時計の針が二つある必要はあるだろうか?そんな疑問を投げかけてくれる全く新しい時計が「SNGLRTY」だ。
大抵の12時間表記の時計には時針と分針がついている。そして時針は12時間で盤面を一周する。分針はと言えば、60分で盤面を一周し、分を示すものだ。
しかしこの「SNGLRTY」(シンギュラリティー)は、分針を持たない。その代わりに分を示す表示板が盤面の後ろで逆時計回りに回転している。そしてこの時計唯一の針である時針には窓があり、そこから分の表示が見えるのだ。
24時間表記の時計であれば一針のものも見かけるし、以前紹介したHORIZON Watchは針すらない。しかしそれらはある意味ではシンプル性の追求の先に分表示を簡略化する事で、表示される時間の精密性を犠牲にしたものであった。しかしSNGLRTYはそれらとも全く違う形であり、しかも分を示す表示板を左周りに回転させるという斬新な手法により、一つの針だけで正確に時と分を示すのだ。
このプロジェクトの種は2015年に香港のバーで、スイス人のDaniel Blunschi(写真右)とアイルランド人のStephen Mansfield(写真左)、この二人の創設者たちが出会い語らったことから生まれた。彼らの創設したSwiss Reimagined社は、2017年にはこの一針で同時に時間と分を指し示す機構「OHI」(One Hand Indication)で特許も取得している。プロトタイプも作り、今年2月末より晴れてクラウドファンディングサイトKickstarterとIndiegogoで量産化のための出資を募りだした。
プロジェクトページではわかりにくいが、このSNGLRTYウォッチにはOHI2、OHI3、OHI4と3つのシリーズがある。このうちOHI2はSNGLRTYウォッチのローンチのために作られる限定エディションで、ウォッチフェイス、時間表示部、分表示部、中央ディスク、秒表示部、針を選択可能。他のシリーズには日付を表示する部分があるが、この限定エディションであるOHI2は日付表示部分がない。
シリーズは3つともどれも使用するムーブメントはスイスのセリタSELLITA社のもの。OHI2とOHI3の価格差は約倍ほどあり、ムーブメントも前者はSW200-1、後者はSW300-1だ。どちらも自動巻きと手巻き両巻き上げ方式に対応したものだが、パワーリザーブの時間が38時間、42時間と違う。また、それだけではなく、機械式時計の繊細なテンプ部分を守る衝撃保護の仕組みも前者はNovodiac、後者はIncablocというものという違い(NovodiacはIncablocの廉価版)、そしてテン輪に用いられる材質や仕上げにも違いがある。
クラウドファンディングサイトでの価格は決して安いとは言えない。しかし一般販売時には更に高価なものになるであろう。そんな高いものに出資する前に現物が見てみたい、という肩は、現在ロンドン、ニューヨーク、スイス、台北、香港、シンガポールにプロトタイプが展示してあるとのことなので見に行かれると良いだろう。
Kickstarterの方で集まっている資金はプロジェクト終了まであと9日を残し目標金額の30%ほど。もしも今のうちに出資したいという方はFlexible Goal制で資金を集めているIndiegogoの方を覗いてみると良いかもしれない。
Image courtesy of Swiss Reimagined
(abcxyz)
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