スマホの部材となるレアメタルをめぐっては内戦も起きています。スマホができるまでの掘削、組み立ての作業では、結果的に大企業に搾取される労働者も多いのが現実。でも、そうして人々の血と汗と涙でようやく出来上がったスマホは、1年もすれば新たなより良い機種に買い替えするように仕向けられています。
そんな現状を変えようと、フェアトレードスマートフォン「Fairphone」が世に送り出されたのは2013年のことでした。パーツに使われる金、タングステンから、はんだ付けに使われるスズまで、数々の鉱物がスマートフォンに使われています。しかし時に採掘地域に不平等な労働環境や紛争をもたらしていることは、スマホを購入する側には周知されてすらいません。
鉱物の産地の公開、フェアな料金の支払い、長く使えるデザイン、フェアな労働環境での組み立て、スマホのライフサイクルを長くし、そのライフサイクルの終わりであるリサイクルにまで責任を持つ。それがFairphoneの目指したところ。
そうしてできた初代Fairphoneが発売されたのは2013年のこと、Android 4.2.2 Jelly BeanベースのOSが搭載されて出荷されました。
Fairphoneの目標の中の一つは、毎年新たなスマホを買い古いのを捨てるという悪循環を止めるべく、「長く使えるスマホを作る」というものでした。しかし、現実には搭載するチップセットがAndroidソースコードを公開していないためにOSがJelly Beanベースのものよりも新しいものにすることができなさそう、ということが2014年に判明していました。
そうしているうちにもAndroid 5.1 Lollipopを搭載し、モジュール式となった後続機「Fairphone 2」が登場。そしてこの頃にはすでにAndroidアプリの中に4.2では動かないものの数も増えてきていました。初代Fairphoneユーザーには「理想は高かったけど、現実にはやはり数年置きに買い替えるものになったわけか…」というあきらめ感もありました。
しかしそれでもFairphone製作陣はあきらめず、2015年にはパートナーやライセンスホルダーからソフトウェアのライセンスを取得することにより、初代FairphoneのOSをより新しいAndroidバージョンにすることが可能に?という希望が見えてきました。
そして今年9月を目標に現在準備されているのが、FairphoneのAndroid 4.4アップデートなわけです。もちろんAndroid 4.4は現在現行の最新OSではありません。しかし、Googleは4.2をもうサポートしていないものの、4.4へは現在も頻繁なアップデートを出してサポートしていますし、Google Play上のAndroidアプリもその大半は4.4対応のものです。このアップデートにより、これまで使えなかった4.4用アプリも使えるようになるだけでなく、Bluetooth LEにも対応に。9月まで待ちきれないという初代Fairphoneユーザーは、自己責任となりますがアルファテストに参加してみるのも手かもしれません。
もちろん、Android 2.3.2を搭載して2011年に発売されたXperia Arc(SO-01C)にだって非公式にならAndroid 6.0を入れることが可能ではあります(自分は4.0で止めてるけど)。でもFairphoneのように、公式が長きにわたりサポートしてくれるのはうれしいところ。
このアップデートで4.4になることと同じくらいうれしいのがBluetooth LEへの対応。これまで初代Fairphoneを使ってきて、新たなAndroidスマホの購入の決断に至った理由の大きなものの一つが、FairphoneがBluetooth LEに対応していなかったことなのだ。Pebble Time(に使われるAndroid Wear)はBLE対応じゃないと機能がフルに活用できないし、Narrative Clip 2、スマートクッションDarma、そして今夏出るPebble 2などはBLEに対応していないとそもそもスマホと連動できない。一応初代Fairphoneのスペック詳細を見ると、Bluetoothは「v2.1 + EDR / v3.0 + HS」と書いてあり、ハードじゃなくてソフトの方でこれに対応できるのがそもそも驚いてしまうが。
[via Fairphone]
(abcxyz)
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