今回はCalifornia Watch Co.が現在Kickstarterでキャンペーン中の「LAGUNA 40 - All Black Gold」をレビューさせて戴く。
クラウドファンディング界隈でも乱立感のある時計のマイクロブランドの中に、手頃な価格帯の時計ブランドを新たな作ろうとすればどうしても見た目が似通ってしまいがちだ。しかしCalifornia Watch Co.は比較的手頃な価格(そしてバッカー価格は特段に安価)ながらもユニークさと品質を併せ持った時計を生み出している。
California Watch Co.
Kickstarterキャンペーンでは今回紹介するLAGUNAの他、MOJAVE、GOLDEN GATE CHRONO、MAVERICKS CHRONOの合計4コレクションが出資を募っている。(加えてLAGUNAはケース形状により40と48の2モデルが存在する。)
各モデルの名称からも解るように、それぞれのモデルはラグナ・ビーチ、モハーヴェ砂漠、ゴールデン・ゲート、マーベリックスと、カリフォルニア州の各地ロケーションがインスピレーションとなっている。また、California Watch Co.は沿岸の生態系保護に取り組むNGO、Save the Waves Coalitionとも連携し、プレッジ資金の一部が同団体に寄付される。
早速「LAGUNA 40 - All Black Gold」をレビューしていこう。
ケース
どの方向から見てもカーブしていることもあってか、40mmだがあまり大きいとは感じさせない。風防は僅かに中央が盛り上がった形状となっており、これが文字盤の他の要素と上手く絡み合っている。
風防の材質はクリスタル強化ミネラル(つまりガラス)。ARコーティングはなされていないため、光をこういう風に反射するが、カーブが風防と盤面の曲線が際立って美しく感じさせる。
ケース厚は9mm。側面から見れば、ケースの風防を囲む部分と、ラグから伸びたケース部の間にくびれがあるのが解る。薄いケース厚にこのくびれが立体感を出しているのが面白い。
竜頭にも「CA」のロゴ。ムーブメントはクオーツのMiyota 2034で、電池寿命は約2年。5気圧防水となっているのでラグナ・ビーチで軽く泳ぐくらいは平気だろう。
裏蓋はラグナ・ビーチをあしらった細やかな刻印が美しい。まるで記念コインの裏側を見ているようだ。風景の刻印中には「CA」と同社のロゴも入れ込まれている。今回提供戴いたレビュー用製品ではシリアルナンバーがXXXXとなっているが、各モデルは限定1850本。これはカリフォルニアが州となった1850年を意味した限定数だ。
文字盤
文字盤は、中央が膨らみ、端に行くほど下がっていくユニークな造り。このドーム状となった文字盤はこのLAGUNAの(そしてGOLDEN GATE CHRONOの)特徴ともなっており、なかなか他では見ないものだ。
これにアールデコ調の時短秒針と、各時に配されたインデックスが加わり、独特の雰囲気を醸し出している。
蓄光部分を挟み込むような形の時短針、そして秒針にも蓄光部分があり、暗所でも時間を確認できる。
写真ではお伝えするのが難しいが、角張ったインデックスが盤面の曲線と合わさった感じはなかなかにセクシーだ。
バンド
カーフレザー(子牛皮)のバンドはクイックリリース式となっており、好きなバンドとすぐに付け替えることが可能だ。写真では見えづらいがバックル部にはCALIFORNIAの刻印。
裏面には社名も刻まれている。驚いたのがレザーバンドの柔らかさ。これまで所有/レビューしてきた腕時計のレザーバンドと比較して、「しっとり」とした感覚のある柔らかさなのだ。所有するバンドの中には、外側のみ同様のしっとり感があるが、腕に触れる内側は比較して乾いた手触りのものしかなかった。手触り、つけ心地は良好と言える。
所持する他のものと比較すると、一番小さいバンド穴の位置が遠目。公式にはこのバンドは6から8.5インチ、15.24cmから21.59cmの腕向けということになっている。私の手首は15cmに僅かに足りない大きさであるため、このバンドだと、服のこすれで文字盤面が手首の裏側に言ってしまう程度には遊びが生じる。腕に覚えのある方は道具を使い穴を増やせばいいだろうし、クイックリリース式のバンドとなっていることだしそうで無い方は別のバンドに付け替えるのも手だろう。
まとめ
比較的安価な価格帯の時計であり、コレクションの中でも一番安いモデルのLAGUNA 40。しかし独特のスタイル、そして質感は想像を超える質があるものであった。
レビューしたLAGUNA 40モデルは、一般販売価格は200ドルだが、バッカー向け価格は85ドルとなっている。同様に他のモデルも一般販売予定価格と比べ50~60%の割引率と、平均的な腕時計のクラウドファンディングキャンペーンよりも高め(キャンペーンによってはアーリーバード価格でここまでいくものは珍しくはないが、バッカーであれば誰でもこの割引率というのは珍しい)。もしかしたら、それだけ腕時計業界は利率が高いということかもしれないが、同価格帯でデザイン的に特徴も無く、見るからに質の低い時計を売るところもあることを考えると、California Watch Co.のコレクションには好感が持てるところだ。
今回のコレクションはどれも1850本とのことだが、次のコレクションはどのようなものを(カリフォルニア州のどのような場所を題材にしたものを)出してくるのか楽しみにしたいところだ。
現在のところKickstarterキャンペーンはあと8日を残し、目標金額の270%以上を集めている。
最後にこの場をお借りして、今回レビューする機会を与えてくれたCalifornia Watch Co.に感謝したい。
Source: Kickstarter
(abcxyz)
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