Sponsored by Carzo & Lieutier
Carzo & Lieutierは、モーターサイクルの要素を入れ込んだ腕時計が特徴のフランスのブランドだ。創設者であるPhilippe Carzo氏とGuillaume Lieutier氏は元々カスタムバイクを制作していた。そんな彼らがその経験を活かして造り上げたブランドがCarzo & Lieutierだ。
既に2017年に一度Kickstarterキャンペーンを成功させ、今年3月に再度新たなキャンペーンに挑もうという同社から、既に販売されている「SAINT LUXEUIL QUARTZ | FLATCASE」モデルをレビューさせて戴こう。
六角穴ボルトやサークリップといったバイク由来の形状を取り入れながらも腕時計として美しくまとまったタイムピースとなっている。
開封
普通の郵送用の箱かと思って開けると、中はCarzo & Lieutierのロゴのスタンプがなされており、取説と、梱包用の木くずに包まれた青い腕時計ポーチ。なんだかレトロな雰囲気が溢れ出る。
取説。
青いキャンバス地にレザーのお洒落なポーチだ。
ポーチの中には、左から、クロス、腕時計、保証書と工具、同社のロゴ入りスティッカーが入っている。
クロスは、Carzo & Lieutierの創設者であるPhilippe Carzo氏とGuillaume Lieutier氏のダンディーな姿が表に、裏には取説がプリントされたものとなっている。大抵の時計ブランドがロゴのみ印刷されたつまらないクロスをおまけに入れる中にあって、ここまでブランドをアピールできてなおかつ取扱説明の機能性も併せ持ち、持ち運ぶにもイカしたクロスはなかなか見ない。これは嬉しい。
腕時計の紹介は後に回して、保証書と「工具」。保証書には購入日と時計のモデル、販売元が手書きで記してあり、2年間の国際保証と記されている。工具の方はフランスでは「BTR」とも呼ばれる六角穴付きボルト/キャップボトル用の棒スパナだ。
Carzo & Lieutierのロゴは稲妻にフランス国旗のトリコロール。バイクやヘルメットに張っても良いだろうし、嬉しいおまけだ。
ケース
316Lステンレススチール製のケースは41mm、竜頭部分を含めると42.5mm。ムーブメントは信頼のクオーツ、スイス製Ronda 517だ。ケースの竜頭部分には、穴の開いた特徴的なリューズガードが見られる。
(写真はストラップを外したところ。)このケース形状はサークリップやスナップリング、もしくは止め輪として知られる部品をモチーフにしたもので、「軸用C型止め輪」という形状のものに近いと思われる。(バイクに関して何ら知識が無いながらに解ったふりして説明すると)これはピストンピンの動きを邪魔せずに、なおかつそれが出ていかないようにしたりとかいった役割を果たす重要な部品で、Wonkee Donkee Toolsによれば英語では「Jesus clips」などとも呼ばれるという。その理由は、これが飛んでしまうと大変なことになり「ジーザス!」と声を挙げてしまうことに起因するとか。
image: Public Domain
サークリップ(上画像)を定位置に固定するには、径を広げる、もしくは狭める必要があるのだが、この際にサークリップ開口部に開いた二つの穴にスナップリングプライヤを差し込んで作業する。竜頭をサークリップの開口部に見立て、その両脇のリューズガード部にこの二つの穴が開けられているというわけだ。
リューズガードは竜頭そのものよりも高く突出しており、リューズはねじ込み式。ケースを真横から見ると、リューズガード下部から竜頭が5分の1ほど出ているのがわかる。しかしリューズの側面はツルリとした表面となっているので、指でねじ込みを解放させる事はできない(!)。しかし竜頭の頭頂には六角穴が彫り込まれている…そう、ここで出てくるのが先に紹介した「工具」こと六角棒スパナだ。
付属の2.5mm六角棒スパナを使用することでねじ込まれたネジを解放し、日付時刻を合わせることができるのだ。機械式よりも時間の遅れが少なく、時刻合わせをする手間はかからないクオーツだからこそこれが意味をなすだろう。パーペチュアルカレンダーでないので月によっては日付調整を行わなくてはならないが、その時折の手間にバイクメンテナンスに共通する楽しさを味わえるというわけだ。
ケース裏はスクリューバックとなっているが、通常のスクリューバック用の溝はなく、その代わりにここも大きな六角穴付きとなっている。この形でも通常のスクリューバックオープナーで開けることができるし、実用性を損なうことなくテーマの統一が図られている。
風防はプレキシガラスのドーム型。
このでっぷりと突き出た風防が60年代風のレトロさを出しているのもこのモデルの特徴だ。プレキシガラスは傷が付きやすくはあるものの研磨剤などを用いて研磨すれば傷がとれる。
文字盤
インデックスなど存在せず、割り切った美しさがある。一見真っ暗の文字盤だが、実は文字盤は外側が一段高くなった立体的な形状をしている。ぱっと見ても気付かない要素であるが、文字盤を斜めから見るときにこの高低差が生み出す陰影がリズムを生む。
金色に輝く時分針はスケルトンとなっている。そして中央には、控えめに、しかし確実にその存在感を表現する秒ディスク。遠目に時計を見ただけでは気付くことのない、しかし一度気付けば忘れられないこの秒ディスクには、小さな赤いドットが秒の動きを示している。同じく金色で縁取られているのは日付窓。
これらの金色より一回り暗く文字盤を飾るのは、六角穴ボルトの穴をかたどったマークと社名、そしてレトロなフォントで書かれたモデル名。二種類の金色を上手く使い分けている。
ストラップ
ストラップは通常の棒ピンで時計のラグに接続された3連ブレスレットで、バックルは三つ折りの片側プッシュボタン式。
構造的には3連ブレスレットであるが、実は真ん中のコマは3ピースからなる。この部分は、中央ピースを挟み込むように艶のある二ピースが接し、これに左右のコマが割りピンにより結合したものとなっている。
割ピンはこのようなブレスレットのバンドピン外しツールを用いることで外し、長さの調整が可能。私はJOBSONというブランドの安価な時計工具セット付属のものを用いて外したが、自信の無い方は時計屋さんに持って行くと良いだろう。
ストラップの色艶はケースととても良くマッチしている。
まとめ
腕時計の構造として違和感のないリューズガードに、バイクの部品として重要な役割を持つサークリップを掛け合わせた上手いデザイン。
インデックスを廃した非常にシンプルな文字盤でありながら、秒ディスクや文字盤の2段構成など、注意しなければ気付かないが、一見シンプルな中に見えるこれらの複雑性は一度気付けば忘れがたい存在感を持つ。
280ユーロ(記事執筆時のレートで約3万5000円)という価格からしても、モーターサイクルと腕時計の両方を趣味に持つ人にプレゼントするにもいいだろうし、純粋に腕時計としてのデザインも素晴らしい出来映えなので個性あるデザインを求めるファッション好きにも気に入ってもらえるだろう。なお、機械式時計の方が好きだという人には(完全に同一デザインのものは無いものの)、同シリーズの機械式モデルも存在するのでそちらを見てみるといいだろう。
FlatcaseはCarzo & Lieutier公式サイトのこちらから購入することが可能だ。
Carzo & Lieutierの次回のKickstarterキャンペーンは2019年3月21日に行われる予定となっている。気になる方はCarzo & Lieutier公式サイトで詳細が発表されているのでご確認あれ。
Source: Carzo & Lieutier
(abcxyz)
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