フィンランドの手袋ブランドSAUSOで自分デザインのカスタム手袋を作ってもらった!


昔から市販の手袋が手に合わなくて困っていた。今回1920年代から続く家族経営のフィンランドの手袋ブランドSAUSOで、カスタム手袋を注文してみたのでその過程と、できあがった手袋をご紹介したいと思う。

フィンランド産のヘラジカ革と、自分の好みの手袋デザインとが一緒になった素敵な手袋に仕上がった。



もくじ


1929年から続くフィンランドの手袋ブランドSAUSO
問題:市販の手袋がフィットしない
結論:手袋をカスタム注文
細部に悩む
そして完成した手袋!
まとめ


1929年から続くフィンランドの手袋ブランドSAUSO



フィンランドの首都ヘルシンキ中心に店舗を構えるSAUSO(サウソ)。1929年にSvante Sauso氏により設立された家族企業で、現代三代目が後を継ぎ経営している。

当初は音楽家ジャン・シベリウスを始めフィンランドの芸術家達が住んだ地域としても知られるJärvenpää(ヤルヴェンパー)で手袋が作られていた。しかし最後の革職人が1989年に引退。その後は、デザイン、開発、マーケティング、販売はヘルシンキで行い、製造のみが欧州でも高品質な手袋のメッカとして知られるハンガリーのペーチュ(Pécs)に移された。(上の写真にもあるように、SAUSO製品には「Design From Finland」マークも付いている。)

今もフィンランドの有名人達が愛用するブランドだ。


問題:市販の手袋がフィットしない


もともとブログで書くつもりはなかったのであまり詳しく記憶していないが、カスタム注文までの一連の流れを書いてみる。


(*写真はこれまで使っていた別ブランドの手袋)

これまで手袋を買うときに、サイズがピッタリのものがなかなか見つからずに苦労していた。大体のサイズは7.5のものが合うのだが、指が長いため指又のところが窮屈だし、見た目的にも不格好だった。

更には手のひらの下の部分も長いのか、手のひらの付け根部分や手の甲の終わりがちゃんと隠れてくれない手袋もあった。

加えて、フィンランドの冬は寒く、南にある首都ヘルシンキでもマイナス20度とかになることもある。そうなると上の写真のような薄手の手袋をしていても寒い(元々秋春用に購入していたものではあったが)。


SAUSOの店舗がFORUMショッピングセンター裏にあることは数年前から気付いていて、前々から行ってみたいとは思っていたのだが、なかなか行く機会がなかったのだ。だがちょうど冬が来るタイミングで今年こそ手に合った手袋を購入しようと思い立ち、SAUSOに赴いた。当初はカスタム注文なんてどうせ高いだろうし、店にある手袋でサイズが合えばそれを買おうか、と考えていた。


結論:手袋をカスタム注文



そんなこんなでまず店舗に赴いた。店舗には多数の手袋が並ぶ。冬物だけでなく、夏でも使えるようなもの、スポーツやお洒落な機会に着用するものなどもある。

SAUSOが扱うレザーは、ヘラジカ、トナカイ、鹿、ペルー産のペッカリー(猪に似た動物で、和名をヘソイノシシとも)、エチオピア産のヘアシープ、など。このうち、ヘラジカ(の一部)、トナカイ、鹿はフィンランドで採れたレザーが使用されている。それぞれに滑らかさや耐久性、そして見た目なども異なり、特徴があるレザーだが、店員さんは親切に英語で説明してくれた。


(SAUSOのヘラジカ革手袋のマクロ写真)

価格は男性用の手袋だと100から300ユーロ程度だ。

一応店員さんにカスタム注文について色々質問したところ、使用する革やライニング(裏地)にもよるが200ユーロ程度で可能だという。カスタムにするときっともっと高く付くと思っていたので嬉しい驚き。購入を検討していた手袋も150ユーロ程度だったので、どうせならとカスタム注文する事にした。

私は手元に作業用手袋がないが手に危険が及びかねないことをする際には躊躇せずに手袋を使う(急に荷下ろしや設営の手伝いをしないといけなかったりとか、急な現場での除雪とか、そんなときに怪我をするよりは高価でも手袋があるのであればそちらを犠牲にすべきだ)。それもあってこれまで結構過酷なコンディションで手袋を扱ってきたこともあるため、なるべく耐久性の高いレザーを使いたいとは考えていた。暫く前にフィンランドのマイクロブランドAARNIの腕時計レビューに書いたように:ヘラジカ革は、耐久性が高く、柔らかい。また、様々な気候状態や湿度に対する耐性も他のレザーよりも高いため、ヨットの舵輪などに用いられる。


そしてフィンランドのヘラジカ革ならよりフィンランドの気候に適していることだろう。SAUSOで扱うヘラジカはフィンランド産のものと北米産のものがあるとのことだったので、フィンランド産のものの在庫を確認してもらうことにして、この日は手形をとってもらって店舗を後にした。

手形は紙に鉛筆で、確か左手の手形をとった用に記憶している。左右の手の形状が異なるのが気になれば、両手の手形を取ることも可能だ。


デザイン自体もカスタム可能



(最終確認用に適当に描いたスケッチ)

その後フィンランド産のヘラジカ革の在庫を確認してもらったり、何色があるか確認してもらったり、詳細は店舗に行ったりメールでのやりとりをしたり、両方で行った。店員さん達には色々ご迷惑をおかけしたと思うが、最後の最後まで丁寧に接客してもらえた。

ライニング素材は、100%ウール、100%カシミア、55%カシミア+44%ウール、の3種類から選べる(価格も微妙に異なる)。これにも結構悩んだが、混合素材を選択。

カスタム注文にする際には、どのようなスタイルがいいのかSAUSOのウェブサイトに掲載されているものから選ぶのだが、個人的にはどれも完全にしっくりとはこなかったので更なるカスタムをさせてもらった。なおデザイン部分もカスタムすると追加料金が発生する。


SAUSOが店舗で扱うヘラジカ革の手袋は、どれも縫い合わせ部分で革の切断面が外に出るものだった。これはヘラジカ革が分厚いためこのようなデザインとなっているのだが、個人的に美しくないと感じたので(だってそんなの作業用手袋みたいじゃないか)、ヘラジカ革で縫い目が内側にくる(インナーシーム)縫い方にできないかと尋ねた。不可能であれば別の革にするつもりだったが、嬉しいことに可能とのこと。

最終的にはこのような注文に:

・フィンランド産のヘラジカ革を内縫いで
・明るめのブラウン色
・カシミア+ウールブレンドのライニング
・手の甲側にはデコレーション無し(手の甲部分に線が入っているものなど、何か意味があるものかと思ったら、特に意味はないそうだ)
・完全に手首が隠れる長さ
こちらのモデルのようなレザーで覆われたボタン付きに

価格は私の場合(レザーやライニングなどで金額が変わるのでこれはあくまでも一例だ):
・素材(レザー、ライニング、レザーで覆われたボタン):169ユーロ
・新規デザイン:90ユーロ

の合計259ユーロだった。支払いは店舗でも銀行振り込みでも可能だった。


そして完成した手袋!


カスタムなので仕上がるまで4週間ほどかかるとのことだった。支払いしたことをSAUSOに通知するのを1ヶ月間自分が忘れていたので、実際に支払いが確認されてからどれだけ掛かったのかははっきりしないし、フィンランドでは大きな休みであるクリスマス時期も挟んでいるので、実際にどれだけ時間が掛かるかは私の例はあまり参考にならないかもしれない。だが12月6日に入金し、通知し忘れたのをこちらが思い出しメールした1月17日には、既に入金は確認済みで、手袋も完成しており、次のバッチで店舗に送られてくるとの返事が同日あった。店舗に届いたという通知があったのは1月28日のこと。


そしてできたのがこちら!


縫い目が外に出ないインナーシーム!


ちゃんと指が長い!


この写真では市販されていた他ブランドのふたつの手袋と比較している。どれも一番左に人差し指が見える状態となっているが、一番手前のSAUSOのカスタム手袋の人差し指が長いのが判ることだろう。

もう一つこの写真で判るのは、他の2手袋が平たくなっているのに対し、SAUSOカスタム手袋の立体感だ。真ん中の手袋もSAUSOのカスタム手袋も、共に羊毛系のライニングが入っているのだが、SAUSOのカスタム手袋はレザー素材が厚いこともあり(新品であるためでもあるかもしれないが)立体的な形状を保てている。


ちゃんと手のひらの終わりまで生地があって、その下できゅっと締まってる!これまで親指の付け根まで手袋生地が足りないものが多かっただけに、これは感動!やっぱりカスタム手袋は良い!


ボタン!ボタンは開けると手元が広くなり着脱しやすくなる。ボタン内側は金属面が出ているので腕時計の上から付けると、金属面が時計に触れあってしまう。ここは考慮できなかった私のミスだろう。後で自分で内側に革を張ろうかと思う。


コートと共に着るとこんな感じ。手首の部分がちゃんと隠れるのは良い。


手首側に長さがあるので、大きすぎない腕時計であればほぼ完全に隠すことも当然できる。


時間が知りたければ手袋の裾をめくり上げればよい。


腕時計を上に付けるとこんな感じ。腕時計を衣類の上に着用するファッションスタイルを嫌う人も少なくないことは知っているが、実用面ではありだろう。これはセイコー・アルピニストSARB017にレザーストラップを付けた状態だが、このような着用法であればNATOストラップの方が適しているだろう。


まとめ


手袋のカスタム注文なんて高いだろうと思っていたこと(しかもフィンランドのレザーだし)もあり、これまで考えて見たこともなかった。追加料金が掛かったものの、細かくカスタムできたのも嬉しいし、最終的にかかった料金も思ったよりも安く済んだのは嬉しい。

お店に行ったりメールをしたりして、SAUSOの店員さん達には沢山質問を浴びせかけたが、いつも親切に回答してくれたことも嬉しかった。

カスタム注文はハードルが高くとも、店舗には多数の魅力的な手袋があるし、ヘルシンキ中心に位置しているので、フィンランドへ旅行の際には覗いてみると良いだろう。

 

写真左は男性に人気のモデル群、写真中央は女性に人気の手袋。写真下のようにベイビーシューズや小さめのポーチなども扱う。


ウェブサイトからもSAUSOの製品を注文でき、国際発送もできる。実店舗を訪れたいという方は、住所は「EERIKINKATU 1 00100 HELSINKI」。こちらのGoogleマップを参考にされると良いだろう。




Source: SAUSO

(abcxyz)

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