テレビ東京:『未来世紀ジパング』「"核のゴミ"の行方」
『未来世紀ブラジル』みたいな番組だな。池上彰さんによる、使用済み核燃料などの「核のゴミ」に関する話。
以前当ブログの「市民が原発に頼らない電力会社を立ち上げたドイツ、原発の電力を使う者としての責任を果たすフィンランド」の記事/NHK番組「君たちの未来、僕達の選択。時任三郎 エネルギーの旅」ででてきたフィンランドの核最終処分施設「オンカロ」を取材している他、フランスの核関連会社や、今の日本の現状などの話。
現在日本にある「一時保管場所」、六ケ所村では、すでに2919トンの核のゴミがあるが、最大容量は3000トンだそうだ。日本では1963年から原子力発電所が、使用済み核燃料の処分法がない状態で稼働開始。「トイレなきマンション」とは上手い例えだ。
番組によれば、核のゴミは日本だけで1.7万トン、世界33.5万トンがすでに存在するという。核のゴミが、人体に影響なくなるまでには10万年かかるそう。かつてはそういった核のゴミは海にすてていたとのことだが、1993年国際条約で海へ捨てるのは禁止に。宇宙に捨てるアイデアは、スペースシャトルが打ち上げ失敗などで爆発したら拡散してしまうためボツに。
じゃあみんなどうしてるのか、これからどうするのか、という話だ。内容はこういったものだった…
{フィンランドではどう処理するか}
電力の1/4が原発で賄われているというフィンランド。オルキルオトという場所にフィンランド最大の原発がある。オンカロ(原発の運営はポシヴァ社)もそこに。
19億年から変わらぬ強固な岩盤を深さ400mまで掘ったオンカロだが、岩に亀裂、地下水が滴る場所もある。当然ながらそのようなところでは水とともに流れだしちゃったらまずいため避ける。
保管方法は、「核廃棄物>分厚い鉄容器内に>腐食しにくい動の容器内>地下420mのオンカロ内に埋める」。4400m深さ420mでは、保管にふさわしいかを見極める岩盤調査をしている。
10万年間、100万年間、長い年月で漏れだす可能性は否定出来ないものの、鉄、銅、岩盤によって地上まで漏れ出るのは防げるように。それをオンカロでは実現させようとしている。
オンカロから10キロの場所にあるユーラヨキという町。住民の多くはオンカロ関連の仕事。そこの住民はどう考えているか:
中年女性:安全に作ってもらえれば問題なんじゃね。
女の子づれの男性:心配はしていない。何かあるとしても娘よりもだいぶ先の時代だろうし。
町の施設には核燃料棒をイメージしたオブジェまである。
町長:「オンカロ受け入れでの経済効果はほとんどない。だが、発電所によるものはある。フィンランド的考え方かもしれない。原発から街は利益を。利益を得たものは責任をとらなければ。誰かがひきうけなければならないのだ。」
ポシヴァ社のヨルカ氏:「人を近づけないためどうするか。遠い未来の予測は難しい。氷河期>人間住めない世界になるかもしれないが、未来はその程度までしかわからん。」
そんな遠い未来の人とかに、「ここに入っちゃまずい」と知らせるための言葉を様々な言語で書くとともに、ピクトグラム(絵とか)で危険を知らせようと考えており、ムンクの「叫び」の絵もその案には入っているとか?
{一方フランスでは}
フランスには米に次いで多い58基の原発があり、8割の電力を原発でまかなっているという。そんなフランスにある世界最大の原発関連企業AREVA社。
ラ・アーグ再処理施設では、使用済み核燃料をカプセルに(高さ1.3m、重さ500キロ、外側はステンレス製)している。
核燃料棒を粉々にし、ガラスの原料を混ぜ合わせ、高温で溶かし圧縮。この圧縮したものはガラス固化体/キャニスター、と呼ばれている。ガラスは何千年前のものが発掘されるため、長期の保管が可能ではということらしい。また、加工の過程でウランやプルトニウムなど、再利用可能な部分を取り出すことが可能だ。
もし露出した場合は、1mの距離に近づけば20秒ぐらいで致死量の放射線を浴びることになるそうだが、地下500メートルに埋めれば半永久的に安全が確保できるんだそうだ。フランスでは2025年に最終処分場の建設を開始するという。
{そして日本}
青森県六ケ所村。使用済み核燃料再処理工場。運営するのは日本原燃。2兆2000億円かかっているが、安全性トラブルで18回も操業延期しており、現在も試験運転中。1400本のカプセル(フランス・イギリスで再処理されたもの)が保管されている。
日本は、この夏を目処に原子力政策の考えなおしをするという。今のところ出ている案は:
2030年までに原発を;0 or 15% or 20-25%
再処理工場の;凍結 or 縮小 or 継続案
最終処分:再処理せず直接処分(オンカロでやってるようなの) or 再処理(フランスの会社がやってるの) or 両方併用案
現在のところ日本には、最終処分場決定までの「スケジュールは」ある。現在場所は公募中、2013年候補地選び、2028年建設地決定予定だそうだ。
番組最後の池上さんの未来予測:「裏庭にもっと光を」
これまで軽視していた部分にもっと光を当てよとのこと。日本には1988年から核の処理計画「オメガ計画」があるという。これは原子力委員会により制定された、放射性物質の寿命短縮の計画だそうだ。
「高レベル放射性廃棄物>寿命長い核物質を分離>ガンマ線・中性子あて、違う放射性物質に変え、寿命を短くする」というものなんだと。だが現在数人しか研究者が居ない。そういうとこにもっと光を。
という番組でした。興味深かった。が、それにしてもどこの国も今までよくここまで核のゴミをほったらかしにしてきたな、と感じた。
『未来世紀ブラジル』みたいな番組だな。池上彰さんによる、使用済み核燃料などの「核のゴミ」に関する話。
以前当ブログの「市民が原発に頼らない電力会社を立ち上げたドイツ、原発の電力を使う者としての責任を果たすフィンランド」の記事/NHK番組「君たちの未来、僕達の選択。時任三郎 エネルギーの旅」ででてきたフィンランドの核最終処分施設「オンカロ」を取材している他、フランスの核関連会社や、今の日本の現状などの話。
現在日本にある「一時保管場所」、六ケ所村では、すでに2919トンの核のゴミがあるが、最大容量は3000トンだそうだ。日本では1963年から原子力発電所が、使用済み核燃料の処分法がない状態で稼働開始。「トイレなきマンション」とは上手い例えだ。
番組によれば、核のゴミは日本だけで1.7万トン、世界33.5万トンがすでに存在するという。核のゴミが、人体に影響なくなるまでには10万年かかるそう。かつてはそういった核のゴミは海にすてていたとのことだが、1993年国際条約で海へ捨てるのは禁止に。宇宙に捨てるアイデアは、スペースシャトルが打ち上げ失敗などで爆発したら拡散してしまうためボツに。
じゃあみんなどうしてるのか、これからどうするのか、という話だ。内容はこういったものだった…
{フィンランドではどう処理するか}
電力の1/4が原発で賄われているというフィンランド。オルキルオトという場所にフィンランド最大の原発がある。オンカロ(原発の運営はポシヴァ社)もそこに。
19億年から変わらぬ強固な岩盤を深さ400mまで掘ったオンカロだが、岩に亀裂、地下水が滴る場所もある。当然ながらそのようなところでは水とともに流れだしちゃったらまずいため避ける。
保管方法は、「核廃棄物>分厚い鉄容器内に>腐食しにくい動の容器内>地下420mのオンカロ内に埋める」。4400m深さ420mでは、保管にふさわしいかを見極める岩盤調査をしている。
10万年間、100万年間、長い年月で漏れだす可能性は否定出来ないものの、鉄、銅、岩盤によって地上まで漏れ出るのは防げるように。それをオンカロでは実現させようとしている。
オンカロから10キロの場所にあるユーラヨキという町。住民の多くはオンカロ関連の仕事。そこの住民はどう考えているか:
中年女性:安全に作ってもらえれば問題なんじゃね。
女の子づれの男性:心配はしていない。何かあるとしても娘よりもだいぶ先の時代だろうし。
町の施設には核燃料棒をイメージしたオブジェまである。
町長:「オンカロ受け入れでの経済効果はほとんどない。だが、発電所によるものはある。フィンランド的考え方かもしれない。原発から街は利益を。利益を得たものは責任をとらなければ。誰かがひきうけなければならないのだ。」
ポシヴァ社のヨルカ氏:「人を近づけないためどうするか。遠い未来の予測は難しい。氷河期>人間住めない世界になるかもしれないが、未来はその程度までしかわからん。」
そんな遠い未来の人とかに、「ここに入っちゃまずい」と知らせるための言葉を様々な言語で書くとともに、ピクトグラム(絵とか)で危険を知らせようと考えており、ムンクの「叫び」の絵もその案には入っているとか?
{一方フランスでは}
フランスには米に次いで多い58基の原発があり、8割の電力を原発でまかなっているという。そんなフランスにある世界最大の原発関連企業AREVA社。
ラ・アーグ再処理施設では、使用済み核燃料をカプセルに(高さ1.3m、重さ500キロ、外側はステンレス製)している。
核燃料棒を粉々にし、ガラスの原料を混ぜ合わせ、高温で溶かし圧縮。この圧縮したものはガラス固化体/キャニスター、と呼ばれている。ガラスは何千年前のものが発掘されるため、長期の保管が可能ではということらしい。また、加工の過程でウランやプルトニウムなど、再利用可能な部分を取り出すことが可能だ。
もし露出した場合は、1mの距離に近づけば20秒ぐらいで致死量の放射線を浴びることになるそうだが、地下500メートルに埋めれば半永久的に安全が確保できるんだそうだ。フランスでは2025年に最終処分場の建設を開始するという。
{そして日本}
青森県六ケ所村。使用済み核燃料再処理工場。運営するのは日本原燃。2兆2000億円かかっているが、安全性トラブルで18回も操業延期しており、現在も試験運転中。1400本のカプセル(フランス・イギリスで再処理されたもの)が保管されている。
日本は、この夏を目処に原子力政策の考えなおしをするという。今のところ出ている案は:
2030年までに原発を;0 or 15% or 20-25%
再処理工場の;凍結 or 縮小 or 継続案
最終処分:再処理せず直接処分(オンカロでやってるようなの) or 再処理(フランスの会社がやってるの) or 両方併用案
現在のところ日本には、最終処分場決定までの「スケジュールは」ある。現在場所は公募中、2013年候補地選び、2028年建設地決定予定だそうだ。
番組最後の池上さんの未来予測:「裏庭にもっと光を」
これまで軽視していた部分にもっと光を当てよとのこと。日本には1988年から核の処理計画「オメガ計画」があるという。これは原子力委員会により制定された、放射性物質の寿命短縮の計画だそうだ。
「高レベル放射性廃棄物>寿命長い核物質を分離>ガンマ線・中性子あて、違う放射性物質に変え、寿命を短くする」というものなんだと。だが現在数人しか研究者が居ない。そういうとこにもっと光を。
という番組でした。興味深かった。が、それにしてもどこの国も今までよくここまで核のゴミをほったらかしにしてきたな、と感じた。
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