Androidスマホに物理ボタンを取り戻せ!6年もののDimple.IOで!


今回紹介するDIMPLE.IOは世に出てからかれこれ6年近く経とうとしている。当時と比較して、スマホについている物理ボタンは減っても増えはしないことに皆様もお気づきのことだろう。そしてそれ以前のスマホには物理ボタンがもっとあったと言うことも人によっては覚えているだろう。

かく言う私は、物理ボタンが好きなんです。画面を見ること無く、触覚で押せて、それで操作が実行されるのが。だからQWERTY物理キーボード付きのスマホ(や変ガジェット)ばかり買ってきたという歴史があるわけなのだ。だって手元を見ること無く色々できるのだもの。文字のキー入力だけに限らず、物理ボタンがあればあるほど、それらを活用して、手元を見ないで様々な操作が可能になるのだ。



製品レビューだけ読みたい方は読み飛ばす項目

視覚以外の感覚を




現在メインで使っているスマホがHuawei P20 Proである理由は、冬に大変薄暗いフィンランドである程度の写真を撮ることのできるスマホとして考えた時に、それまでメインであったBlackberry KeyOne(QWERTY物理キーボード付きのAndroidスマホ)が事足りなくなってきたことと、KeyOneのスピードに不満を持ってきた事だった。だがもし同じカメラ、同じスピードでQWERTY物理キーボード付きスマホと、物理キーは無いが画面がより大きいスマホを選ぶ状況にあれば、やはりQWERTYを選ぶだろう。



現代は視覚の時代と言っても良い。視覚以外の感覚はある意味おろそかにされてきているのは私は非常にもったいなく感じる。一方私が数年前から様々なメディアでちょこちょこ言い続けているように、変化の兆しも見えている。それは例えばAmazon EchoだったりGoogle Homeなどといった音声コマンド型のディスプレイを持たないスマートスピーカーに見られたり、点字スマートウォッチDot Watchだったり、無駄に存在するヘッドホンジャックを活用してボタンとして使うPressyなんてのもあった(今ではヘッドホンジャックが無駄に存在しなくなってしまったため使えないのが残念だ)。それでもまだこれらのデバイスは先駆者的な、時代の先を生きすぎている感じは否めない。

物理ボタンで視覚の無駄遣いを減らしたい


話がずれていくので元に戻すと、スマホに物理ボタンが欲しいのだ。画面を見て、何がどこにあるか識別して、それを間違いなくタップするために目と手を常に連動させていなくてはいけない。その最悪の例が歩きスマホや運転しながらのスマホと言えるかもしれない。

友達としゃべりながら歩くことはできる。スマホで電話したり、たぶんAmazon Echoに話しかけながら車を運転することもできる。オーディオブックを聞きながら自転車に乗ることもできる。遮音性の高いヘッドホンをつけながら、というのであればまた話が異なるが、これらの行為が禁止されずに、歩きスマホやスマホ運転が禁止されるのは、移動という行為に視覚の方が重要だからである。

そしてInstagramの写真を眺めたり、ゲームをしたり動画を観たりといった場合を除けば、大概のことにスクリーンは不要のはずだ。ツイート、ウェブサーフィン、メッセージのやりとり、これらすべてにいちいち画面を見なければいけないのは視覚という感覚の無駄遣いに思える。それでも読み上げや音声入力が主流にならないのは、視覚を使用した入出力の方がプライバシー性が高いからというのも一つの理由であろう。もうひとつ、日本語での音声入力に関しては音声メモ/文字起こしガジェットSenstoneのレビューでも書いたが、音声入力にはまだまだ技術が追いついていないという点もある。

必要なのは物理ボタン・・・


このような状況がある中で、シンプルに何かの機能を持つ(電源ボタン以外の)物理ボタンが一つでもあれば、一つでもボタンが多ければ、それはボタンの数だけ画面を見ないで普段何度も行う無駄に視覚を使う動作を省く可能性が増えると言うこと。例えばAndroidだと「Button Mapper」というアプリでボリュームボタンをリマップして他の機能を持たせることができる。(例えば私はButton Mapperで、「ボリュームアップ」ボタン2度押しでホーム画面、「ボリュームダウン」2度押しで前のアプリに切り替え、を設定している)

だが物理ボタンが無ければ・・・つければいい!


DIMPLE.IO




(ブラウザで音声読み上げを使わない方は)長い前置きで視覚を散々無駄にされたことかと思うが、ようやく本題に入ろう。

DIMPLE.IO。これは2014年くらいから存在するガジェットで、NFCを利用した物理ボタンをスマホなりタブレットなりにひっつけて使うもの。当初はIndiegogoでキャンペーンしており、7万9000ユーロ(960万円くらい)を集めていた。

現在では公式ウェブサイト「dimple.io」でしか販売していないようだし、「在庫品限り」(WHILE SUPPLIES LAST)と書いてあるので、もしかしたらもう製造もしていないのかもしれない。

なお、AppleデバイスではNFCのデバイス利用がApple Payに限定されているために使用できないとのことだが、Android以外に、サードパーティーアプリを通じてBlackberryとWindows Phone(安らかに眠れ・・・)にも対応と公式FAQには書いてある。

前々から気になっていたのだが、以前は前述のPressyを持っていたので買わなかった。しかし現在メインで使っているHuawei P20 Proにはそもそもヘッドホンジャックが付いていないのでPressyが使えない。6年も前のガジェットを今更買って、使えなかったらやだな・・・なんて思いながら注文してみた。


果たして現行スマホで使えるか?



結論から言うとバッチリ使える。


パッケージはこんな感じ。


本体はこんなの。

表面にはざらざらしたテクスチャに覆われ、中心部は艶のあるテクスチャで突起している。見ずに指先で触ってもちゃんとどこがボタンの中心か判る。


DIMPLE.IOの裏には3Mのテープが付いていて、これを貼り付けて使う。貼り付ける前に、必ずどの位置でボタンが認識されるのか確認しないといけない。

というのもNFCを使うという特性上、スマホのNFCアンテナの近くに貼り付けないとダメなのだ。公式サイトでは、NFCアンテナがカメラリング周辺に存在する「HTC One, Nexus 6P, LG G5, OnePlus 3」などの機種では「カメラを犠牲にしない限りは」使えないとのこと。


NFCの認識位置は機種によっては結構シビアかもしれない。例えばHuawei P20 Proではここだと認識しないが・・・


ここなら全てのボタンが認識される。


結局、全てのボタンが機能することを確認した後にこのように貼り付けた。なおボタンは防水なので水に濡らしても安心だし、スマホ自体が防水なら一緒に水中にでもついて行ける・・・はず。

なお、写真でもお判りのように、スマホ付属のクリア・ソフトケースの上から試している。ケース越しに機能するというのは頼もしい。


貼り付け面にはロゴが!

ボタンは「ペコッ」としたクリック感があり、押す際には多少音がする。


初めて使用する際には、スマホでNFCをオンにして、DIMPLE.IOのボタンのどれかを長押し。するとGoogle PlayでのDIMPLE.IOアプリへのリンクが開く。アプリをインストールするとボタンに機能割り当てが可能となる。


機能割り当て/割り当てた機能の編集は、アプリで割り当てたいボタンを押すことで可能。


するとこのような画面となる。一つのボタンに複数の機能を割り当てていくことができ、複数割り当てると「メモリーXX%」の数値が増えていく。

割り当てはリストから選ぶようになっており(上のスクリーンショット。なお最初気付かなかったが、これよりも下方向にも項目がある)、アプリの起動、URLを開く、WiFi/Bluetoothトグル、特定の番号に電話、写真撮影、もしくは別アプリTaskerをインストールすればより複雑なことをボタン一つで可能にできる。

設定をした後は「Save button」を押して、もう一度そのボタンを押さなくてはいけない。


なお機能保存の際にエラーが出ることも頻繁にあったが、一度登録してしまってからは(カメラ画面や画面オフ状態など特定の状況下で無い限りは)確実にボタンを認識してくれるようになった。

設定は、一番上から

1.「写真撮影+カメラアプリ起動」:Huawei P20 Proでは、画面オフ状態であればボリュームダウンボタン2度押しで写真の撮影を行うことができる。その際は撮影した写真のプレビュー画像と共に「0.5秒」などと撮影までに要した時間も表示された後に画面オフ状態に戻る。これはこれで便利なのだが、画面がオンの状態にはそうならないことと、撮影して終りじゃなくて、撮影後にもっと撮影したいことが多々あるのでこのように設定。

2.「Senstone」:Senstoneデバイスが手元に無くても、Senstoneアプリを起動してアプリ内ボタンを押せば録音ができる。もちろんデバイスがあれば一連の動作がボタン一つで可能だが・・・。
or
「Whim」:フィンランド、ヘルシンキの公共交通機関や貸し自転車(夏のみ)、タクシー利用のためのアプリ。日本からわざわざこのアプリが使用される様子を視察に来る人もいるくらいなので日本でも有名なのかもしれない。私は公共交通機関は定期を使っていることと、そんなにチケット確認をしに来る頻度が多くないのでわざわざアプリを開くことはないが、もし確認に来られたら即座にチケット画面見せたいのでこれを割り当てるかも・・・。

3.「Photos」:GoogleのPhotosアプリ。撮影した写真はGoogleのアカウントにこのアプリを通じて自動でアップロードされるようにしてあるはずなのだが、一度アプリを開いてやらないとアップロードされない・・・なので撮影後はこれを開く。(なお、カメラアプリ画面からはDIMPLE.IOボタンが使えないので一旦他の画面に移動しないといけない。)

4.「時計」:標準の時計アプリ。腕時計関連記事を書くときに正確な時間を確認したり、タイマーを設定したり、アラームを設定したりするときに一発でアプリに行けて便利。


まとめ



そんなにこだわった使い方でも、超便利な使い方をしているわけでも無いが、それでも物理ボタンがあるとないとでは大違い。まだまだ便利な使い方を見つけることもできるはずだろう。

手元を見ずとも、そしてわざわざホーム画面をスクロールしたり、アプリ一覧を目視したりせずとも一発でアプリを開くことができるのはとても便利。それに、その分ホーム画面に表示するアイコンを減らすこともできる。

買って良かった!と思うと共に、DIMPLE.IOの在庫がなくなったら他にこんなのつくってるところあるだろうか・・・などと少し心配にもなった。そうなる頃合いには、より視覚以外の感覚を効率的に使用できるデバイスが一般化されることを願いたい。

(abcxyz)

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