安くて上品で国産で自動巻き。しかも小ぶりなサイズも嬉しいオリエント・バンビーノ36mmをご紹介。腕時計好きのスイス人の友人にも褒められた一本だ。
先日、セイコー「カクテルタイム」とオリエント・バンビーノを比較した記事でも軽くご紹介したものだが、実は数ヶ月前に購入して以来ずっと愛でていた。そんなわけで今回はバンビーノ36mmのゴールド色モデル、「RA-AC0011S10B」(下リンク一番左)を詳しくレビューしていこう。
もくじ
・ケース:プリ風防に裏スケ、小ぶりな径に魅力たっぷり
・文字盤:安価さを感じさせない品が滲み出る
・ストラップ:微妙な幅だがモノは悪くない
・まとめ:この価格でこの完成度は凄いよオリエント
開封:豪華なようで安っぽい化粧箱
開けると四つ角にリベット(?)のある合皮の箱が。ロゴの入った金属っぽい板がはめ込まれている。
確かにただのシンプルな化粧箱(これまでレビューしてきたようなより高価なセイコーのものとか)と比較すれば豪華っぽく見えなくもないが、無駄に凝っていながらもクオリティーの低さは隠しきれない。個人的にはリベットと、板を抑えるための縫い目のせいで品がなく見えるので好きではない。
中には取説と保障書。
そしてクッションとプチプチと腕時計本体が。
クッションも安っぽいものではあるが、毛羽立ちが凄くて時計本体にも毛羽が付着するセイコーSARB035よりは好ましい。
…と化粧箱開封が辛口になってしまったが、肝心の本体は大満足だ。
ケース:プリ風防に裏スケ、小ぶりな径に魅力たっぷり
このサイズのためか一応レディース扱いとなっているが、60年代までは男性用腕時計ケース径は20mm代、70年代も30mm代前半のものが多く、80年代に入ってようやく30mm代後半や40mm代の時計が出、以降ズブズブデカくなっていったという歴史があるので別にマーケティング用に定められた性別を気にする必要なんていだろう。以前レビューしたフランスMarch LA.BのSeventy Threeも36mmだったし。
ケースの上側に相当する面は全て艶出し仕上げ。
Watchuseekフォーラムの人々の見解によれば、これはセイコーのハードレックスのような傷つきづらくしてある無機ガラスだそうだ。
竜頭側面にはコインエッジが施され、頭頂にはオリエントのライオンロゴが入っている。
竜頭側面にはコインエッジが施され、頭頂にはオリエントのライオンロゴが入っている。
銀色の部分には「EPSON」、「MOVEMENT JAPAN」、「WATER RESISTANT」、「STAINLESS STEEL」、四角の中に「HH」と、あとシリアルナンバーが記してある。
エキシビションバックからはオリエントのF6724ムーブメントが見える。ローター部分はオリエントのロゴと簡易な装飾入り。
24石、40時間パワーリザーブ、手巻き可能でハッキング(時刻合わせ時に秒針が停止する)機能も付いている。公称の日差は+25秒~-15秒。数日間つけっぱなしでみてみたところ、初日は誤差0秒、3日で-5秒だった。ローターの音は大きめ。
クリーム色を帯びた文字盤はサンレイ仕上げとなっており、光を浴びて上品にきらめく。文字盤の端は僅かながらカーブしているようだ。
12時下には立体感のあるオリエントの金色に赤のライオンロゴと、「ORIENT」、「Automatic」のプリント。
文字盤:安価さを感じさせない品が滲み出る
12時下には立体感のあるオリエントの金色に赤のライオンロゴと、「ORIENT」、「Automatic」のプリント。
各時インデックスは艶のある金色。菱形に近い形で、文字盤外側に来る四角い部分と、長辺の左右がそれぞれに傾斜をしていて光を反射する。よく見るとインデックスには長辺方向に溝も入っており、これも光の反射=識時性に一役買っている。
12時部分はこの菱形インデックスが横にふたつ連なった形。分ごとにも黒いプリントが施されている。
文字盤がカーブしているためなのか、日付ディスクと文字盤との間には(多くの文字盤が平坦な腕時計と比較して)大きめな隙間が存在するようで、日付ディスクに落ちる文字盤の影がは大きめ。
時分秒針も金色。時分針はシンプルでクラシカルなドルフィン針で、針の左右に傾斜がある。
分針と秒針は先端が文字盤/風防と同じく僅かに曲げてある凝った仕様。
17mmという微妙な幅のもの。18mmや16mmはよくあるが、17mm幅のストラップはそう多くない。なのでストラップを交換して楽しみたいという方は注意が必要。とは言え存在しないことはないので交換に興味のある方は交換したいストラップに17mmのものが存在するか事前に調べておくと良いだろう:
ストラップ:微妙な幅だがモノは悪くない
さて付属のストラップだが…
ストラップは焦げ茶色のカーフレザー製で先細りしている。ケースのゴールド色にあう色合いだ。
表面にはクロコダイル竹符型押しがなされている。セイコー・アルピニストSARB017も見た目が似たレザーストラップであったが、実際に装着した感じからしてもオリエントの物の方が優れている。
裏面にはストラップ穴のある方に「UL030 H 17」、「CALF」、バックルのついている側には「ORIENT」の表記。
手首径16~17cmの私が装着するとこんな感じに。まだ二つ分穴に余裕がある。
ドーム型風防、傾斜した文字盤、先端を曲げた分秒針と、この価格でここまで凝ったことをしているのは凄い。
まとめ:この価格でこの完成度は凄いよオリエント
どの方向から見てもクラシカルな美を漂わせている。ドレスウォッチとして購入するなら間違いなくお勧めできる。たとえ価格が倍であっても購入する人は大勢居ることだろう。
これを付けていて腕時計好きのスイス人の友人に素敵な時計だと褒められたのは嬉しかった。彼はヴィンテージの腕時計が好きで、いつも気品のある、そして小ぶりな時計をつけているのだ(それ以外の時はヴィンテージのオメガ・シーマスターを付けている)。
わずか2万円でありながらもそんな彼の目に適う腕時計。しかも日本製とくれば、今後もドレスウォッチを付ける機会があれば積極的に付けていきたいと思った。お勧めします、オリエント・バンビーノ36mm。
PS:この腕時計は一応オリエントの「クラシック」ラインに入るはずだが、オリエントは公式サイトがてんでダメで、日本公式もグローバルサイトもちゃんと最新モデルを載せてなかったりするのでいつ発売になったのかがよくわからなかったりするのはどうなんだろうオリエント。もしかしたらこういうところでコストを削減して素晴らしい腕時計を世に送り出しているのかもしれない、なんて考えてしまう。
発売時期に関しては確かなことは言えないが、The Long Island Watchによればこの36mmのバンビーノは2019年のバーゼルで既に登場していたが、手に入れることができたのは2020年4月だったとのこと。なのでまだ比較的新しいモデルと言えるだろう。
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