Sponsored By Handcrafted Workshop
8月2日からKickstarterで資金調達を開始したレトロフューチャーな「表示管」を使った腕時計プロジェクト「Excellent Nixie Watch / ver. 1」。これはウクライナのエンジニアYaroslav TilnovとIvan Sergienkoによる「Handcrafted Workshop」によるもので、ニキシー管、フィラメント表示管、そして蛍光表示管を使った腕時計コレクションからなる。
それではそれぞれのモデルを見てみよう。
Nixoid
「IN-16」ニキシー管を用いたこちらは時計本体は直径55mm、厚さは22mmで、ストラップも22mm。大柄な本体はABSプラスチック製で、加工は手作業で行われている。
ニキシー管はネオンガスなどで満たされたガラス管であり、冷陰極管という方式で光を放ち、数字などを表示するデバイスだ。初期の計算機やカウンターなどに用いられてきたが、最近ではその独特の雰囲気を持った明かりなどからアンティーク風の置き時計や腕時計といった使われ方が見られる。また、ゲーム『Fallout 4』のアドオンでは大きいサイズのニキシー管がクラフトで使用できることでも知られる。
時刻を見る際には時計側面のボタンを押す。すると温かみのあるオレンジ色の光で、柔らかみのあるカーブを帯びた数字が番号を変化させながら現れ、現在時刻を時・分と分けて表示する。と同時に数字の下の部分には青緑の光が不思議な輝きを放つ。なんとも素敵ではないか。
バッテリーは220mAhの充電式のリチウムポリマー電池で、micro-USBで充電可能。USBポートを備えたパソコンから充電などもできるのは便利だ。バッテリーは満充電から1200回時間表示ができる。そのため一日30~50回で20~30日ほど持ち、スタンバイモードでは2ヶ月持つという。また、バッテリーが0%となっても時刻合わせは必要ではなく、ただ再充電すれば良いとのことだ。
またクリエイター達はこのNixoidのために光の同期点火アルゴリズムや、アンチ・カソード・ポイズニング技術を開発している。また、完全充電時にはそれを示すためのバックライトが点灯する「ダイナミックバックライト」も開発している。
PCB(プリント基板)の色は赤、青、緑、黒から選択可能。ストラップは当然ながらクイックリリース式となっており、色は黒、赤、青、緑から選択できる。なおストラップはもちろん他の22mmストラップと付け替え可能だし、クリエイター達はサムスンのスマートウォッチGear S3とは完全な互換性があるとしている。
Glower
Glowerはフィラメント表示管(Numitron tube)の「IV-9」を用いた腕時計。ニキシー管は数字の形をしたフィラメントが存在するのに対し、フィラメント表示管は7つの直線からなる。そしてマイクロサーキットで欠くセグメントに選択的に電流を流すことで、光るセグメントを選択し、それぞれの数字を表示する。こちらはニキシー管とは異なり、小さなフィラメントが亜酸化窒素(いわゆる笑気ガス)のなかで光るようになっている。
こちらもボタンを押すことにより時刻を表示する。やはりレトロではあるものの、ニキシー管よりも「デジタル感」のあるフィラメント表示管の明かりはオレンジ色、バックライトの色は注文時に複数の色から選択可能となっている。
時計本体部の大きさはNixoidよりも少し小ぶりで49mm、高さは18mmとなっている。
バッテリーはやはりmicro-USBで充電できるリチウムポリマー電池、容量は200mAh。本体ボタンを長押しすることでバッテリーパーセンテージが表示される。Nixoidに使用されているIN-16管は使用電流が0.23aであるのに対し、GlowerのIV-9管は0.3aと大きい。そのためこちらは満充電から800回の時間表示が可能で、Handcrafted Workshopの通常使用テストでは14日間バッテリーが持ち、スタンバイモードで2ヶ月持つとしている。
こちらはPCBの色が青、黒から選択可能なほか、バックライトの色は青、黄色、緑、赤から選択できる。クイックリリース式のストラップは色が黒、赤、青、緑から選べる。ストラップは先のものと共通の22mmでこちらもサムスンGear S3のストラップと互換性がある。
ERA VFD
ERA VFDはプロジェクトページに大々的には宣伝されていない。なぜならこれは数量限定のプロトタイプモデルだからだ。こちらは蛍光表示管(VFD tube)である「IV-3A」を用いた腕時計だ(写真はプロジェクトページ内で見ることが出来る)。
NixoidやGlowerとは違いこちらは長方形の筐体内に4つの表示部がある。そのサイズは52 x 38 x 17 mmとなっている。
注文時にバックライトの色は赤、青、緑、黄色から選択可能、充電時の色は赤、青、黄色、緑から選択可能となっている。
これはあくまでもプロトタイプモデルではあるが、今回のKickstarterプロジェクトが成功した暁には、蛍光表示管を用いたクールな腕時計も作りたいとしている。
ソ連製の表示管!
なにより面白いのは使用するニキシー管「IN-16」とフィラメント表示管「IV-9」というものだが、これもただものじゃない。なんとUSSR製、そう、今は無きソビエト連邦製なのだ!プレスリリースによれば彼らはこのソ連製の表示管を、アメリカ製、ドイツ製、日本製などの様々な製造元による表示管と比較、壊したりなどしてみたが、一番頑丈で、振動に強いのがこのソ連製だった。その理由は、ソ連製の表示管は軍用に作られていたためだった。そのため信頼性が高く、使用されていたガラスもとても分厚かったのだ。このプロジェクトでは古い軍用倉庫から入手した未使用の表示管を使用しているとのことだ。
なお各時計はDD/MM/YY(日・月・年)の順に日付表示も可能。また、それぞれの時計の時間表示は12時間か24時間を注文時に選択するようになっており、出荷時にファームウェアーで決定されるようだ。
まだプロジェクト終了まで29日残し、記事執筆時点ですでにプロジェクトは3000ドル(約33万円)の目標金額を460%以上上回り1万4000ドル(約160万円)近い成功を成し遂げている。なおHandcrafted WorkshopはこれまでにもKickstarterで二つのレザー財布プロジェクトを成功させているベテランクリエイターだ。
Image courtesy of Handcrafted Workshop
Source Handcrafted Workshop
(abcxyz)
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