今回ご紹介するのは、独特の形状と、『ミッション・インポッシブル』でトム・クルーズが着用したこと、この二点で世に知られるカシオの海外モデルDW-290。
実はこれ、海の向こうでは『ミッション・インポッシブル』顔負けの死と紙一重のリアルなミッションに参加する人たちが身につける姿も確認されているモデルなのだ。
もくじ
・開封の儀式はなし・六角形の個性が魅力のケース
・文字盤
・ストラップ
・まとめ
開封の儀式はなし
一応新品なのでまだこういう広告用のタグもついていた。貧弱なライト機能を持つデジタル時計とは一線を画すエレクトロルミネセンスバックライト機能が売りな訳ね。
六角形の個性が魅力のケース
ケースは全体的に六角形でどことなくSF映画か、映画のコンセプトアートからそのまま抜け出てきたようなデザイン。(なお六角形が好きな方でデジタルよりもアナログの自動巻き腕時計が良いという方はDietrichのTC-1もチェックされるとよいだろう)
主に設定の際に押し込む左上の「A」ボタンのみが奥まっており、それ以外の3ボタンは突出している。「A」、「B」ボタンの付け根には3つの突起点がある。4つしかボタンがないこの時計で、わざわざ触覚を使ってボタンの位置を把握する必要性は無いだろうが、触感としても愉しめるし、以下に述べる下の2ボタン周りの造形とのバランスもあって配されているのだろう。
下の2ボタン「C」、「D」はケースの付け根部分が筒状に形成されており、その両脇には艶のある丸が配されている。これは一つのパーツを複数のパーツで作られているように見せる彫刻的なテクニックの造形だ。これがこのモデルのかっこよさの大きなポイントであるように思える。また、これにより本体下方が情報と比べずっしりとしたボトムヘビーな印象も与えている。
14mm厚は消して薄いとは言えない。左のボタンは引っ込んでいるAボタン。下に切れ込み(?)があるので、無理してボタン中央を押そうとせずに、爪などで切れ込み側からボタンを押そうとすると押し易さが向上する。
中国で製造されているようだ。中に入っているムーブメントもといモジュールは「3231」。月差は±15秒とのこと。バッテリーはCR2016で、公式によればバッテリーライフは約2年。
ミネラルガラス風防の(開口部の)形状も六角形となっており、文字盤も六角形だ。黒い枠に赤い縁取り、ボタンの機能説明は白字で、金色の追加説明、そして青色でバックライトボタンを強調している。
黒枠から一段下がって液晶部。この切り抜きと、黒枠と液晶との間のチャプターリングに当たる部分は六角形ではなく八角形になっている。
文字盤
黒枠から一段下がって液晶部。この切り抜きと、黒枠と液晶との間のチャプターリングに当たる部分は六角形ではなく八角形になっている。
現在時刻表示時には左上に曜日、右上に月日が。中央を横切るように「ALM」、「SIG」、「SPLIT」、(わずかに隙間が空いて)「LIGHT」、そして「Backlight function」インジケーター用の空間。下部に時分秒が表示される。
多彩な機能
多彩な機能をフルに堪能するためには取扱説明書をよく読んで覚えよう!だが海外モデルであるため、説明書に日本語の記載は無い。
日本カシオ公式から3231モジュールの説明書を探そうとしても見つからないが、それは3231が海外向けモデルだからで、日本語版説明書はそんなものは存在しないためだ。カシオ・ワールドワイドサイトでは英語版取説がPDFでダウンロードできるから、もしどうしても英語では無理という方はPDFから文字情報をコピーしてGoogle翻訳なりDeepLなどで日本語に翻訳すると良いだろう。
年月日を合わせると曜日は自動で設定される所謂パーペチュアルカレンダー。ただし、説明書によればカレンダーは2099年分までしかないようだ。ブログ『ε=ε=ε=┏( ▼_[Hide Out]』の投稿「CASIO DW-290 新旧モジュール比較( ̄~ ̄;)!」によれば、旧モジュールは1995年~2039年となっている。
なおカウントダウンタイマー画面とストップウォッチ画面では、画面右上に現在時刻が表示されるのは地味に便利。
多彩なアラーム機能
アラームは設定すると文字盤中央の「ALM」上にマークが表示される。あと毎時知らせる「hourly time signal」機能もあり、これを設定すると「SIG」の上にマークが表示される。
カウントダウンタイマー
さてそんな便利なカウントダウンタイマー、DW-290では時間、分だけでなく秒まで設定できる。最短1秒(笑)、最長24時間(0:00:00でスタートすると24時間)。また、カウントダウンタイマーのオートリピート機能もあり。
しかしカウントダウンタイマーとして致命的なのは、カウントダウン時間の設定時に、値を変更できるボタンが一つだけ(B)しかないこと。つまり、現在10分のカウントダウン時間が設定されていて、これを3分に直したいときには、Bボタンを押しっぱなしにしてカウントアップしていかないといけない(つまり10分>押しっぱ>30分>59分>0分>1分>2分>3分)。これはカウントダウンタイマーを重要視する筆者にはとても残念な点だ。この点はカシオ・ワールドタイムA500Wの方が設定アップダウン両方できるので便利。
とは言え「3分麺しか作らない」など決まった時間のカウントダウンが多い人には重宝することだろう。
ストップウォッチ
スプリット機能もある。これは時間計測途中にAを押すことで、押した時点での経過時間を表示したままにできる(実際には計測はそのまま続いていて、Aを再度押すと計測中の画面に戻る)ものだ。だが、これに奥まったAボタンを使用するのはいかがなものか。押しにくいのでスプリット機能には適していないと思う。
バックライト
もちろん暗所可視性もバッチリ。こうしてみると文字盤が八角形であることが判りやすい。
「Backlight function / バックライト機能」は、現在時刻表示モードでBボタンを長押しすると、オンになる(画面上にアイコンがでる)。オンの状態では、アラームが鳴ったときなどにバックライトが点滅する。
ストラップ付け根周りが特殊な構造になっておりベタ置きしにくいG-Shockと異なり、DW-290は(ストラップは緩やかにカーブが掛かっているものの)このようにほぼ平らに置くことが可能。
取り外して他の19mmストラップに付け替えるのも簡単だ。写真はドイツsay time watchのブレスレット付属のコルク製ストラップ。なおこれは18mmだが付けることができた。DW-290付属のストラップは、ピンの部分のみ狭まっているので、なかなか他のストラップで純正のような一体感を出すのは難しいだろう。
時計部に近い側の2「コマ」は、セイコーSKX007/009のラバーストラップのように波打っている。しかしカシオのこれではその波打ちも意匠に役立てており、コマの両端を小ぶりにして、まるで3連ブレスレットかのような立体感を生み出している。
また、ストラップの長さ方向に沿って綺麗に溝が掘ってあるのも注目ポイント。ストラップに厚みを持たせながら、装着時にバックル部に高低差がでにくいようにするための工夫だろう。
手持ちの腕時計の数々と比較しても長めのストラップで、穴は13個も付いている。16~17cmの手首径の私には、4つ目か5つ目が丁度良い。
ストラップループはこんな感じ。ループに付いている穴も、ストラップ穴やストラップの窪みと共通するピル状というか両端が丸まった棒状をしている。
バックル裏面には両端に等間隔で(まるで歯が並んでいるかのように)突起部分が。時計が手首で回転し辛くするためか、それともストラップが皮膚に密着しないようにする工夫だろうか。
まとめ
DW-290のデザインが気に入れば買って損はしないだろう。今や世界的な映画フランチャイズの記念すべき第一作目(元々はテレビシリーズだが)に出ていたという点でも記念すべきモデルだ。
Image: NASA (public domain)
(写真はNEEMO 7で水面下9kmにあるAquarius Reef Baseにて作業するアクアノート故Craig McKinley氏の姿)
更にはこのように、NASAのミッションに携わるアクアノート(潜水技術者)たちがNEEMO(NASA極限環境ミッション運用)で着用している写真も公開されていたりする。wiki.zibet.netのCasio G-shock galleryではDW-290の写った他の写真の他、宇宙飛行士やアクアノート達の着用する様々なG-Shock写真をまとめてみることができる。実際に宇宙に行くときには大人の事情でNASA公式装備のオメガとかしかつけることができないけど、それ以外の訓練とかではタフで使いやすくて、ブランドよりも実用性重視で日本のカシオなんだ。
更にはこのように、NASAのミッションに携わるアクアノート(潜水技術者)たちがNEEMO(NASA極限環境ミッション運用)で着用している写真も公開されていたりする。wiki.zibet.netのCasio G-shock galleryではDW-290の写った他の写真の他、宇宙飛行士やアクアノート達の着用する様々なG-Shock写真をまとめてみることができる。実際に宇宙に行くときには大人の事情でNASA公式装備のオメガとかしかつけることができないけど、それ以外の訓練とかではタフで使いやすくて、ブランドよりも実用性重視で日本のカシオなんだ。
他にも米空軍の湾岸戦争砂漠の嵐作戦参加者が着用する写真などもhardMOBで見ることも出来る。
(写真右はG-Shock、AWG-M100)
私は一部のカシオ・データバンクや、一般的に「チプカシ」と呼ばれている安価なカシオ(の中の特定のモデル群)を除き、価格的に微妙に上のあたりのカシオのデジタル腕時計はG-Shockも含めて結構嫌いなのだが、DW-290に限ってはツボにはまるデザインだ。
もちろん充実の機能も忘れてはいけないポイントだ。アラーム機能の多様性はアラームを多用するという方には嬉しいはず。カウントダウンタイマーも使い勝手は最良では無いもののありがたい機能だし、秒単位で設定できるのは他ではあまり見ない利点。
Aボタンが少々押しづらいため、ストップウォッチでスプリット機能をよく使うという人にはお勧めできない。とは言えAボタンは主に設定のリセットに用いられるため、このボタンが押されづらいことは理に適っている。
ケースでも文字盤でもデカデカと宣伝されているバックライトも明るいし、なによりもDボタンがライト専用ボタンとして存在するのは心強い。というのも前述のワールドタイムではモードによってライトボタンが時刻設定用に使われてしまうため、アラーム設定などの際にバックライトを作動させることができない>暗くて時計が見えない>設定画面から出られない!>バックライトが使えない!!ということが起きかねない。でもDW-290ではそんなことはあり得ないというわけ。
また、G-Shockのような特殊なストラップ構造ではないため、やろうと思えば比較的簡単にストラップが変えられるのも良いところ(当ブログでも何度か取り上げているVARIOなどはG-Shock用のアダプタ付きNATOストラップなども販売しているのでG-Shockでも無理ではないのだが)。
それ以外にも、軽いし、防水性能もバッチリ。本体の厚みが14mmと自動巻き腕時計並みの厚さではあるものの、風防もしっかりケースより下がった位置にあり、スマホのように落下の際にガラスが割れるなんてことはまず無さそうだ。
G-Shockなどと比べてどれだけタフかは判らないが、見た目の「強そう」感では負けず劣らずだろう。これだけ全部ぶっ込んで(並行輸入モデルではあるが)値段が5000円を切るというのも凄い。
(映画『ミッション・インポッシブル』は別としても)一歩間違えば死に繋がるようなハードな仕事をするミッションに挑む人達が身につけるという威信と信頼あり、更には機能面も充実して安い。デザインさえ好みに合えば大いにお勧めできる腕時計だ。
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