薄いしシンプルな見た目だし、遠目に見たらクオーツファッションウォッチと見紛うかもしれない。だがミドー・バロンチェッリ・ヘリテージは奥深い上品さを秘めた極薄の自動巻き腕時計なのだ。
今回は、先日の投稿『予算10万円程度で、自動巻きで薄い腕時計が欲しい!』でやっぱり7mm台の薄い腕時計が欲しいと言う結論に至り手を出してしまったミドー・バロンチェッリ・ヘリテージ(M027.407.36.260.00)のレビューをお届けしよう。
・ラグの美しい極薄ケース
・テクスチャーにこだわった文字盤と針
・本体と同じく薄いストラップ
・まとめ:薄くシンプルな腕時計に隠れる奥深い美しさ
白い外箱をスライドさせると…
image: MIDO
裏蓋には「MIDO」、「WATER RESISTANT」(防水)、「3bar(30m/100ft)」(防水性能表記)、「SAPPHIRE CRYSTAL」(サファイアクリスタル)、「STAINLESS STEEL」(ステンレススチール)、 そしてシリアルナンバーらしきものが刻印されている。
ムーブメントはETA 2892-A2ベースのMIDO1192。ムーブメントそのものの径は25.60mmで、厚みは3.6mm。パワーリザーブは42時間で、28,800bph、21石のムーブメント。
公式サイトではこの腕時計の宣伝文句として「軽さと薄さ、そして2面仕上げの針とダブルゴドロン装飾が織りなす、すっきりとしたラインが際立つモデル。」と書かれている。「ゴドロン」(gadroon)というのは「丸ひだ飾り」のこと。
この腕時計の中で唯一ゴドロン装飾に見える部分はムーブメント地板の一番外側のところか。
針は時分秒針の三針。秒針もついているのは嬉しい。秒針は写真によっては黒に見えるが、実は美しい青色をしており、光を浴びるとそれがよくわかる。
時分針は長さ方向に山折れのダフネ針で、注意して見ると片側が鏡面仕上げ、片側がサンドブラスト加工がなされている。これは先日レビューしたセイコー・プレサージュ・オールド・ファッションドと同様の仕上げだ。
厚みは実測で時計部近くは3.2mm、端の方だと2.2mmほど。複層仕上げだが薄いので耐久性が気になるところだが、こればかりは使い込んでみないとわからない。
ぱっと見シンプルな見た目からはダニエル・ウェリントンに代表されるファッションウォッチを連想する方もおられるかもしれない。
*ちなみにダニエル・ウェリントンのクラシックコレクションは厚さが6mmで並行輸入モデルだと1万円台後半で購入できるようだ。薄さのみを求めるのであればありかもしれない…
1918年創業、数年前に100周年を迎えたスイスの腕時計会社ミドー。このミドー・バロンチェッリも元々は1976年に誕生したなかなか歴史のあるコレクション。今回レビューするミドー・バロンチェッリ・ヘリテージは、このバロンチェッリコレクションの40周年を記念して2016年に発表されたモデルとなる。
もくじ
・開封:ひっそり隠れたROBI君がかわいい化粧箱・ラグの美しい極薄ケース
・テクスチャーにこだわった文字盤と針
・本体と同じく薄いストラップ
・まとめ:薄くシンプルな腕時計に隠れる奥深い美しさ
開封:ひっそり隠れたROBI君がかわいい化粧箱
MIDOのロゴと「SWISS WATCHES SINCE 1918」がオレンジ色にプリントされた黒い外箱が出てくる。
外箱の裏には謎のロボットくんが!!誰だお前!
外箱を開けるとしっかりした化粧箱が。表面のテクスチャーはレザー調。外箱にもあったが「MIDO」、「SWISS WATCHES SINCE 1918」 がここにも記される。
オレンジ色の線は1段下がった部分に配されており、高級感がある。
これを開けると出てくるのがバロンチェッリ・ヘリテージ!(そして箱の内側にこれでもかと言わんばかりにまたしても「MIDO」、「SWISS WATCHES SINCE 1918」)
流石に10万円ちょっとする腕時計だけありクッションも10万円以下の腕時計に付いてくるのものと比較するとだいぶ質感がある。
化粧箱の下、外箱との間の部分には2年間全世界保証カードと保証書兼説明書。
保証書兼説明書には謎のロボットくんが!ミドーのロボットなのか…。
調べてみたところ、ミドーの「アンバサダー」として1939年から活躍しているROBI君だそうだ。
image: MIDO
うん、なんかMS Officeのアシスタントに混ざってても全然違和感が無さそうだ。
ケースはやはり薄いことが印象に残る。
風防はサファイアクリスタル製で、両面に反射防止コーティングがなされている。ベゼルレスだが、風防の周りは段々になっており、風防はわずかに突き出ている。
なお実際にケース裏から風防までを図ってみたところ7.33 mmあった。計測機械の誤差である可能性もあるが、もしかしたらこれは、風防がケースから突き出ているため(つまり公称ケース厚は飛び出した風防を考慮に入れていないため)だろうか。
竜頭は コインエッジで、頭頂はわずかに膨らみ「MIDO」の文字が浮き出す。
ラグは美しい。上から見るとラグの外側の線は内向きに伸びていることが判る。また、ラグ先部分はストラップと平行ではなく、傾斜しているのがおわかり戴けるだろうか。
横や斜めから見ればラグが単純な2次元的形状では無く、下向きの傾斜を描き、下部は膨らみを帯びていることがわかる。
色はローズゴールド。この色は1マイクロメートルのPVD物理蒸着法でコーティングで付着されているので色が落ちることはまずない。(特に意味のない比較だが、少し前にレビューしたソ連製の腕時計は20ミクロン=20マイクロメートルのゴールドプレーティングがされていた。)
ミドー公式が挙げているPVD処理の利点としては、「耐食性が長期間持続する」、「硬度と堅牢性を強化する」、「形成される膜は低アレルギー性」とのこと。
裏面はエキシビションバックで、ネジ留め式。中のムーブメントと、MIDOのロゴが刻印されたボールベアリング式のローターが見える。
このブログでは以前にもPVD処理により色が付けられた腕時計を取り上げたことがあるが、安価な腕時計だと裏蓋=手首に触れる部分にはPVD処理がなされておらず、「低アレルギー性」という利点を享受することはできない(例えば安価だがとても美しく上品なオリエント・バンビーノは残念ながら裏側は無処理のステンレススチール)。
裏蓋には「MIDO」、「WATER RESISTANT」(防水)、「3bar(30m/100ft)」(防水性能表記)、「SAPPHIRE CRYSTAL」(サファイアクリスタル)、「STAINLESS STEEL」(ステンレススチール)、 そしてシリアルナンバーらしきものが刻印されている。
ムーブメントはETA 2892-A2ベースのMIDO1192。ムーブメントそのものの径は25.60mmで、厚みは3.6mm。パワーリザーブは42時間で、28,800bph、21石のムーブメント。
公式サイトではこの腕時計の宣伝文句として「軽さと薄さ、そして2面仕上げの針とダブルゴドロン装飾が織りなす、すっきりとしたラインが際立つモデル。」と書かれている。「ゴドロン」(gadroon)というのは「丸ひだ飾り」のこと。
この腕時計の中で唯一ゴドロン装飾に見える部分はムーブメント地板の一番外側のところか。
MIDOのロゴの入ったローターはコート・ド・ジュネーブ。ローターはボールベアリングでスムーズに回るが回転音は大きめ。ケースを薄くしているためもあるのだろうか。
地板の上部分にはペルラージュ模様、一部に青ネジが用いられている。
文字盤全面にエッグシェルという微妙な起伏のあるテクスチャー。
インデックスは各時に黒い直線、各分に黒いドットがあるとてもシンプルなもの。 12時には直線が2本ある。
12時下には「MIDO」(ミドー)、「AUTOMATIC」(自動巻き)、6時上には「Baronchelli」(バロンチェッリ)、「HERITAGE」(ヘリテージ)、6時下に「SWISS MADE」(スイス・メイド)の文字。
だがこれらの文字盤要素はただ単にエッグシェルテクスチャーの上にそのままプリントされているわけでは無い。注意深く見ると、それぞれの文字、インデックスらが文字盤から僅かに突出して、その上に艶のある黒が乗っているのがわかるだろう。
12時下には「MIDO」(ミドー)、「AUTOMATIC」(自動巻き)、6時上には「Baronchelli」(バロンチェッリ)、「HERITAGE」(ヘリテージ)、6時下に「SWISS MADE」(スイス・メイド)の文字。
だがこれらの文字盤要素はただ単にエッグシェルテクスチャーの上にそのままプリントされているわけでは無い。注意深く見ると、それぞれの文字、インデックスらが文字盤から僅かに突出して、その上に艶のある黒が乗っているのがわかるだろう。
3時には日付窓が開いている。窓と日付ディスクの間にも隙間がほぼない。
なお文字盤の色は一見すると白だが、僅かにクリームがかった色だ。(日付ディスクの白と比較すると判りやすい。)
針は時分秒針の三針。秒針もついているのは嬉しい。秒針は写真によっては黒に見えるが、実は美しい青色をしており、光を浴びるとそれがよくわかる。
時分針は長さ方向に山折れのダフネ針で、注意して見ると片側が鏡面仕上げ、片側がサンドブラスト加工がなされている。これは先日レビューしたセイコー・プレサージュ・オールド・ファッションドと同様の仕上げだ。
こうしてオリエントのバンビーノ36と比較すると、バロンチェッリ・ヘリテージの方が針の高さが抑えられ、針と針との間の間隔も切り詰められているのがわかるだろう。文字盤部分も時計全体を薄くすることを考えて設計されているのだ。
なにせ時針は文字盤すれっすれ。眺めているだけで文字盤と擦れちゃわないかとドキドキしてくる。
型押しはなかなか詳細にできている。
裏面は微細に毛羽立たせてある肌触りのいいスエード/ヌバック調。レザーであることを示す刻印はなされていないが、ミドーは高品質の本皮であるとウェブサイトで語っている。
ケースと同色のバックルは一般的なものよりも四角っぽい形。「MIDO」のロゴの刻印もある。
まとめ:薄くシンプルな腕時計に隠れる奥深い美しさ
ぱっと見シンプルな見た目からはダニエル・ウェリントンに代表されるファッションウォッチを連想する方もおられるかもしれない。
*ちなみにダニエル・ウェリントンのクラシックコレクションは厚さが6mmで並行輸入モデルだと1万円台後半で購入できるようだ。薄さのみを求めるのであればありかもしれない…
当然ながらバロンチェッリ・ヘリテージの仕上げのほうが格段に質が高い。ではなぜ新興ファッションブランドのクオーツモデルという”格の違う”ダニエル・ウェリントンを引き合いに出したかといえば、そのシンプルさに似ているところがあるからだ。
別の言い方をすれば、同じくドレッシーな自動巻き腕時計でりながら文字盤内に目を惹くような装飾的要素のあるセイコーのカクテルタイムやオリエント・バンビーノとは、遠く離れた位置にバロンチェッリ・ヘリテージは存在するとも言える。
だがやはりダニエル・ウェリントンの時計とこのミドーの時計はシンプルさこそ似るが、外見だけとっても大きく異なるのだ。
ダニエル・ウェリントンに見られるシンプルさはミニマリズムの追求と低価格生産の両立によるものと思えるのに対して、バロンチェッリ・ヘリテージの中に見られるシンプルさは、「薄い自動巻き腕時計」であることと、クラシカルなドレスウォッチであること、これらを両立させるためのデザインの取捨選択の中で生まれたように思えるのだ。
左にセイコー・プレサージュ・カクテルタイム(厚さ14.4mm)、右にオリエント・バンビーノ36(厚さ約1.1mm)。どちらもドーム状風防が突き出るタイプであるが、風防を無視してケースだけ見ても中央の7.33mmのミドー・バロンチェッリ・ヘリテージの薄さは際立つ。
文字盤を薄くするためにアプライドインデックスを用いず、その制約のある中でどのようなデザインができるか探る。ケースの形状も、時計全体の薄さを保ったままでデザインの可能性を探る。
その結果生まれた一見するとシンプルな腕時計の中には、注意深く見なければ判らない上品さがある。わずかに突出したインデックスにせよ、2面に異なる仕上げを施した針にせよ、優雅なラグをもつケース形状にせよ、シンプルな外見の中に細やかな仕上げが施されていることにより、奥深い美しさがここにはあるのだ。
なので、カクテルタイムのような一目見て判るような目立つ装飾性は持たず(ムーブメント側は一目見て断然バロンチェッリ・ヘリテージの方が装飾的で美しいが)、だからこそ物足りなさを感じる人もいるだろう。
奇抜性や派手さを求めず慎ましく、しかし気品がある。カッターシャツの袖に引っかかりもせず、人からは薄さでクオーツと思われ、それでも気高く手首に在る。
そういう腕時計がミドー・バロンチェッリ・ヘリテージだ。
ペアウォッチにも最適だし、大小両モデル(メンズとレディーズ。記事中の物はメンズ)存在するのでご自身の手首径に合わせて選ぶのも良いだろう。
購入の際には送料無料、コマ詰め無料、2年間保証、返品返金保障の付いた楽天ミドー公式オンラインストアだとカラーバリエーションも豊富に選ぶことができる。
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