独特の切り抜き式日付ディスクとチタン製ケースが特徴のパワーリザーブ表示付き自動巻き時計OPIFEX Watch - Venture


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今回レビューするのは香港の若手マイクロブランドOPIFEX Watchの記念すべき初代コレクション、「Venture」。一枚板切り抜きで作られたユニークな日付表示部とチタニウム製のケースが特徴の、パワーリザーブインジケーターを備えた自動巻き機械式時計だ。



Venture




こちらの動画はKickstarterキャンペーンより。そう、実はOPIFEX WatchのVentureは2017年にKickstarterで270万円以上を集め成功しており、ある意味OPIFEX Watchの原点ともなる腕時計だ。

カラーバリエーションは、今回レビューする黒で統一された「Charcoal」、黒ベースにローズゴールド色の「Venture Rosegold」、黒ベースに金色の「Venture Champagne」、そしてシルバーで統一された「ATOM」の4種が存在する。


Image courtesy of OPIFEX Watch

今回はレビュー用に化粧箱無しで製品を提供して戴いているため、化粧箱のレビューはないが、Kickstarterキャンペーンページによればこのようなものとなっているようだ。


ケース



ケースは軽量で低アレルギーなチタニウム製。CNC加工、EDM加工(放電加工)、手作業研磨、PVDコーティング、という複雑な工程を経て完成させられている。


風防は傷がつきづらいサファイアクリスタル製で、内側に反射防止コーティングがなされている。面白いのはそれと同時に風防の内側、3時位置にOPIFEXのロゴが印されていること。はめ込むときにロゴが斜めにならないようにするのは大変だろうな、なんて思ってしまうが、その労力以上の効果があるだろう。ロゴの位置として盤面の他の要素の邪魔にならず、他の要素の邪魔にならず(ロゴが小さめであることもその理由ではあるが)、更には立体的な文字盤に更なる立体感を生んでいるという意味でも面白い。


小さいロゴではあるが、プリントの精度がとても高いのも特筆すべき点だろう。プリント精度が低ければ、フォントの傾斜する線などはカクカクになってしまうが、これだけ接写してもロゴ要素はくっきりとした滑らかな線となっている。

竜頭はヘリカルギア(はすば歯車とも)状に斜めの突起が連なっている。言ってみればよく見かけるコインエッジの竜頭も平行に突起が連なっているが、こちらは斜めの突起であることでどことなく機械的な味が出ている。竜頭の頭頂部はレコード状に同心円が見えるヘアライン仕上げだ。


Image courtesy of OPIFEX Watch

レビュー品はブラックなのでわかりにくいが、ラグ部分は艶のある仕上げになっている。実は面白いことにラグはケースリング部とは別部品となっており、時計背面、裏蓋の奥部分の部品と繋がっている。


ケース裏面はねじ込み式で、中心部はミネラルクリスタルによるシースルー。裏蓋外周には、チタニウム製ケース、50m防水、シリアルナンバー、ロゴなどが刻印されている。なお防水性能はOPIFEX Watch社内でWitschi Proofmaster Sによりテストされている。


ローターはすっきりと何の表記も無く、コート・ド・ジュネーブ仕上げの美しさが際立つ。ローターの回転音は大きめ。


ムーブメントはHangzhou Watch Co.製のムーブメント2B00をベースに独自の改良を施したFE01M。2万1600vph、22石、パワーリザーブ約40時間の自動巻き機械式で、主に時針歯車カバーと、スケルトン仕様の日付ディスク(文字盤の項で詳しく説明しよう)がオリジナル部分となっている。手巻きも可能。OPIFEX Watchのコメントによれば、FE01Mは6姿勢でのテストが行われており、「Miyota 8215と同程度の精度」を持つとのことなので、日差-20から+40秒くらいか。(実際暫く腕に装着しているが、確かに日差はその程度であるように見受けられる。)


文字盤



この腕時計の最も大きな特徴は文字盤にある。立体的な文字盤要素の一番奥にはムーブメントの地板と共に一部歯車なども見え隠れする。そして地板の上に僅かに浮かび上がり影を落とすのが、ユニークな日付表示部だ。


Image courtesy of OPIFEX Watch

通常の日付表示部は、ディスクに日付がプリントされているものが、内側にツメのついた平たいリング状の部品の上に載っている。これが一日一度日付の変わる頃合いに日送り車という部品によりツメ一つ分動かされることにより日付表示が変わるのだ。このVentureは、日付をディスクにプリントするのでは無く、ツメのあるリング状部品だけでできている。301ステンレススチール製の一枚板を切り抜いてそれぞれの日付が示されると共に、同じ部品にツメがついているわけだ。この日付ディスクは電気めっき加工が施されているとのこと。

今日の日付は4時位置にある窓枠内に表示される。レビュー品は黒系の色で統一されたVenture Charcoalなのでぱっと見目立たないが、他色であればこの窓枠がシルバー/ゴールド/ローズゴールドとなっている。

時分針もオリジナルで、平らなアルファ針の先端を削りとり、2箇所に中抜きを施したような形状をしている。


針の先端に近い側の中抜き部分はスーパールミノバBGW9蓄光となっている。


各時のインデックス部分は錐台状の植字インデックスで、艶のあるシルバー色。錐台形のそれぞれの面が光を反射するので可視性が高い。各時のインデックスの間には、艶消しブラックの部材が位置しており、各分の目盛りが白色で印刷されている。


12時位置のパワーリザーブインジケーターと、6時位置のスモールセコンドのサブダイヤルはリング状となっており、立体感のある文字盤内に浮かんでいるような印象を与える。このリング状の部品は内と外の両側面に傾斜がある。天となる面は黒色で、同心円状にレコード状の線の見えるヘアライン仕上げだが、傾斜面は艶のあるシルバー色で、光をよく反射する。


パワーリザーブインジケーターは、やはり自動巻きムーブメントなのでどれだけの時間時計が動くのか、どれだけの間腕時計を外していても回ってくれるのか判るのは(複数の腕時計をお持ちの方にとっては特に)便利だ。また、パワーリザーブの針が、リザーブが少ないことを示す赤い表示部から徐々に動いていくのも、自分の動きが時計のパワーとなっていることが目視できて嬉しい。


パワーリザーブインジケーターの左下部分には非常に小さなフォントで「POWER RESERVE」と記してある。文字情報として記すのであれば小さすぎる文字ではあるが、この腕時計の所有者にとってはそんなことはわかりきったことであるため、装飾としての意味合いの方が強いだろう。また、このサイズのフォントで文字を潰すこと無く、くっきり高精度でプリントできるのも凄い。


パワーリザーブインジケーターもスモールセコンドも、針は共通して2箇所に中抜きが施されたペンシル型となっている。特にCharcoalカラーだとどちらの針も目立たないが、どちらも可視性が重要な部分ではないので問題は無い。


ストラップ



Ventureの付属ストラップは、テキスタイルストラップとチタニウムストラップから選択可能。チタニウムストラップ版の方が100ドル高い。

レビュー品に付属するのはチタニウム製のもの。こちらもケースと素材が同じだけで無く、やはりCNC加工、EDM加工、PVDコーティング(TiC/炭化チタンコーティング)がなされ作られている。こちらもこの時計のために新規作成された物だ。

ぱっと見3連に見えるが、1連であり、表面に起伏がつけられている。この起伏は一見単純で見た目以上の意味が無さそうに見えるが、起伏のお陰で平らな面にブレスレットを擦ってしまっても、コマ表面の一番目立つ表面積の大きな部分ではなく、起伏部分がまず擦れるため、傷が目立ちにくいという利点もある。


バックル部はプッシュボタン式両開きバックルとなっているので着脱時に落下しづらい。コマ部は艶消し仕上げだが、バックル部(閉じた状態だと見えないが)とボタンは艶あり仕上げ。

コマは割ピンで接続されている。サイズ調整がしたいが調整工具をお持ちでないという場合は、時計屋さんに持って行き調節してもらうのが一番だろう。(それでも自分で調整したいという方は「腕時計 バンド 割ピン」などとググると調整の仕組みがご理解戴けるはずだ。)


外すことが可能なコマは全部で6つとなっており、16~17cmほどの私の手首径では、コマを5つ外してようやくキッチリなサイズとなった。汗をかかない限りはこの長さで問題無いが、微妙に長くできればより具合が良いと思える感じ。だがコマを4つ外したら緩いし、この部分は微調整も可能であればなおよかった。


Image courtesy of OPIFEX Watch 写真はVenture Atomのもの。

なおテキスタイルストラップの方は表面がテキスタイルで、内面がレザーとなっており、腕時計にマッチした色でスティッチがなされたストラップとなっている。こちらもストラップホールを超音波加工でシーリングしてホールの強度を上げるなどの工夫がなされている。


まとめ



価格は3699香港ドルで、記事執筆時の日本円換算だと約5万3000円。1年間の保証付き。


自動巻き機械式ムーブメントでパワーリザーブインジケーター付きと考えるだけでも妥当な金額だ。だが、ユニークな日付表示部をはじめとし、この時計のためだけに新規製造された各パーツ、風防にプリントされたロゴ、チタニウム製の部材、PVDコーティング(通常PVDコーティングされた腕時計はそうでない同モデルの物よりも価格が高い)などの細かなこだわりがあった上での価格と考えるとお得感すらある価格設定だ。

購入はOPIFEX Watch公式サイトもしくはIndiegogのINDEMANDページから可能となっている。


Source: OPIFEX Watch

(abcxyz)

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