(写真のキャプションをお願いします)
先日は鳥取市の「鳥取市国際観光民間サポーター」を批判したが(批判するのも私に鳥取を愛する心があるからではあるが)、今回は鳥取の学生によるやる気あるプロジェクトを紹介しよう。
日本のクラウドファンディングサイト「ReadyFor?」のプロジェクト、『鳥取の駅前の放置自転車を地域の方々が乗れるよう修理します!』がそれだ。これは(公立)鳥取環境大学の学生主導のプロジェクトで、放置自転車を修理してそれらを「地域をつなげるコミュニティサイクル」*にするというものだ。
*地元の人たちが自転車を共有し、貸出/返却できる場所を何か所か作るような感じのもの。観光地などで観光名所付近に設置されている貸出自転車を思い浮かべるといいかもしれない。
プロジェクトが解決しようとしている問題はこういうこと:
・年間30台以上の自転車が環境大学最寄り駅に放置される
>それらにより駐輪スペースが圧迫されている
>処分には費用も手間もかかる
それを解決するためにこのプロジェクトがしようとしているのはこういうこと:
・放置自転車の修理
・駅や大学に設置し地元の人が活用できる「コミュニティサイクル」を作る
・地元住民と共に修理の仕方を学ぶ「リペアカフェ」を開催する
>これらにより環境大学と地域住民とのつながりをつくる
このプロジェクトが成し遂げようとすることには、もっと大きな意味や可能性がある。
・まだ使えるものを直して使うということ
これは現代の消費型社会において、日本のような豊かな国の人々が忘れつつあることである。例えばスマートフォンやノートパソコンだって世界大手の会社がわざわざバッテリーをユーザーが簡単に(=安価に)交換できないような仕組みにして、「使えなくなったら買い替えなさい」と暗に薦めているくらいだ(そんなの嫌だ?じゃあFairphoneに乗り換えよう)。それに対して、まだ使えるものを直して使うということは、経済成長には買い替えよりは悪いだろうが、より大きな視点で私たちの暮らす環境や、持続可能な社会を考えた時にはより良い選択肢である。
また、使い捨てのものには愛着も生まれないが、何かを直して使う事はそのモノに対する愛着も生むし、それがまた長く使おうという気にさせてくれるはずであり、それは持続可能な社会に向けてプラスに働くだろう。
・脱、車社会
鳥取は近場でも車で出かける人が多い。これは公共の交通機関の不便さが一つの要因として考えられるし、鳥取に住む人からもその声がよく聞かれる。だが、だからと言って積極的に車を使えば、ますます公共交通機関が廃れるだろうことは目に見えている。(また、15年ほど前に学校で聞いた話によれば、鳥取は家庭当たりの自動車の所有数が多いとか、軽自動車の数が日本の中でもトップとかそういった統計もあるとかないとか。この情報の裏は取ってないが。)
私の知り合いも、歩いて10分とかからない、自転車ならものの3分で行ける場所にある食料品店に行くのに車を使う人が少なからずいる。社内に載るのはドライバーが一人と食料品だけという効率の悪さ。しかも駐車場でうろうろしたり、ハンドルを切り返しながら前進後退して駐車場に車を入れるのに時間がかかり、結局自転車で行った方が早かったりする。
これは環境への悪影響は当然のこと、海外から輸入している原油(なり、将来的にまた原発を動かそうとしている電力会社なり)に頼ることとなり、そのサステナビリティー/持続可能性の低さも問題だ。
このプロジェクトでは当初は「鳥取環境大学~最寄り駅」でのコミュニティサイクルを生み出すことが目標とされているが、もしうまくいけば「環境大学から鳥取駅」まで、また、もう一つの大学も巻き込んで「鳥取駅から鳥取大学まで」、延いては鳥取市内の主要箇所に設置していくようなことにも発展する可能性だってある。鳥取砂丘のあたりには自転車道が整備されているのだが、あれも学生のコミュニティサイクルの力でフルに活用される日が来るかもしれないのだ。鳥取市内を車で移動することが多い人にとっても、ひとたび自転車で移動しようと試みれば、それがどんなに簡単で、便利で、安上がりなことか分かるかもしれない。
もっと別の視点からこれを観察すれば、日々のちょっとしたお出かけの際に、自力で移動せずに車内に座ったまま車で移動することは、最終的に体力/筋力の低下を招くだろうことも予測できる。
私としては、そんな夢を、理想像を、夢や理想のままとせずに、一歩一歩実現に向けて行動する学生を支援したく、少額ではあるが出資させていただいた。
このプロジェクトが目標とする資金は35万円。現在のところ資金調達期限まで32日間を残し、すでに10万円近く集めている。プロジェクト開始直後にある程度の資金が集まりやすいのは事実だろうが、このプロジェクトは今後も残りの資金を集めて成功することは十分可能だと私は考えている。
というのも、現在のところ鳥取環境大学はこの「大学にポジティブな印象を与えることのできる」(はずの)プロジェクトを広報していない。大学側が興味を持たなくとも、「地元大学の若者のプロジェクト」というのは日々おもしろい出来事の起こらない地方のメディアにとっても、とてもいいネタであるはずであり、質が高いとは言い難いが地元への影響力は非常に大きな地方紙(某・XX海新聞とか)に取り上げられれば周知度はぐんと上がるのは明確だからだ。
また、プロジェクトが始まったばかりで推進力があるからかもしれないが、今までのところプロジェクトページの「新着情報」に頻繁にプロジェクトの進行状況が書き込まれているのは、出資者にも、これから出資しようか迷っている人に対してもプラスに働く。
今後もプロジェクトの進行状況を頻繁に更新していくとともに、メディアでの露出を増やせば成功するはずだ。もし万が一、資金を集めることができなくても、「テレビのオーディション番組で1位になれなかったが、他から声がかかってメジャーデビュー」するようなことと同じように、資金が集まらなくとも有志から助力を得て目標を達成することも可能だろう。
蛇足:私が鳥取環境大学の学生であったころには、鳥取大学の存在する湖山というエリアから鳥取環境大学まで毎朝自転車で40分ほどかけてやってくるツワモノも居た。なお環境大学は山の上に建っており、自転車で上るのはなかなか体力が要る。
蛇足2:もうかれこれ3、4年ほど前になるが、私が環境大学の英語村で働いていた当時、特に男子学生たちの間では「自転車が趣味」だと言う人も多かった。中には30万円ほどするけど超軽くてスピードが出て、段差をガクンと乗り越えたら壊れちゃうような自転車を買うことを目標にする学生もいたな。
(abcxyz)
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