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今回はアメリカはテキサス州から、Outcast Watchesの「Series 1: Blue Face」をご紹介しよう。
アーバンスポーツファッションとでも形容しようか、ユニークなデザインスタイル。Miyota製の機械式で珍しいトリプルデイトムーブメントの採用。そしてワインディングマシーン付きで10万円を切る価格が魅力だ。
Outcast Watches
Outcast Watchesの創設者であり退役軍人でもあるケヴィン氏は、腕時計が好きだ。しかしそれと同時に、何十、何百万も費やすのは嫌だと考えていた。そんなときにマイクロブランドを立ち上げた会社に関する記事を読み、自分でもできると考えそれを実行に移した。もちろん、価格を抑えつつも品質を妥協せず、理想の腕時計を造り上げるのは簡単なことではない。
理想とするのは、日々の生活のインパクトに耐えうる、見た目の良い機械式腕時計。センシティブな飾りのようにいちいち腕時計を取り外すこと無く、道具として毎日行動を共にできるツールウォッチ。より高級な腕時計と同じような耐久性を持ちながらも手頃な価格。
またOutcast Watchesは腕時計好きでinstagramをするという方にはおなじみ、Watches & Pencils(@watchesandpencils)ともコラボレーションしている。空挺部隊として文字盤を下に飛び出すSeries 1達が描かれており、どんな活動にも共に持ち出せる耐久性への自信や力図良さが、Watches & Pencilsの柔らかで可愛らしい絵柄の中に現れていると言えるだろう。(なおメディアとしてこのコラボを取り上げるのは当ブログが初では無いかと思う)
万人受けを目指すので無く、他と同様に群れるのではなく、自己表現のできるスタイリッシュな腕時計を目指した。こうして造られたのがOutcast Watchesの「Series 1」だ。
開封
届いて驚いたのまずその箱の大きさだ。だがもちろんこの箱の大きさ中に自動巻きが入ってるための大きさである。頭頂にはOutcast Watchesのマークが印してある。
開けると出てくるのはもう一つの、より薄い箱。こちらに腕時計が入っている。その箱の下部にはワインディングマシーン(傷が付かないよう不織布の袋に入っている)とアダプタ、説明書が入っている。
薄い箱を開けると出てきたのがSeries 1 Blue Face。箱の蓋表面だけでは無く、箱蓋の内側にもロゴが入っているのは珍しい。
腕時計部分はケースとストラップが分割されて入っている。それではまずは腕時計部分から、それに続いてワインディングマシーンを見ていこう。
ケース
44mm径のケースは316Lステンレススチール製で、全体に鏡面仕上げが施されており非常にツルツルテカテカ。
風防はぱっと見平坦に見えるかもしれないが、ドーム型のサファイアクリスタルである。ARコーティングも施されている。
こうしてみると風防がドーム状になっていることがわかりやすいだろう。
裏蓋には大きくOutcast Watchesのマークが刻印されており、その周りに社名、ケース材質、風防材質、そして耐水性能10ATMの印し。
裏蓋は6箇所のネジ止め式。使用されているムーブメントはMiyota 9122。コンプリケーションを持つプレミアム自動巻きムーブメントに分類されるもので、月、日、曜日が表示できる「トリプルデイト」が特徴。28,800vph、26石、自動巻き・手巻き両対応の機械式ムーブメントだ。静かな室内で腕を動かすと軽快なローターの音が聞こえる。
3時位置にある竜頭はねじ込み式。側面はコインエッジとなっており、頭頂にはOutcast Watchesのマークの刻印。
2時位置にはプッシャーが位置する。これはトリプルデイトの月表示を送るために存在するプッシャーだ。
文字盤
文字盤内要素は深い青色がベースカラーとなっており、そこにオレンジ色の要素がしゃれっ気のある色合わせとなっている。オレンジ色部分は、時分秒針、そして曜日、月、日付を指し示す針、ダイヤルリング上の分を示すアラビア数字インデックス。加えて月と曜日表示の「JAN」と「SUN」もオレンジだ。
この文字盤面全体が見える画像と共にトリプルデイトに関する説明もしておこう。トリプルデイト(もしくはトリプルカレンダー)は日付、曜日、月、の3つの要素を表示できる機構であり、このMiyotaによる9122の分類が「Category: Premium Automatic > Complication」となっていることからすると、この機構はコンプリケーション/複雑機構とされるようだ。
トリプルデイトの日付合わせは、月送りがプッシャーである他は竜頭を使用するようになっている。竜頭をアンロックした状態から一段引き上げた状態から時計回りに竜頭を回すと日付送り、反時計回りに回せば曜日送りだ。
もちろんより高価なアニュアルカレンダーやパーペチュアルカレンダーのように小の月(月の日数が31日より少ない月)を自動的に調整してくれることはないが、毎日日付が変わると共に曜日も変わるし、31日から1日に変わる際には自動的に月も送られる。小の月である「二四六九士」(2月、4月、6月、9月、11月)の各次の月初めである年5回のみ手動で調整すれば良いわけだ。
文字盤最外周にあるダイヤルリングの曲線はSeries 1の特徴となっている。通常ダイヤルリングは高くなった外周部から、文字盤の高さへと下がる最内周部分に向かって直線を描く。中にはAVI-8「Hawker Hunter」のようにその直線がハーフパイプ状に削がれたような形状のものや、Carzo & Lieutierの腕時計のように外周が低く内周が高いものもある。しかしOutcast WatchesのSeries 1ではまるでダイヤル外周部にチューブが埋まっているかのような膨らみを持って存在している。
この膨らみによる光の反射は風防の中に面白い立体感を生み出している。
ダイヤルリング上には僅かな立体感を持ったオレンジ色の分インデックスがプリントされているほか、5分おき/各時位置にドット状に蓄光部分がある。12時位置のみドット状では無く下向き三角形。
時分針の中部分は蓄光材。
蓄光させるとこんな感じ。
12時位置には銀色の立体的なアラビア数字のインデックスが配される。3時位置には月、9時に曜日の表示があるためインデックスが無いが、それ以外の部分には立体的な銀色バーインデックスが存在する。6時には日付表示窓が開いているが、他のバーインデックスよりも短いもののここにもバーインデックスがある。
それ以外の色要素としては、白色がダイヤルリングの内側の文字盤部分には4分の1秒まで印された目盛り、12時インデックス下のスタイライズされたOutcast社名と「automatic」表記、月と曜日のフォント、日付窓背景に用いられているほか、蓄光部分も光の中では白色に見える。
私は日付窓内の背景の色とダイヤルの色の組み合わせを気にする方だが、この6時位置の日付窓の白色は、ダイヤルリング12時位置の下向き三角形蓄光部の白色のお陰で違和感なく、文字盤全体のバランスがとれている。
ストラップ
ストラップはカーフスキン製。
レーシングスタイルで、上地にパンチングレザーが施され、中/下地が見えるようになっている。
この「Blue Face」モデルでは、ケースにマッチした色合いの青地にオレンジの要素が見える。縫い糸も同じくオレンジ色。この色の組み合わせにはお洒落な美しさがある。このストラップだけ別売り販売しても売れそうな程だ。
バックルは片開き式のDバックル。ステンレススチール製でマーク入り。
16~17cmほどの私の手首周りサイズでは一番小さい設定にしてもひとふたまわり大きい感じ。
通常バックル部は時計の12時方向側のストラップに取り付けられるが、この状態では手首の橈骨のでっぱりにDバックルの内側がぶつかって痛い(わかりづらいが写真は橈骨に当たる状態を示したもの)。なのでバックル部を時計の6時方向側のストラップにつけたところ痛みも無く上手く収まった。
それでもストラップがしっくりこないという人にとって幸いなことに、付属ストラップは工具無しで簡単に脱着ができるクイックリリース式のものとなっている。
なので購入してストラップが合わないという方は好みの22mm幅ストラップに変えると良いだろう。こちらはCasioのDBC-611-1付属のストラップをつけてみたところ(なおDBC-611-1ストラップのつけ外しには工具が必要)。ストラップは艶消し風仕上げだが、ケースと同色であることで意外と違和感なくマッチ。
ワインディングマシーン
Series 1の大きなポイントの一つはワインディングマシーンが付いてくるということ。このワインディングマシーンにもOutcast Watchesのマークが入っている。
コンセントに挿しても稼働するが、単三電池2つでも動かすことができるようになっている。コンセント位置が限られる住居に住む人にとってはありがたいことだろう。私はエネループ二本を使用して回転させて使用しているが問題なく稼動する。なおアメリカと日本のコンセントのプラグの形状は同じなので付属プラグは日本でも使えるはず。
回転部から突き出した「つまみ耳」をつまんで引くと中央の部分と共に引き抜ける。この取り外した部分に腕時計を装着し、それをつけ戻して稼働させるというわけだ。
腕時計の当たる部分には柔らかい素材が来るようになっており時計を傷つけないようになっている。
後ろ側のパーツはバネにより押し込むことができるようになっており、途中で1段固定可能位置(更に押し込むと解除される)が存在する。ストラップ長さが一番小さい状態だとつけづらいのでワインディングマシーン装着時には調整する必要がある(手首周りが大きめの人には問題無いだろうが)。時計が当たる部位は複雑なテクスチャーによりある程度の質感があるものの、ツマミ耳部分などは少々プラスチック感が強い。
その一方でモード選択部のプレーティングには謎の高級感がある。
回転時の音は比較的小さな音だといえるだろう。しかし当然ながらもしこれを寝室に置いて寝るとなれば話は違うかもしれない。だが実はそんな心配は要らない。このワインディングマシーンはシンプルながらも一日の間の半日間しか回転しないというスマート設計なのだ。
回転モードは、回転方向が、右周り、左周り、そして交互に両回りモードの3種類から選択可能であるほか、回転回数が650TPD、750TPD、850TPD、1000TPD、1950TPDの5つから選択可能。TPDは「Turns Per Day」の略であり、つまり一日の回転数。この機械は一日の12時間稼働し、次の12時間は止まるようになっている。回転と停止の間は、一日の回転数が12時間で終るように計算されており、例えば650TPDであれば1分間回転=9.5回転して、その後571秒=約9.5分停止してから次の回転を開始するので、一セット10.5分で650/9=68.42回だから約12時間で終る。内蔵タイマーが自動的に稼働開始時を記憶し、次の日の同時刻に動き出すようになっている。なので一度朝に稼働させればあとは電池の続く限り、もしくはコンセントに繋がっている限りは朝しか稼働しないのだ。
まとめ
ユニークなスタイル。自動巻きでトリプルデイトという珍しい組み合わせ。そしてワインディングマシーン付き。
その個性的な見た目も然る事ながら、プレミアム自動巻きムーブメントMiyota 9122を採用する腕時計はなかなかお目に掛からない。そしてそもそもトリプルデイトコンプリケーションのついた腕時計もクオーツであれば数万円で手に入れられるが、トリプルデイトかつ機械式となると10万円を下るものをお目に掛かることは難しい。機械式時計ファンならこの採用ムーブメントだけでも興味を引くことだろう。
腕時計ファンにとってはその希少感、お手頃感と共に、ワインディングマシーン付きという点も嬉しい付加価値となるだろう。特に自動巻き腕時計をコレクションし始めたばかりの方の中にはまだワインディングマシーンを持っていない人もおられることだろう。そういう人にとっては特にお買い得感があるはずだ。ワインディングマシーンを既に持っているという方にとってもコレクション数の増加に伴いワインディングマシーンが増えることは喜ばしいことだろう。
カラーバリエーションも今回レビューの「Blue Face」の他に、黄色と黒のビビッドなカラーリングで同様カラーのレーシングスタイルのパンチングレザーストラップ付属の「Yellow Face」、白色ベースの文字盤に、茶色のクラシカルなストラップ付属の「White Face」、黒色ベースに白色要素のダンディーな「Black Face」が存在する。もちろん全てのモデルにワインディングマシーンが付いてくる。
今回耐久性に関しては激しく検証することはしていないが、Series 1は「飾りとしての腕時計ではなく、道具としての腕時計」を目指しており、Outcast Watches創設者のケヴィン氏は自動車をいじるときにも外さずに使っている。
そんな逞しさも備えたOutcast WatchesのSeries 1、価格は800ドル、記事執筆時の通貨レートでは約8万9000円だ(なお日本への送料は別途必要)。気になる方はOutcast Watchesの公式ウェブサイトから購入できるようになっている。
Source: Outcast Watches, Miyota
(abcxyz)
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