このスタイルにはぐっとくる方も多いはず。伝説の名剣にインスパイアされたValimor「Caliburnus」


Sponsored post / Authored by Yu Ando

今回は香港Valimorの「Caliburnus」のレビューをお届けしよう。

Valimorは伝統的な要素や古風な要素を最新技術と組み合わせて調和させ、「戦士のような強さを身につけ、人生という戦を成功に導くために必要な自信を与えるものを作りたい」、というブランドフィロソフィーを持つ。



そんな同社のCaliburnusはアーサー王伝説と、伝説中に登場する石に刺さった剣、エクスカリバーにインスパイアされた腕時計である。なお「Caliburnus」はアーサー王の持つ剣、「エクスカリバー(Excalibur)」のラテン語表記/ラテン語化された名前だ。

魅力:
・各所に配された鱗模様
・細やかな加工のなされた針
・天然石の文字盤
・スワロフスキークリスタルが埋め込まれたユニークな竜頭
・美しいローター
・型押しとは思えない質感のストラップ
・装飾の美しいバックル
・これらの特徴を上手く統一した全体感

残念:
・裏面を斜めから除くと見えるムーブメントホルダー

価格:
5~6万円



開封



縦方向に長い直方体の化粧箱。その表面はどの面にもブランドシンボルである鱗模様が立体的につけられている。


上の面には金色の縁取りとロゴが。


中を開けてまず驚くのはこちら。まるでレザーの財布かのようだが…。


実はこれは保証書と説明書が入った合皮のケースだ。ここにも金色でロゴが印してある。もちろん財布/カードホルダーとして使ったって良いだろう。


その下に入っているのがCaliburnusの封入された容器。プラスチック製で、天面は透明。蓋の縁部分にはシンボルの鱗模様があり、透明な天面には社名とロゴが立体的にあしらわれている。


なお写真では天面から中の腕時計が覗いているが、パッケージを開けた当初は傷がつかないように腕時計と透明の窓部分の間にはスポンジが挟まれている。そして中に入っているのがCaliburnus、Non-Date*のBlack Galaxy版となる。(*日付窓がついているバージョンもある)


ストラップのバックル部分には、ブランドものの衣類やアクセサリーで見かけるような「下げ札」のようなもの(不勉強な物で日本語で何というのか的確な言葉を見つけられないが、英語だとhang tag sealなどと呼ばれるもの)がついている。プラスチック製のようだが、黒地に金の縁取りで高級感がある。これまでにもこのような下げ札のついた腕時計を見たことはあるが、大抵は紙にモデル名と価格が書いてある程度のものなので、新鮮な感じを受ける。

パッケージにも付属品にもこだわりが見られるのはプラスポイントだ。


ケース



一目見てこの腕時計を印象づけるダイヤル部分。そこには鱗模様が立体的に刻まれている。それがブランドシンボルだなんて知らなくても、化粧箱を開ける過程からここに至れば誰だってこの鱗模様がValimorというブランドと、このCaliburnus腕時計を特徴付ける要素となっていることが判ることだろう。なお、この鱗模様は古代の鎧に刻まれたドラゴンスケールを模したものだとのことだ。


鱗模様がケースのダイヤル部分をぐるりと回っているのでウロボロスを連想される方もおられるだろう。


ケース径は42mm、厚は12.65mm、材質は316Lステンレススチールで、裏蓋を除く各部分には特殊なPVDコーティングによりエイジング加工がなされている。この加工により表面が守られるだけで無く、ケース要素の奥まった部分は黒ずんで、角となっている部分は色が禿げたように見え、特に鱗模様部分の立体感が増して見える。


風防はARコーティングがなされたサファイアクリスタル。(なお当初Kickstarterキャンペーンではサファイアコーティングされた強化ミネラルガラスを初期風防として提供していたが、十分な資金が集まったことでサファイアクリスタルがアンロックされ、現在市販されているバージョンはサファイアクリスタル風防が標準となっている。)


竜頭部分は冠を模しているとのことで、側面にも模様が刻まれ、エイジング加工がなされている。さらに竜頭頭頂にはスワロフスキークリスタルが埋め込まれている。クリスタル部分は黒色で艶があり、光を控えめに反射する輝きがある(あまりキラキラしすぎていないのは嬉しい)。スワロフスキークリスタルの頭頂部分は面取りされているため、手首にスワロフスキーが刺さり込むなんてことも無い。


この腕時計が目を惹くのは表面だけではない。


裏面内部に見ることの出来るオリジナルローターはシルバーとゴールドの二色で構成されており、ゴールド部分には美しいギョーシェ彫りが施され、ブランド名とロゴが黒地でプリントされている。


ローターはオリジナルなので(通常ムーブメントについてくるローターはこのような装飾は無い)、ここで用いられているゴールド色がムーブメントのテンプ部分のゴールド色とマッチしているという点もデザイン的に考えられた部分だろう。また、鉄と石で構成された外面の裏を返せば金が秘められていると言うのもストーリー性があるとも言えるかもしれない。


シースルーバックとなった裏蓋はねじ込み式で、これも材質はステンレススチール製のようだが、ここにはエイジング加工は施されていない。しかしここにもやはり鱗模様が施されており、全体的な統一感を出している。防水性能は5ATM。

使用するムーブメントはMiyota 821A。21石、2万1600vph、パワーリザーブは42時間の日本製ムーブメントだ。ローター音は軽め。


この腕時計は面白いことに、欧州連合知的財産庁EUIPOのデザイン特許#004742294-0001を取得している。これは腕時計のデザインの自信の現れとも言えるだろうし、それだけこの腕時計がユニークな見た目を持っているということの現れでもあるだろう。


一つ残念なことは、斜めから除くとムーブメントホルダーの白いプラスチックが見えるという点。これはThomas Earnshawの腕時計レビューx2)とも共通するが、積極的に覗き見ることが無い部分ではあるが、質感的にこの腕時計の他の全ての要素とは異なっている部分なので見えると違和感のある部分だ。


ケース側面のストラップで隠れる側には小さな窪みが位置する。これはケース径とストラップの付け位置の兼ね合いから削られているものだろう。


文字盤



重厚なケースの中に位置する文字盤も特徴的な要素。石に刺さった剣エクスカリバーにインスパイアされただけあり、文字盤には花崗岩が用いられているのだ。

なお別色モデルの文字盤には別の色の石が使われており、例えば青いBlue Lapis Lazuliには(その名の通り)ラピスラズリ/瑠璃が用いられ(そしてレザーストラップも青色)が、赤いRed Rainbow Jasperには赤いジャスパー/碧玉が用いられている他、深緑のGreen Marble(大理石)、緑のOcean Grass Agate(瑪瑙)、水色をしたAventurine(砂金石)版も存在する。


文字盤に用いられているのは宝石クラスの自然石(jewellery-grade natural stone)とのことで、二つとして同じ文字盤を持つものはない。文字盤に起伏は無いものの、花崗岩の特性により角度により光を反射する面が異なり、複雑な自然石の模様に更なる複雑性をもたらしている。写真では判りづらいが、この花崗岩の文字盤は多少鏡面的な効果があるようで、光の当たり具合によって秒針の(影では無く)鏡像を見ることが出来る。


12時位置にはValimorのブランド名とロゴが印刷され、6時位置には自動巻きムーブメントであることを示すAUTOMATICのプリントが。流石にここまで接写するとジャギーが目立つが、これは虫眼鏡でも使わない限りは判別できないだろう。


針は時分秒針の三針。針はダイヤモンドカットにより切り出されている。時分針の「刃」の部分は類似する形状で、中心より長さ方向に僅かに山折りとなり、中抜きがなされている。時針のみには「刃」の両側から剣のつばを彷彿とさせるような形がでている凝った形。秒針は艶のある仕上げで、後ろ側には剣のつばや柄に似た装飾が施されている。


時分針はその後に、通常高級時計にしか使われないような複雑な中研磨(semi-polishing)加工が施されている。これは一見すると判別つかないのだが、片面は艶出し仕上げ、もう片面はヘアライン仕上げとなっているのだ。文字盤面に対してのコントラストを高め、可視性を高める為に、針にこのような2種類のテクスチャが用いられているとのこと。確かに面により光の反射の仕方が微妙に異なる。よっぽどの鷹の目を持つ時計ファンでもなければこの繊細なこだわりは見抜けないだろう。


各時のインデックス部分は、艶のある銀色の部品の中に蓄光材が挟まれたようになっている。平面で構成された文字盤であれば光の角度により反射しない面が存在するが、このインデックスは丸みを帯びており、そのため文字盤に入り込む光をどの方向からもよく反射する。


時分針の蓄光はスーパールミノバBGW9で青色に光る他、インデックスは緑に蓄光する。(なお写真では、バー状のインデックス部分の蓄光の外側に点状の緑の光が見えるが、これはインデックス部分の蓄光がケース内部に反射しているもの。また、写真で8時あたりに見られる紫色の光はスマートフォンの赤外線センサーの類いが風防に反射した光かと思われる。)


ストラップ



ストラップもこの腕時計の特徴の一つだ。クイックリリース式で、材質はレザー。だがこれが鰐皮では無く牛皮だと言えば驚く人も少なくないかもしれない。それほどにクロコダイルレザーをとてもリアルに再現しているのだ。


それもそのはず、これは本物のクロコダイル革を3Dスキャンして得たデータを元に精度の高い型を独自に作成し、これを用いてトップグレインの牛皮に型押ししたものなのだ。


バックルは剣の柄(つか)を模した形をしている。


この部分もエイジング加工がなされたステンレススチール製で、Valimor社のロゴを中心に装飾が彫り込まれている。


16~17cmほどの私の手首周りのサイズでは、一番小さな設定で僅かに大きい~丁度良い程度。


Image courtesy of Valimor

なお市販版の購入オプションとしてはこのレザーストラップの他にエイジング加工がなされたメタルブレスレットも存在する。メタルブレスレットは316Lステンレススチール製5コマ式バタフライバックルで、中の二コマにはおなじみの鱗模様が刻まれている。


まとめ



アーサー王/エクスカリバーの伝説を基軸にデザインされ、しっかりとそれぞれの要素にValimor社の独自性が入れ込まれている。ぱっと見にも高級感があるし、(裏面を斜めからのぞき込まない限りは)詳細に眺めてみても高級感がある。デザインに1年以上かけたと言うだけあり、まとまりのあるデザインで、一つの独特のスタイルを確立できていると言えるだろう。

このようにデザインの力でスタイルを確立している腕時計は、クオーツ時計の中には他にも時折見受けられる。その一方で、10万円以下という比較的手頃な部類の機械式腕時計の中には、「統一感のあるデザインで上手くまとめられた」デザインは多々見受けられても、このValimorのCaliburnusのように統一感のあるデザインでうまくまとめられた「独自のスタイルを持つ」腕時計は非常に希だ。

価格はストラップオプションに応じて異なり、今回レビューしたレザーストラップ版が435ユーロ(記事執筆時のレートで、約5万3000円)、メタルブレスレット版は501ユーロ(約6万1000円)となっている。


CaliburnusはValimorの公式ウェブサイトから購入可能となっている。また、Valimorには今回レビューしたCaliburnusの他にも、Kickstarterでキャンペーンを成功させているMakaidosというコレクションも存在する。そちらはまだ一般販売前のプレオーダー段階だが、Valimorブランドのスタイルが気に入った方は同社のウェブサイトを覗いてみると良いだろう。


Source: Valimor, Kickstarter

(abcxyz)

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