サウナで生まれた実直なブランド、AARNIが送るフィンランドの自然を感じる腕時計。木とヘラジカ革が印象的なLoihiレビュー


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今回は森と湖の国フィンランドの若い腕時計ブランドAARNI(アールニ)から、自然素材を使用した腕時計をご紹介しよう。

レビューするモデルは、オリーブの木でできたケースに、フィンランドのヘラジカから取られたレザーストラップを纏った「Loihi – Olive」だ。

それぞれの自然素材の原産地、そして組み立て国まで公開する、フィンランドらしい正直さを持ったブランドの送る、自然の素朴な美しさを持った腕時計。実はこれまでレビューしてきた30本弱の腕時計の中で、つけた感覚的には最も軽く心地が良いというのも特筆すべき点だ。



AARNI




フィンランドのクラウッカラ村(Klaukkala)で遊び育った幼なじみの友達3人により創設されたAARNI。ブランド創設のきっかけとなったのも、この3人が大人になってから共通の趣味である時計についてサウナで語り合ったというのも、いかにもフィンランドらしい。


Image courtesy of AARNI

こうして、木製のケースとブレスレットを持ったユニークな腕時計、そして木製フレームのサングラスを販売するブランドとしてAARNIが設立された。

ブランド名である「Aarni」はフィンランド語で、人の手の触れていない森、原生林という意味。自然からインスパイアされたデザインと、責任ある自然素材の使用がブランドの強みだ。


Image courtesy of AARNI

使用する木材の多くはフィンランド産。木材の種類によってはフィンランド以外の国で取れたものも使っているが、全てどの国で採取されたものかAARNIは把握しているし、国は違えど全て認定を受けた持続性のある責任のある生産元からのものを使用している。

AARNIは時計の木材以外の部品の原産地も公開している。例えばこちらは今回レビューする「Loihi – Olive」の原産地リスト。


Image courtesy of AARNI

ムーブメントはスイス、グレンヘン。木はスペイン産。レザーは北フィンランド。組み立ては中国の深セン市。デザインはフィンランドのヘルシンキ。と言った具合だ。


開封



まず驚いたのが、郵送用のパッケージ。流石白樺の国フィンランドなだけあって、郵送用の箱も外側全面に白樺の柄がプリントされたものとなっている。開封というエクスペリエンスにまで気を遣っていることの表れだろう。


そして次に驚いたのが化粧箱。フィンランドでデザイン品を買い求めたことのある人にはおなじみの「Design From FiNLAND」ロゴのついた化粧箱カバーをスライドさせると・・・


なんと化粧箱の天面中央部には木材がはめ込まれているではないか!


これはフィンランド語で「visakoivu」(英語だとcurly birch、日本語表記には「カーリー・バーチ」などが用いられる)。白樺の一種であり、断面の個性的なパターンが魅力の高級素材として、フィンランドの伝統的な小刀「puukko」(プーッコ)などの柄に用いられる。なおAARNIが用いるカーリー・バーチは全てフィンランドのハルトラ(Hartola)からのもの。


そんなカーリー・バーチの上蓋を跳ね上げると登場するのがLoihi – Oliveだ。


ケース



マットシルバーの316Lステンレススチール製ケースを彩るのはオリーブの木。これはスペイン産のオリーブだ。


ケース径は40mm、厚みは僅かに8mm。とても薄いことと、側面から見ると縁に傾斜がつけてあることもあり、40mm径の割には小ぶりな印象。風防はサファイアグラス製。


最近木製の腕時計も多く見かけるようになったが、(ムーブメントを除く)腕時計の大部分が木で作られたものよりも、このようにアクセント的に木材が用いられている方が魅力的に感じる。


小ぶりの竜頭は2時方向から突き出す。小さい竜頭は概して回しづらいものだが、こちらはコインエッジ刻みが入っているため時刻調整も苦では無い。


竜頭の頭には「AW」の刻印。


ねじ込み式のケース裏には大きな「AW」のロゴと、「AARNI WATCHES」、「SWISS MOVEMENT」、「100% NATURAL WOOD」の刻印。


この竜頭とケース裏、そして化粧箱に使用されている「AW」のロゴに関しては統一感の面で混乱する。ケース裏に「AARNI WATCHES」という表記が見られるが、AARNIのウェブサイトのアドレスはaarniwood.com(AARNI WOODなので最初AWはこの略かと思った)、しかしブランド名としての表記はAARNIで通している。「AW」のフォントのスタイリングも「AARNI」の表記とは異なるものだし、ブランディングとしても、AARNI WATCHESの略か、AARNI WOODの略かも曖昧だし、より統一性のある表記をした方が良いのではと感じた。少なくともフォントスタイリングは統一すべきだろう。

防水性能は3ATM。これは3気圧防水という意味だが、AARNIは製品ページでこれについてわかりやすく「Rain resistant」(雨に耐えうる)という風に追記説明している。防水性能をケース裏に記す時計も多いが、これが裏に記されていないのはケース裏全体の表記バランスのためだろう。3ATMは特記するほどの防水性能ではないし、日常生活防水程度の基本性能は備えているのでここに記されていないと言うことは特に問題無いだろう。


使用ムーブメントはスイスのETA 902.002。4石、2針のシンプルな薄型クオーツムーブメントで、ETAによれば理論上は119ヶ月もバッテリーが持つとのことだが、AARNIは控えめに80~100ヶ月と見積もっている。その見積もりでも、6から8年とかなり長くバッテリーが持つことに変わりない。類似する3針のETA 902.101ムーブメント(AARNI XOコレクションで使用されている)ではバッテリーの持ちが25~35ヶ月であることからも、これはこのムーブメントが秒針を使用しないことも理由だろう。


文字盤



文字盤はサンレイ仕上げで光を反射させる。しかし通常よく見るサンレイ仕上げよりも、中心から放射線状にヘアライン仕上げがなされているかのようなテクスチャーが目立ち、これが面白い表情をつけている。


文字盤3時位置にはシンプルに「AARNI」のロゴが。インデックスはアプライド式で、立体的な鏡面磨きの直方体となっており、文字盤最外周の艶消しシルバーのダイヤルリングに位置する。直方体は各面で光を反射するほか、ダイヤルリングに影を落とすので立体感がある。


ダイヤルリングの6時インデックスを挟むように「SWISS」、「MOVT」とスイス・メイドのムーブメントを使用していることをアピール。


時分針はダフネ針をより細くしたような感じ。両針共に鏡面仕上げ。文字盤の要素はシルバーで統一されているが、各要素の仕上げが異なるために可視性は高い。


ストラップ



このモデルのストラップに使用されているのはフィンランド北部のヘラジカ・レザー。クイックリリース式となっている。


ライティングによって色が違って見えるが、焦げ茶色をしており、こちらの写真よりもふたつ上の写真や、この文章の下の写真の方が実際に近い。


ヘラジカ革は、耐久性が高く、柔らかい。また、様々な気候状態や湿度に対する耐性も他のレザーよりも高いため、ヨットの舵輪などに用いられるという。

Visit Finlandによれば、フィンランドには10万頭のヘラジカが住む。毎秋、ライセンスを持った狩人達が3万5000から5万頭のヘラジカを狩ることで頭数を制限している。AARNIの使用するヘラジカ革もそうやって狩られたフィンランドのヘラジカのものが使用されている。

動物の皮を使ったレザー(や毛皮)の中には、劣悪な環境の中で皮を剥ぐためだけに生かされた動物からのものがあるが、このヘラジカレザーは自然の中に生きるヘラジカが頭数制限のために狩られたもの。なのでよりエシカルなレザーとも言えるだろう。狩られたヘラジカは主にヘラジカ肉として狩人の家族や友達、もしくは食料品店などで消費されるが、AARNIによればこれまでヘラジカ革はあまり活用されてこず、無駄になっていたのだという。


珍しいレザーを使用したストラップの中には、手首に触れる裏面はカウハイドを使用するものもあるが、これは豪華に表材も裏材もどちらもヘラジカ・レザーを使用した切り身仕立て。レザーと同色の糸でスティッチがなされており、側面も同色でコバ塗り仕上げがされている。中に心材が入っているがストラップは分厚くは無い。それに、心材が入っているにもかかわらず革が非常にしなやかであるのは他のレザーストラップとは違う点だ。


バックル部分も時計本体部と同じく艶消しシルバーで、ここには「AARNI」の刻印が入っている。


着用してみると、これまでレビューしてきたどの腕時計よりも軽く感じて驚いた。機械式腕時計より軽いのはまあ感覚的にも理解できるが、同ケース径や、更に小さめのケース径のクオーツよりも(具体的にはBelcori、LLARSEN、Forrestなどよりも)軽く感じるのには驚きだ。実際に計測してみるとこの腕時計は45gで、Belcoriと同じだし、LLARSEN(40g)より多少重いのだが、感覚的には何故かそれらよりも軽く感じた(重さが上手く分散されているからとかだろうか?LLARSENは径が小ぶりな為もありその分時計部が重く感じる気がする)。

腕時計自体の厚みの点でもこのAARNI Loihiはレビューした中で最も薄い部類だが、この軽い感覚を実現しているのは木製部品の使用や、ヘラジカ革のストラップも影響しているにも違いない。薄いために衣類の脱着の際にも引っかかることが少ない。

私の手首径は16~17cm程で、一番小さいストラップ穴で丁度よい感じ。公式には「Perfect fit for wrist size 16,5-20,5cm」(16.5~20.5cmの手首サイズにパーフェクトフィット)としている。


まとめ



パッケージを開封するのも楽しいし、化粧箱にまでカーリー・バーチという木材が使用されているのも嬉しい。

腕時計としても、北欧デザインの腕時計に期待するシンプルさに、自然素材の美しさが加わって、時計としての機能だけで無く視覚的に楽しめるものとなっている。腕時計としては見た目だけでなく、全体的な軽さも凄い点だ。これはつけ心地にも直結する大きなポイント。

そして個人的にはフィンランドのヘラジカ革をふんだんに使ったストラップが何よりも魅力的。柔らかで、しなやかであると言う点も良いが、更にレザー用に飼育された動物の皮では無く、自然に育ったヘラジカからの皮材であるという点も評価できる。

送料は世界中無料。多くのマイクロブランドよりも長めの3年保証というのも心強い。しかもこれだけの腕時計でありながら価格は僅か219.90ユーロ(記事執筆時のレートで約2万6000円)という値段に留めているのも凄いことだ。


フィンランド人は正直で誠実、というステレオタイプがあるが、各素材の生産国を明らかにしている点からはまさにそう感じられる。それに、ブランドによっては中国で組み立てを行っていることを隠すところもあるが、AARNIは違う。きちんと中国の深セン市で組み立てを行っていることを記しているのは素晴らしい。中国の深セン市は「世界の工場」とも言われるほどに私たちの身近にある様々なものの製造組み立てが行われている。そしてAARNIは製品の販売価格を現在の価格帯におさめることができている理由として、中国での製造を挙げている。もし人件費も税金も高いフィンランドで生産することになったら、品質が同じものであってもこのような手軽な価格帯では到底提供することはできないのだ。これらの点を含めて、「中国製=悪い」という歪んだ偏見が世界的にもある中で、これを公表しているというのは、まさに正直で誠実さを持ったフィンランドを代表するようなブランドであると言えよう。

今回のレビューモデルはスペイン産のオリーブの木を使用したものだが、カーリー・バーチ、トネリコ(Ash Wood)、ニレの木/エルム(Elm)、ハンノキ(Alder)の木材は、どれも全てフィンランドのものが使用されている。素材が紹介されているページからは、それぞれの素材を選択する事で、該当材が使用された製品一覧が表示されるので、「どうせ買うならフィンランドの木材製のを」という方はウェブサイトを覗いてみると良いだろう。実際に腕時計を見てみたいと言う方は、フィンランドに旅行に来れば大抵の時計屋さんでAARNIの腕時計を扱っているので、時計屋さんを覗いてみると見つかるはずだ。

AARNIは腕時計の他にもヘラジカ革の製品各種、財布やカードホルダー、通常の20mm幅のストラップとして使えるヘラジカ革ストラップ各色に加え、Apple iWatch用のアダプターのついたヘラジカ革ストラップも販売している。また様々な木種の木製フレームサングラスも販売している。


Source: AARNI

(abcxyz)

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