eBayでセイコー・キネティックのご先祖様を買ってみた。セイコーAGS、7M22-6A00レビュー


今回はセイコー・キネティックのご先祖様にあたるセイコーAGSの7M22-6A00という腕時計をeBayで購入。7M22-6A00のレビューをお送りしよう。

そもそもこれを購入したのは、知り合いにセイコーAGSモデルのキャパシタを変えてくれるよう頼まれたから。人様の時計をばらして壊すのは気が引けるので、まずは練習用にとeBayで同シリーズ別モデルを落札してキャパシタ交換したのだ。

なお今回は腕時計のレビューで終わりとするが、これに続く記事ではキャパシタを交換してみた話を書くのでお楽しみに。


もくじ


セイコー・キネティックのご先祖様、セイコーAGSの歴史
不安と共にeBayで購入
優雅なケースに謎の(匠の?)刻印
シンプルながら不思議な美しさを持つ文字盤
ストラップ
まとめ


セイコー・キネティックのご先祖様、セイコーAGSの歴史


セイコーがクオーツの精度と電池交換不要の自動巻きの良さを組み合わせた「セイコーAGS」を発表したのは1988年1月のこと。

この仕組みや歴史についてはエプソンのウェブサイトで詳しく説明されている。そこで使われている喩えをそのままにもう少し説明すると、仕組みとしては自転車用ライトと「ほぼ同じ」発電システム。普通の自動巻きと同様に腕の動きでローターが回るのだが、これにより発電モーターが回り、発電した電流をキャパシタ/コンデンサに充電、その電気で動くということ。「AGS」は1997年には「Kinetic」(キネティック)に名称を変更している。

参考までに現行のKineticをいくつか:



不安と共にeBayで購入



Image courtesy of eBay

AGS時代のものは流石にAmazonでは現在取り扱いが無いが、上のスクリーンショットのようにeBayにはよく出品がある(写真中央のものはAGSじゃないけど)。これらのAGS出品はどれも現在可動できる状態のもののようだが、稼働するが「新しいバッテリーが必要」とのこと。新しいバッテリーが必要というのは二次電池/キャパシタのことだというのは判るが、バッテリーが必要なの状態なのに稼働することが確認できているというのは一部矛盾する気も。


だがなんて言ったって落札価格19.99ユーロ+送料12.99ユーロ。7M22-6A00。AGSの中でも初期のタイプのようだ。

後のAGSモデルの説明書(3M22のもの。セイコーの説明書は大概セイコーの取説ダウンロードページで見つかるが、7M22のものは見つからなかった)を参考にしながら振ってみるものの、100回振れども針は数秒しか動かず。やはり新たなキャパシタが必要なようだ。

7M22に使えるキャパシタをググったところ、「Seiko 3023-24R」(パナソニックのMT920に特別なコネクタがついたもの)が使えると言うことなので探して購入。




このキャパシタは日本だとAmazondでも楽天でも販売されているようだ。このほかeBayにも販売されているが、私は送料などの兼ね合いからAliexpressから購入した。

分解とキャパシタ交換は後回しにして、まずは7M22-6A00をケースから見ていこう。


優雅なケースに謎の(匠の?)刻印



ケースの全体的な形状は先日レビューしたセイコー・ファイブに少し似る。上から見ると側面のカーブがより強調されているように見えるだろう。

だが横から見ると、上の方はくびれがある優雅な形状。

ねじ込み式の裏蓋は銀色。「WATER RESIST.」、「7M22-6A00」、「A4」、「SEIKO」、「BASE METAL」、「SS BACK」、「JAPAN」、ロゴ、シリアルナンバーは「7N2167」とのこと。1980年代に作られたものらしいので、シリアルナンバーの情報と合わせると1987年11月生誕か。ということはAGSの発表よりも前にこの世に生を受けたということだ。パワーリザーブ確認のためのプッシャーが付いていないので初期のモデルだとは考えていたが、まさか発表より前に作られたモデルだとは(後のモデルには竜頭の他にプッシャーが付いており、押すことで秒針が動き、どれだけのパワーリザーブがあるかを示す機能がある)。


エキシビジョンバックになっており、AGSの心臓部が見える。美しい中身についてはキャパシタ交換記事でお見せしよう。


この部分の風防は僅かに色が付いているのも面白いところ。


ラグ部分は5コマなのだが、ケースはコマの両端と真ん中の部分に「E」型に突き出す。そのため市販のストラップに交換するのが難しい。


5時方向のケース側面部には謎のホールマーク。ホールマークは大抵貴金属などにつけられる刻印。よくよく見ればバッタに見えなくもない。

このような刻印は、例えば純金製とか純銀製の指輪などにつけられているのはよく見かける。だが裏蓋によればケースは「BASE METAL」(卑金属)だし、形からして諏訪ロゴとも違うようだ。

フィンランドのセイコーファングループの中で時計師でもある方に見せたら、ケースを作った人の刻印ではないか、と語ってくれた。

どなたか詳細をご存じであれば教えて戴けると嬉しい。


シンプルながら不思議な美しさを持つ文字盤


12時位置に「SEIKO」、「QUARTZ」、6時位置に「A.G.S.」、「JAPAN 7M22」、「-6A00 T」、そして中空のある「Sマーク」のような諏訪(諏訪精工舎、現セイコーエプソン)のロゴ。


「SEIKO」表記の上には、12時インデックスの代わりに4つの線が横向きに並ぶ。これらは微妙にカーブを帯びている。もっとカーブがきつければWiFiのマークみたいに見えたことだろう。


インデックスはバー状というよりピルに近い形をしており、天面が膨らみを帯びている。各インデックスの外側のほうには黒っぽい部分があり、見ようによっては黒いマニキュアをした指が外向きに並んでいるようにも見える。


日付ディスクは心なしか銀色的な反射をするように思える。日付窓は膨らみを帯びた四角に切り取られている。日付窓の左部分には金色の丸っこい粒状のインデックス。


この窓部分は、光の当たり方によってどこかしらエナメル/琺瑯にも似た印象の、立体的な曲線を描く反射が見られる。


これと同様に、写真では判りづらいが、分刻みの線と10分おきの分数が記されたダイヤルリング部にも同様に縁に琺瑯風の光沢が見られた。


時分秒針は一見するとどれも金色だが、秒針は少し色合いが薄く、イエローゴールドっぽく見える。時分針は付け根のくびれたペンシル型。少しオレンジ味が強い感じで、どれもインデックスの金色とも微妙に色が異なる。これが意図的なものか、それとも経年劣化のなせる技なのかは今となってはわからない。


3連かまぼこブレスレット



金属ブレスレットは面白い形状。5コマ式なのだが、間の2コマは三つのかまぼこが並んだような形をしている。

面白い形ではあるものの、作りは安っぽく、横から見ればこの通り、薄い金属板を曲げて成形したものであることが丸わかりだ。

時計部近くの裏側には「G1355・E」と刻印がある。


三つ折りのバックル部には「SEIKO」のロゴが浮き出る。


外から露見するバックル部はこの部分だけで、小綺麗な印象。


マイクロアドジャストは無く、バンド調整はこのような突起の付いた『 「 』型のピンを抜いて行う。コマが5つと多いことに加え、かまぼこ形状であるためか、ぱっと見美品でも、ブレスの見えない部分にはたくさんの汚れが溜まっていて、きれいにするのが大変だった。


まとめ



金メッキがはげてきているのが多少残念ではあるものの、全体的なセイコー的な美しさ、そして色の入ったケース裏風防から覗き見えるAGSムーブメントの美しさ。

落札価格19.99ユーロ+送料12.99ユーロ+キャパシタ代10ユーロ、で合計40ユーロ(約4800円)も掛かってしまったが・・・


楽天ではジャンク品でようやく4800円だ:




eBayでも楽天でも多くのAGSが1万円を超すなかではなかなかお買い得であったように思う。

次の記事では分解とキャパシタ交換について書くのでお楽しみに。


Source: エプソン, セイコー

(abcxyz)

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