今年6月にご紹介したオーストラリア発のマイクロブランドMAS Watchesのユニークなダイバーズウォッチ、「The Irukandji」、覚えておられるだろうか?
ようやく入手することができたのでレビューしていこうと思う。なおこのモデルは記事執筆時12月28日現在Green Fundingでキャンペーンが行われており、残り70時間ほどとなっている。
**2020年3月5日追記**現在MAS Watchesのこの腕時計は日本では大分のショップIRUKANDJI(イルカンジ)で販売されている。日本では今のところこのショップでしか扱っていないので気になる方は問い合わせてみると良いだろう。
開封
黒いスリーブを外すと・・・
可愛い!MAS Watchesの創設者Matthew Francis氏の若き息子Tateくんの書いた「イルカンジクラゲ」(コレクションの名前にもなっている、オーストラリア北東部近海に生息する猛毒のクラゲ)の絵!
中から出てくる黒い色で統一されたウォッチロールも良い感じ。
生地は薄手だが、腕時計を傷から守るという意味では十分だ。中には補償カード(に替えのスプリングバー付き)、ラバーストラップ、そしてツートンカラーのナイロンストラップが入っている。
今回レビューするのは黒ベゼルにピンクの文字盤が輝く「Stinger Pink」カラー。
ケース
独特のケース形状はこの腕時計の最大の特徴であり魅力であろう。
上下に傾斜したヘアライン仕上げのケース。径は42mm。ケース裏からベゼルまでの厚みは13.13mmケースの傾斜はベゼル部と裏蓋の傾斜へと綺麗に続く。
ベゼル天面も傾斜しており、この傾斜はドーム状に突き出した2mm厚のサファイアクリスタル製風防へと続く。
ベゼルインサートはセラミック製で5分おきのインデックスは蓄光する。
ケース仕上げは完璧では無く、多少エッジ部分にこのような不均一性も見られる。手作り感や個性があるとも言うことができるだろうか。
竜頭はコインエッジでMAS Watchesのロゴ刻印がある。刻印部分が青く見えるのは保護材が綺麗に剥がれなかったため。
竜頭はねじ込んだときにケース部分の凹みに少し収まるようになっているのだが、個人的にはこの6角形の窪みが好き。
これは4時位置に竜頭があるものだが、このほかにも10時位置に竜頭が来るバージョンもある。好きな竜頭位置を選べるというのは嬉しい。
ケース裏へと続く感じも好きだ。
艶出し仕上げのケース裏には、油圧式プレスで綺麗に描かれたイルカンジクラゲ。(このクラゲの説明に関してはプレビュー記事にもう少し詳しく記してある)
文字盤
サンダイヤルとなっている文字盤には嬉しい驚きがあった。
よく見てみると、時分秒針の蓄光材は文字盤色と合わせた薄いピンク色となっているのだ!プレビュー記事執筆時点でのピンクモデルの写真でもよくよく見ればそのように見えなくも無いが、実物を手にして初めてわかった点。細かい部分だが、気付くと嬉しい点だ。(なお青と黒のモデルの時分針蓄光部分は普通に白色のようだ。)
時分針はシリンジ状で秒針は中心からカウンターウェイトにかけてピンク色に塗られている。
文字盤インデックスの蓄光部分は大きな三角と丸となっている。蓄光の色は針、文字盤、ベゼル全て水色となる。
日付窓部分はシルバーの窓が突き出す。ダイヤルリングもピンクで、分おきの刻みが。5分ずつ太めになっている。
ストラップ
最初から付いているストラップは、お洒落なパーティーや夏のビーチに似合いそうなツートンカラーのナイロンストラップ。
生地は二重になっているためしっかりしている。
スプリングバーはクイックリリース式。
バックル部分にはMAS Watchesのロゴが刻印されている。
ストラップループは幅があるつくりでしっかり感がある。16~17cm径の私の手首ではこれくらいが丁度良い。
もう一つはブラックのラバーストラップ。
ベゼルインサートが黒であることも相まって時計全体が引き締まって見える。
ラバーストラップはストラップホールがラグ近くにまで続いているためかなり手首径が小さい人でも問題無く着用できるだろう。
ラバーストラップの方はクイックリリース式ではないが、ケースのラグ部は外まで貫通しているので、スプリングバーを外すのは容易だ。
まとめ
ケース径こそ42mmだが、上下に傾斜のあるケースのお陰もあり、圧迫感はないし、付け心地も良い。
何よりも、似たようなダイバーズウォッチが溢れる中にあってユニークな形状、ユニークな色合いのダイバーズウォッチであるというだけでも大きな価値があるだろう。
私の友達の中にも、普段はダイバーズウォッチに興味は無いが、この腕時計は魅力的だ、という人が居たほか、フィンランドの時計ファンの間でも人気だった。
横から見るとクラゲみたい!というのも素敵な点だ。
ここまでレビューを見てきて、ピンクモデルの魅力も伝わってきたと思うが、他の色が良いという方は他にも様々な色のものがあるのでMAS Watchesのウェブサイトをご覧になると良いだろう。
「自信ある男の色」とも言われるピンクだが、現代一般的となっているジェンダーと色のステレオタイプのせいで男性読者の中にはこの色を身につける自信の無い方もおられるのではないかと推測する。そういう方には「男の子は青」と「女の子は赤」というジェンダーと色の組み合わせも時代によって意味合いを変えるものであるということも知って欲しい(例えばThe Cobwebsなどを読むと面白いだろう。性別と服装の点でも)。桜吹雪の東山の金さんも別にピンクの桜吹雪がフェミニティーの象徴となっているわけではないし。
(なお、2013年には元ラグビー選手セバスチャン・シャバルとキックボクサーのジェロム・レ・バンナがプロモートする、その名もPink Watchというスイスのマイクロブランドが存在し、「ピンクは女子だけの色では無い」とアピールしていたようだ。The Green Pebbles Magazineで写真が見れる。)
最後の最後で話が脇にそれてしまったが、何色のThe Irukandjiを選ぶとしても、その個性的な姿は皆の注目を集めることだろう。
Source: MAS Watches, The Cobwebs, The Green Pebbles Magazine
(abcxyz)
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