8000円で自動巻きビッグ・デイ腕時計?ロレックス・エクスプローラー・デイデイト??セイコー・ファイブSNK623レビュー!


「プレジデント」スタイルの安価な機械式腕時計が欲しいと言う記事を先日書いた。そこではオリエントの腕時計なら1万円代後半で購入できるという結論に至った。

だが、もしも曜日表示が大きい「ビッグ・デイ」であれば、「プレジデント」スタイル(12時辺りに曜日名が省略されずに表示されている)ではなくてもよいというのであれば、もっと安いものがある。

それが先日購入し、今回ご紹介するセイコー・ファイブのSNK623だ。購入してから文字盤がエクスプローラーに酷似していることに気づいたが、なかなか個性的で値段も激安の憎めないやつなんですよ。




もくじ

開封シンプルだがより高価なモデルよりもいいかも?
ケース:セイコー美もあるが好み分かれるブレス一体型
文字盤:エクスプローラーに似て非なる美しさ
ブレスレット:安いなりに頑張ってる
まとめ:品質管理に問題あり、でも倍の値段を出しても買いたいモデルかも?


開封:シンプルだがより高価なモデルよりもいいかも?


白い外箱には銀色の箔押し。


それを開けると先のものよりはより立方体に近い箱と、説明書兼保証書が出てきた。


こちらの箱も外箱と同じく白く、天面には銀色の箔押し があるが、中程部分は一段下がった青い帯がある。グランドセイコーのブランドカラーはロイヤルブルーと呼ばれるものだが、それに似ている気もする(参考:フィンランドで行われたグランドセイコーのイベント)。


この箱の上部を取り出すと、どっしり構えた感じで出てきたSNK623。 


このクッションはセイコー・アルピニストSARB017「ベイビー・グランドセイコー」SARB035などについていた毛羽立つクッションよりも好ましい。どちらも安っぽいのだから毛羽立たないほうがいいに決まっている(毛羽が腕時計に付着してしまうのだ)。


箱の下部、実は青い部分の内側には黒い部分が存在する三段構え。黒い部分にはやはり銀色で箔押し。凝ってるね。 


タグはヘアライン仕上げの銀色のもの。


ケース:セイコー美もあるが好み分かれるブレス一体型


ステンレススチール製のケースは幅36mmとかなり小ぶりな部類。ケース厚は11mmだ。(ちなみにロレックス・エクスプローラーの現行版はケース径39mm。) 

風防はセイコーの特殊強化加工処理を施した無機ガラスこと「ハードレックス」。


ブレスレット部分がケースとラグ部分と一体的な作りであることが特徴。


確かにこうしてみると時計部とブレスレットの一体感がでている。個人的にはちょっとカーブが多すぎる気がするのと、替えのストラップを探すのが難しいことからあまり好ましく思っていないが。 


ストラップを替えづらいのにラグ部分のストラップ穴は貫通しているのが少し虚しい(がこのほうが製造費が安く済むのだろう)。 


横から見ると固定式ベゼルは下にくびれがあり、その下のケース本体も側部とラグ天面との間に斜めの傾斜が付けてあるなど、セイコーらしい美しさのあるデザインとなっている。 


セイコー・ファイブの特徴の一つである引っ込んだ竜頭は、3時45分あたりに。竜頭トップには特に何も装飾は無い。 


ケース裏はねじ込み式でエキシビションバックとなっている。上は保護シールをまだ外していない写真で、シールの写真右側には「Made in China」との印刷が見える。 


こちらはシールを取った後の写真。


ガラス面には「SEIKO」、「WATER RESISTANT」(防水性能は3BAR)、「ST.STEEL」、「7S26-02F0」、「A4」、「M3」の性能類表記が黒字で記されている。シリアルナンバーはガラス面ではなく裏蓋に彫り込まれている。 ガラス面にも「SEIKO」と書いてあるが、その真下のムーブメントにも「SEIKO」の彫り込みが。


ローターには「TWENTY-ONE JEWELS」、「SEIKO TIME CORP.」、「7S26C」と三つ目のセイコー印。(ガラス面の社名はムーブメントに影を落とすので合計4つも「SEIKO」の文字が踊り目眩がしそうだ。) 

ムーブメントはもうすでに二回も記しているように「7S26(C)」。パワーリザーブ40時間、ハック機能なし(時刻調節時に秒針が止まらない)、手巻き機能なし。しかし数多くの旧セイコー・ファイブのほかSKX007/009など、世界に名を轟かせるセイコーの名ムーブメントだ。現行のセイコー・ファイブ・スポーツには7S26の代わりにそのアップグレード版とも言える4R36が使用されている。


ちょっと残念なのはムーブメントに僅かな傷/汚れが付着していること(ローター部分のベアリング部分から向かって右と、写真では見えづらいが左上)。1万円以下のモデルに文句を言うつもりはないが、品質管理は十分されているだろうか。


文字盤:エクスプローラーに似て非なる美しさ


この文字盤はいいね!後に何度も書くことになるが、黒文字盤にして良かった。文字盤がキリッと引き締まって見える。


針は時分秒針の3本で、ダフネ・スタイルの時分針には蓄光部がある。 よくよく見れば時針の蓄光よりも先の部分に汚れが付着しているのがお判りだろうか。品質管理! 


インデックスは12、6、9がアラビア数字で、他に3時に日付窓がある以外はバー状インデックス。インデックスの外側には四角く小さい蓄光部がある。 


12時下には「SEIKO」とセイコー・ファイブの「盾に5印」のロゴがアプライドされている。ロゴの縁取りの中はとても細かな横線が連なり、精巧さをアピール。 


ただ黒いだけの文字盤は安っぽく感じる人も居るかもしれない。だが、日付窓の窪みの縁部分は、目立った装飾はないのだが、光の当てようによってはエナメル風の艶が縁に現れる。それだけのことなのだが、これがただの黒に品を与えている。


お目当てのビッグ・デイは6時上。6時上には白い縁取りのあるピル状のビッグ・デイ=曜日開口部と、その上に「AUTOMATIC」、「21 JEWELS」の白い文字。 6時下には「7S26-」、「05W4 R2」。 


(土曜日は水色)
ビッグ・デイはプレジデント・スタイルの腕時計などと比べれば表示は小さいが、曜日名が英語でフルスペルで書かれている。 


(セイコー・ファイブ比較:左SKXY09の左右に連なる曜日日付と、右SNK623の分割された日付と曜日窓)

上写真の左モデルのように、現在一般的な日付と曜日が連なって表示されるものでは、英語曜日名は省略されているほか、曜日名は曜日ディスクに対して放射線状に記してあるため2言語分(例えば英語・中国語とか)の曜日名を収める余裕がある。


(日付が切り替わる様子)
このビッグ・デイではそこから90度傾けた形で曜日名が記してあるため、1言語分しか表示できない一方で表示部を大きく取ることができている。 

以前セイコー・ファイブについて書いたときに、その「ファイブ」の名称の元ともなる5大特徴の一つとして「3時位置の一つの窓に日付・曜日の両方を表示」というのがあると書いた。古い腕時計では日付と曜日の表示部が文字盤状に別々に存在したが、セイコー・ファイブは日付と曜日が並んで表示されているので画期的、ということ。 
 

(日曜日は赤)
となるとSNK623はセイコー・ファイブでありながらその5大特徴の一つを欠く、「セイコー・フォー」とでも呼んだ方が良いのかもしれない…。


数多くのバリエーションのあるセイコー・ファイブにおいて、これくらいのデザインの幅はありということなんだろう。そしてこいつはその逆に別々に表示されていることこそが存在意義と言えるし。 


image: eBay (eBayに出店されているセイコー・ウィークデーターたち)

SNK623の特徴である大きな曜日表示部は、セイコーが60年代に出していた「ウィークデーター」などのレトロな時計に似ていて好ましい(個人的にはSNK623のインデックスがすべてバー状で、曜日開口部も銀色に縁取られていたらもっとウィークデーター的なレトロさが感じられたのではとも思う)。 だがウィークデーターはもちろん廃盤モデルで、今から購入しようとすれば(6時日付モデルに限れば)eBayなどで販売されている中古でも4万円は下らない

 

レトロな雰囲気のセイコーRECRAFTライン(上)とかでウィークデイター復刻的なモデルが出てくれても良さそうなものだけど。 


でもやはり、SNK623の文字盤はロレックス・エクスプローラーのオマージュと言っても良いだろうか。バー状のインデックスと、3時間おきのアラビア数字インデックス(そしてフォントまで)がロレックス・エクスプローラーによく似ている。黒い文字盤ならなおさらだ。



とは言えエクスプローラー(上リンクサムネイル参考)との違いは値段とケースを別にしても多くある。12時インデックスは逆三角形だし、日付窓の代わりにエクスプローラーには「3」のインデックスがある。それでもSNK623の文字盤だけ見れば「デイデイト版のロレックス・エクスプローラー」みたいにも見えなくもない。


(SNK623蓄光写真)
ただ、各時インデックスが蓄光するロレックスとは異なり、こちらは各時インデックスの外側にある白い四角部分の中にぽつんと置かれた半球状の蓄光体が光るようになっている。もちろん針やケースなど色々に違いはあるのだが、それでも類似性は確かにある。


ブレスレット:安いなりに頑張ってる


(ケースとの一体感があるので)付属のメタルブレスレットに関してはケースの項目でも少し記したが、もう少し詳しく書こう。ブレスレット幅は、本体接続部分は中のコマなので10mmだが、以降本体に近い位置が21mmほど、そこから17mmまで細まり、バックルが20mm。


ブレスレットは横3コマで、左右の端は艶出し仕上げ、真ん中のコマはブレスレット長さ方向にヘアライン仕上げ。 


ブレスレットのエンドリンクに当たるケース直近のコマには「3278-B・E」と記してある。


流石にこの価格帯のモデルなだけあって、ブレスレットは金属を曲げて作っている安っぽい仕上げで、手首を回すとジャラジャラする感じがある。まあ横から見ないと判らないけど。 



とは言え横から見ると丸わかりでもある。


長さ調節は中古で購入したセイコー・ファイブSKXY09と同様の、板ピンタイプ。


バックルにはセイコー・ファイブのロゴが刻印されている。


バックル部分は薄い金属板を曲げて作ってある。 


SARB035はブレスレットもバックルもソリッドな金属でできていて高級感があったが、SNK623がそれに勝るのはブレスレットのマイクロアジャスト。あちらは二穴しかなかったがこいつは3穴ある。 たった一つ多いだけではあるが、微調整するにはこれが二つか三つかは着用感に大きな違いがでるもの。三つあって良かった。


(流れるようなブレスレットラインと英語表記の曜日の中で最も長い「WEDNESDAY」表示)
このブレスレットと、時計ケースの流れるようなラインがとても気に入ったという方もネットで見かけるが、わたし個人的にはやはりブレスレットをストラップに付け替えたりして楽しみたい。


接続部が凸型のストラップは存在するし、この時計に合うかどうかまでは調べてないが楽天で検索すれば多く見つかる(何故かAmazonでは上手く見つけられなかった)。それでも一般的な形状のストラップと比較すればバリエーションは多くない。お金に余裕のある方なら鳥取DAYTONAさんのような腕時計ベルト専門店にフルカスタムで作ってもらうのもいいかもしれない。

だがやっぱり普通のストラップをつけたい!…と言うわけで少々調べたところ、嬉しい発見があった。

 

Seiko 5 .Clubによれば、同じくセイコー・ファイブ シリーズの、より一般的な見た目のケースを持つSNK357(上リンク)のケースがSNK623のムーブメント+文字盤とぴったりのようで、両者のナカミを入れ替えることでよりストラップ付替えがしやすい腕時計にするMODを行っている。

SNK357も1万円程度で購入可能とは言え、両方買うとなればオリエントのビッグ・デイと比べて価格的な利点はなくなるが。 そしてそのままでも十分美しいSNK357をSNK623のケース交換のためだけに購入するというのはなんだかかわいそうにも思えてくる…


まとめ:品質管理に問題あり、でも倍の値段を出しても買いたいモデルかも?


やはりセイコーは安くてもいいものを作る。レトロさと同時にユニークを併せ持つ自動巻き腕時計がこんな値段で買えるなんて!

ビッグ・デイという特徴はこの腕時計を特徴づける部分だ。それも含めてわずか27.5mmほどの文字盤内に美しく収まっている。しかも1万円以下でこんなに美しくまとまった文字盤の時計を作るなんて!

とは言えこのレビューでも指摘したとおり目を凝らしてよく見れば、品質管理がちゃんと行われているのか疑問なところもある。だがそれでも許せてしまう価格(だって1万円もしないんだよ!)がすごい。 

使用されているムーブメント7S26も、ある意味歴史が証明した安心と信頼のおけるもの。SNK623の3倍以上、3万円の価格帯のSKX007/009シリーズや 、価格約10倍で(限定版であるためもあるが)8万円と高価なSKXA65Kにも使用されていること、そして7S26のアップグレード版である4R36/NH36もeBayでムーブメントだけ購入しようとすれば4000円近くするし…などと考えるとSNK623が1万円以下で買えることがどんどん凄いことに思えてくる。


個人的に唯一イチャモンをつけるとすれば、やはりそれはストラップ付け替えの愉しさが味わえない特殊なケース・ラグ形状だ。もしかしたらより平凡な=普通のストラップとかんたんに交換できるスタイルのケースにすると、あからさまなロレックス・エクスプローラーのオマージュに見えてしまうのでこのような形状のケースが選ばれたのかもしれない。なんて考えてしまう。


それでも買って後悔は全くしていない。そんな腕時計がこのSNK623だ。

文字盤にはとても満足しているし、やっぱりSNK357も購入してケース入れ替えやってみようかな…(そしたら汚れもきれいにできるし)。でも、この気持ちはつまり、ケースさえ少し違えば、この腕時計に倍の値段を出しても満足できるということの現れなんだろう。 

 

今回は文字盤が黒のSNK623をレビューしているが、このビッグ・デイには他にも文字盤が白のSNK619、文字盤が灰色のSNK621(上リンク)などの色違いモデルも存在する。灰色モデルは写真で見ると文字盤が緑がかって見えるのも素敵で、黒とどちらにするか悩んだが、可視性を優先して黒にした。 


(なおSNK623のブレスと時計ケースのコンビネーションが気に入ったけど文字盤は気に入らないという方は、これらをどうぞ:SNK601、SNK607、SNK615、SNKG17)

Source: Seiko 5 .Club

 (abcxyz)

コメント

Unknown さんの投稿…
はじめまして。
突然のメッセージ失礼いたします。

私は、腕時計に関する情報サイトrich-watchを運営しております、組織責任者の氏原と申します。
https://rich-watch.info/

喜殿のホームページを拝見して、非常に素晴らしいサービス・店舗を運営されているとお見受けしており、勝手ながら特別にご連絡を差し上げました。


早速のご用件で恐縮ですが、" 無料で喜殿の紹介記事を作成させていただきたい"ので、20秒だけお時間を頂けないでしょうか?
(20秒以内にメールを読み終えられます)

◎rich-watchとは(https://rich-watch.info/)
開設から約8ヶ月でトータル記事数2500記事以上、Twitterフォロワー数4800人以上の腕時計に関する総合メディアになります。
月に13万PV以上のアクセスの集めており、腕時計に興味がある・詳しいユーザーの沢山の流入を得ております。

◎紹介記事作成に関しまして
紹介記事の作成例↓↓↓
・サイト紹介記事
→https://rich-watch.info/1202/(サイト誘導)
・腕時計のレビュー連携記事
→https://rich-watch.info/1966/(サイト誘導)
・店舗誘導記事
→https://rich-watch.info/1930/(サイト誘導)
費用は全てこちら負担で紹介をさせていただきます。
また、条件としまして、弊社のサイトの紹介記事も貴社で作成していただきたいです。


もし、紹介ページの作成が可能でしたら、下記のメールアドレスにご連絡いただけますと幸いでございます。
0uj1king777@gmail.com

※また、連携のご連絡は今回限りとさせていただきますので、今後こちらからのご連絡、または御機会は金輪際出来かねますので、ご注意くださいませ。
====================
至らぬ点も多いかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。

rich-watch組織運営者
氏原
https://rich-watch.info/
====================