「Light Phone 2」、これは常にスマートフォンのディスプレイばかり見て過ごす時代に終わりを告げる、素晴らしいアイデアだ。
今はディスプレイに支配された時代だ。テレビ、パソコン、スマートフォン、タブレット…。だが今後私はディスプレイからより離れ、視覚以外の五感をより使う未来が訪れると考えている。スマートフォンの音声アシスタントの出来はまだまだ良いものとは言えないし、もしかしたら現在の据え置き型スマートスピーカーだってただのハイプかもしれない。それでも、私はこの先の未来にあるのは、受動的な器官としては視覚以外の、例えば触覚、聴覚を、そして能動的な器官としては音声や動きが用いられることになると考える。
私がSenstoneに注目するのもそれが理由だし、私がLight Phone 2に注目するのもこれが理由だ。
Light Phone 2、このネーミングには複数の意味合いがある。ひとつは「光」、もう一つは「軽い」という意味だ。シンプルなモノクロの画面にはE-inkを採用予定。OSはAndroidベースの「LightOS」と呼ばれるものではあるものの、一般的なアプリは入れることができないようなものになるようで、ソーシャルメディアやEメール、ニュースなどはこのLight Phone 2では使えないようにする方針となっている。
その一方で、可能なこととしては、当然ながら通話、そしてタッチスクリーンをもつことからQWERTY入力でのメッセージング（SMSのことだと思う）、連絡先や、アラーム、自動返信などが挙げられている。このほか、まだ可能になるか/するか不明なものとして、地図や、プレイリスト、天気、ボイスコマンド、電卓、辞書などの機能が挙げられている。
物理的な上下ボタンも採用するとのこと。物理入力が持っていてタッチスクリーン入力が持っていないのは、触感だけではない。タッチスクリーンでは入力する際にその結果を必ず確かめなければならない。だが物理的なボタンがある、信頼のおけるシステムであれば、入力の瞬間に入力機器を見つめる必要はないのだ。たとえば、テレビのリモコンなどもこれに当たるだろうし、パソコンのキーボードのブラインドタッチもこれに当たる。
このイメージ画像からすると音声入力もできそうに見える。
バッテリーは500mAhながら、プロセッサーはウェアラブル機器に用いられるQualcomm Snapdragon Wear 2100 Platformを想定しており、スタンバイ状態では5日間もつとしている。
とは言え細かい要素はまだそこらへんの内容も含め、スペックも完全に決定はしていない。それもあってかストレッチゴールとしてはBluettothの搭載が予定されている。
個人的に気になるのは、E-inkとタッチスクリーンの相性だ。現在所有しているKindle Voyageは、E-inkで表示するデバイスだが、検索の際などにはタッチスクリーンを使用して文字入力をすることができる。もしかしたらKindle Voyageの採用するプロセッサの問題もあるのかもしれないが、E-inkの書き換え速度も関係して、入力速度に表示速度がついてこず、遅延が発生する。遅延があるために正確なポインティングができているか把握しずらく、一部操作が難しい。Light Phone 2も現代のスマートフォンに使われるような静電容量式のタッチスクリーンを採用すると思うので、その点がどんなものになるのか少し気になる。
なお、このLight Phone 2に先んじて、初代Light Phoneが存在する。これはもともとKickstarterプロジェクトとして登場し、製品化されたものだ。
光によるモノクロ表示はLight Phone 2に通ずるが、あくまでもフィーチャーフォンであり、通話機能しかもたない（他に面白い点としてはプリペイドSIMが入っているなどもあるのだが、そこらへんはKSプロジェクトページでご確認あれ）。
現代のスマートフォンは、考えうる限りすべての機能を盛り込むべく進化していった。その一方で、スマートフォンというデバイスとユーザーである人間とのコミュニケーションの物理性は次第に狭まり、感触に欠けるタッチスクリーンをただ見つめながら触り、あたかも人間の周りに存在する世界をスマートフォンという色眼鏡を通してしか見ることのできないような世界に足を踏み入れる状況が作られてしまったのだ。
Light Phone 2はスマートフォンを使用する人々に携帯電話の存在意義を考え直させ、スマートフォンを作る人々にそのありかたを考え直させるきっかけとなってくれるだろうか。
Image: provided by Light
(abcxyz)
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