、取り入れることのできる新鮮な空気の量は制限されてしまう。
そのため激しい運動やランニングには向かないであろう。だが、人の密集した車内で過ごさないといけない通勤・移動時などには最適だろう。
会話によるコミュニケーションを行うのも可能ではあるが、音量は小さく、くぐもった声になってしまうことにも注意。もちろん相手の声は聞こえるし、透明・半透明のマスクなので自分の表情が相手に見えるという点もある。
(写真では伝わり辛いのだが、実際には口が動くとちゃんと見える)
なので会釈や短い単語で済むようなコミュニケーションにも有用だと言える。特に従来の顔が隠れてしまうマスクと異なり、会釈・口の表情が見えるという点においては、これまでの「マスク>顔が見えない>怪しい感」を打開することが出来(これはコロナ以前にマスクを着ける習慣のなかった文化では顕著だったと言えるかもしれない)、マスクに社会性を与える製品とも言えるだろう。
purMEを着けて再確認できたこととしては、普通のマスクでは大部分の空気がマスクというフィルターを通さずに鼻口に入り、そして出ているのかと言うことだった。
私はこれからも人口が多い場所に出るときはpurMEを着けるようにしようと思っている。もちろん、走ったりして息が苦しくなるといけないので普通のサージカルマスクも忘れずに荷物に入れておこうと思うが。
購入されたい方はpurME公式サイトへ行くとよいだろう。
Source: purME
(abcxyz)
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